第二次特務艦隊派遣
先の大戦に引き続き地中海にわが日本海軍艦艇が派遣されてきました
「はるばるスエズまできたのに、まだ先に行くんですか?」「覚悟しな!」
「そりゃ、もちろん、わかってますがね」
スエズ運河を通行して、とうとう地中海に到達した日本海軍艦艇である。
重巡洋艦「利根」「筑摩」軽巡洋艦 「矢矧」「阿賀野」に3個駆逐隊といくぶん変則的な編成である。
これは遭遇するかもしれないソ連の黒海艦隊なんかより、遠隔地で艦艇の補充が困難なのを見越しての話である。
駆逐艦が少なく見えるようだが、こちらは「現地にて貸与される」艦もあるとは聞いているので、各巡洋艦は、定員より多い人数を抱えての航海であった。
本来ならば給油艦や糧食を補給する艦艇なども同行すべきであるが、こちらはイギリス連邦から支援に出るから連れて来ていない。
また緊急を要する場合は、シンガポール、ラングーン、など経由する二式大艇による航空便も使って支援してくれるそうな。
前回、第1次大戦ではアレキサンドリアからギリシャなど行ったが、今回はボスポラス海峡を通り黒海である。
距離は延び、経空脅威など比較にならないくらい厳しいものがある。
そのため、各巡洋艦は対空兵器の改修、強化を図って来ている。
利根級は高角砲を阿賀野級と同じ8センチの新型に替えている。本来なら長10センチに替えたいが、工期、重量などの問題、から断念したのだ。
ただ、搭載する機体は最新の晴嵐に変更されているし、カタパルトも強化されているから、航空機運用能力は比較にならないくらい強化されたといえる。
また各艦艇とも従来から威力不足が言われていた25ミリ機銃に変わり、勝手にコピーした40ミリ機銃に可能な範囲で入れ替えている。
こちらは昨年ようやくコピーに成功したばかりで、生産も25ミリから切り替えつつある都合からだ。
ただ残念ながら米軍のような高射装置は間に合わないために、精度は米軍ほど高くはない。
また、派遣された駆逐艦のうち、大型の秋月などの比較的大型な船型のものはまだましだが、古い特型を改装したものは、主砲を1門おろすまでして搭載するなど苦労も多い。
「そういや駆逐艦は大変らしいですな」「そうだよ、フランスやイギリスの駆逐艦を借りるらしいから。
特にフランスで作られた艦艇を使うなんて明治以来ないからな。」
「名前が「畝傍」なんてないでしょうね?」
「さすがになあ、そもそも駆逐艦にはつけない名前だから大丈夫だよ(^-^)」
「畝傍」はフランスで建造、回航中に消えた悲劇のフネだから。
やはり縁起の悪い艦名はお断りしたいもんである。
彼らは今回も八面六臂の活躍をすることになります。




