ランカスターはいずこから?
レニングラード作戦で大きな働きをしたランカスターだが、一体どこから飛来したのか?
さて、レニングラード周辺のソ連空軍を壊滅させたイギリス空軍のランカスターだが、ここはイギリス空軍がやっとの思いで基地を設営したドイツ東部からも遠い場所であり、仮に飛んでも爆弾搭載量も少なく、陸上を飛ぶだけに、ソ連側に早期に発見されるリスクのあるコースだった。
そこでイギリス空軍は、表からは外務省、搦め手からはMI6からの工作をフィンランド空軍に実施したのである。
フィンランド空軍は以前からイギリスとの付き合いがあり、冬戦争ではグラジェーターを活用したしハリケーンも供与されていた。
その後の国際情勢の変化はイギリスとの付き合いが切れ、ハリケーンがロシアに供与されるようにもなった。
しかしまた、更なる国際情勢の変化はフィンランド空軍を動かし、政府をも動かすことに。
盟邦ドイツと休戦したイギリスと再度結んで何か悪いか?
と言う常識的な判断がフィンランド上空に再度イギリス機を 招くことになったのである。
ドイツ東部の基地を発進したランカスターはバルト海に出るや低空を飛行し、スゥエーデン領空をかすめつつ、フィンランドを目指した。
これらの機体は空荷でとりあえずヘルシンキ近隣の飛行場に降りることになっていた。
彼らは途中でフィンランド空軍機に誘導されることになっていたが、予定ですした空域で突然、「敵機襲来!」と1番機からの警告があった。
さては、情報洩れか?と臨戦態勢をとるうち「敵機」は激しくバンクをうち、さら旋回して国籍記号をランカスターから見やすいように示した。
そしてあらかじめ取り決められた、周波数で敵味方識別符丁が流れた。「メルスよりドルニエ、我誘導す」
「敵機」はフィンランド空軍のメッサーである。
ドイツが輸出したMe109そのものだから、「敵機」と見ても間違いないのである(^O^)。
興味深いのはコールサインで、ランカスターが来ているなどと気づかれぬよう、すでにドイツから供与されているドルニエの名を呼んでいるのであるのには各機の無線士には笑えるネタであった。
メッサーに誘導されるランカスターと言う珍しい経験をしながら、ヘルシンキ近隣の飛行場に降りたランカスターは、別途送られた兵装を積み込み、レニングラード空襲に備えたのである。
ヘルシンキに進出したランカスターは後に改名したサンクトペテルブルグに進出、更なる航空戦に関わるのであった。
なお、フィンランド空軍にはドイツ経由で更なるメッサ―の供与、苦戦する陸上戦を支援するための、追加の突撃砲や、対戦車兵器の供与、捕獲したTー34の新型の供与など「ご褒美」が与えられた他、レニングラードの失陥は、フィンランドに対するソ連軍の圧力を大きく軽減したために、「よい取引」となったのであった。
フィンランドを味方に着けた英米独は北欧でソ連に対し有利な立場になりました




