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イギリス海軍の疫病神  作者: 通りすがりの野良猫
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ドイツ空軍省、技術開発部局の憂鬱

とある人物が提案した「秘密兵器」が世界を振り回す話です

「朝からまたですよ、どう対応しますか?」

「どうでもいい」

「そう言っても」

「いいか、いくら奴さんが、総統閣下の幼なじみか知らんが、業務の邪魔させるな。」

頭にくる。

ドイツ空軍をなんだと心得る。

毎日、毎日、朝になると必ず鳴る電話がある。

この朝の電話のために、とうとう専用回線を用意する始末だ。

上司がこともあろうに「敵前逃亡」して部下たる私に「後衛戦闘」を託したのだ。

こんな不毛な戦いにはいかにわがドイツ軍が狂ったとしても、鉄十字章は呉れないだろう。

仕方なく電話を取ると「もしもし」

応答すると、自分自身に絶大な信頼を置いてる輩に多い尊大な挨拶が帰ってくる。

「挨拶などどうでもよい。何度も提言しているハウニブ計画の進捗はどうなんだ、総統閣下はこのような遅れをご存知なのか?」

相手は、憤慨した低音でまたべらべらしゃべり始めたのである。

この専用回線のある机には、あちらから送付された、「ハウニブ計画」の書類、の100号目が積んである。


さすがに、毎朝届く書類は当直により、直ちに毎日捨てられるため常に一部しかないが、それでも全ドイツの電話帳に匹敵する厚みはある。

相手の正体はわかっている。

先の大戦では軍曹であり、毒ガス攻撃でやられて、入院中に同様な傷を負い、入院していた同郷の伍長と知り合いその後も交流を欠かさなかった、中年男だ。


性格は破綻しており、なにやら「宇宙からの通信を受けた」と称し、そこからの指令に従い、描いたという全く新型の航空機の図面を持ち込み、直ちに量産することをアピールするのだ。


当初、は話だけ聞いてやったが、どうも話す内容は、自分の部屋にある「青汁」が盗まれたから、監視装置をつけたとか、とりとめなく展開し、自分の話を聞かない空軍の担当は、すべてイギリスのスパイだ、と決めつけるに致ると、完璧に無視されるようになる。


しかし、ある日、彼が送りつけた写真がわが部署を震撼させた。


彼が送った写真は第1次大戦の終わりごろの陸軍部隊の写真で、数名の下士官が写っており、「お世話になった軍曹殿に」と書いた総統閣下のサインがあったのだ。


たちまち、上司達は対策会議を開き写真の真贋を確認させた。

総統の軍歴簿が倉庫から引き出され、所属した連隊を調べさらに入院した野戦病院での病歴など関連資料を調べたら、「事実」だったのだ。

さらに微かな望みを託した筆跡鑑定も、総統閣下本人のものと判明した。


こっからが混乱の始まりである。

「総統閣下の心証」を「忖度」して、今のように専用回線をもうけるなどして、本人の話を聞くふりをするようになったのである。


ところが、とある開発担当官が「ハウニブ計画」が内容はともかく、細かく記載されている書類は、「ドイツの秘密兵器」として利用できないか?と言い出したのである。

総統閣下の古い知人が出したアイデアが、イギリス諜報部などを欺瞞する材料になれば、ある意味役立つのだ。


そこで、わが部署から毎日届く「ハウニブ計画」の書類一式を極秘のはんこをついては、適当に出先機関に送るようになったのである。


ペーネミュンデで現実の秘密兵器を作っているドルンベルガー将軍など送りつけられた書類を見て、大笑いし、「空軍始まって以来の最高の報告書」として話のネタにしたらしい。

さらにこの話に尾ひれがついて「あのドルンベルガー将軍が認めた」とも言われるようになった。


そしてこの冗談みたいな話が、戦後の英米との航空機技術協議の資料に紛れ込んだから、英米にも広まったとか。


官僚の勝手な思い込みや忖度が暴走するのは、数十年後、同盟国たる日本でも再発して、これを利用したメディアの反政府活動に利用されたのは、有名な笑い話である。


今回はよく言われてる「ナチスの秘密兵器」ネタです。

あくまでもネタにしてるだけです。信じてる方は気にしないでください(^-^)。

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