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Glory Island Fly Trait   作者: かなみかず
2/3

Glory Island Fly Trait 1

※この話の前にプロローグがございます。

そちらをお読みになってからこちらをお読みください。


あれから8年が経っていた。


ある町に一人の不良そうな青年がいる。

その青年はある家に入っていった。


「おい、買ってきたぞ。ソラ!」


中にソラと呼ばれる青年がもう一人の青年を睨みながら座っていた。

袋を受け取り中身をすぐ確認!


「!酒が足りねーよ!!なんで1本なんだよ!!?」

「だったら自分で買いに行けよ!!行ってやっただけ有り難く思え!!」


ソラは青年の胸ぐらを掴む。


「あんだ??やんのか??」

「もう1本買ってこい!居候野郎。」

「ここてめぇーの家じゃねーだろ。」

「先にここの空き家を見つけたのはオレだぜ。それでも住ませてやってるんだ。」

「・・・・ちっ。」

「クラ君いってらっしゃーい!」


クラと呼ばれる青年はもう一度舌打ちをして

外へ。


一人になったソラは今買ってきてもらったお酒をあけて

くびっと一口。

正直綺麗とは言えないこの部屋。

何かを探して散らかってるところに手をつけていた。

拾い上げたのは


いつかのゴーグル。


止まってしまったソラ、

しかしすぐそこらへんに捨てた。



ガタッ


「!やけに早いな。」


何故か入ってこない。。。

仕方無しにドアを開けてやろうと

その場から立ち上がった。


「自分であけろよ、居候やろ」





「ここにいたか。ひさしぶりだな。」





「!・・・・・!!?」


クラではない、

一瞬誰だか分からなかった。

しかしすぐに分かってしまった。

何故こんなところにいるのか?!と恐怖が迫ってきたというように震え出す。


「ソラ、オレが分かるよな??」

「ーーーっ」


顎髭を生やして

多少老けて見えるが

これは八年前まで世話になっていた

ソラ唯一の友達、カイだった。


しかし・・


「・・・アンタ誰だ??」

「お、そう来たか。見た目まで不良になりやがって!昔のお前可愛かったのになー!」

「誰だって聞いてるんだ!用がないなら帰れ。」

「ーーーっ」

「!!?」

いきなり殴られた。

倒れたソラの胸ぐらを掴んで

顔を近付けた。

思いきり睨み付けて。。。

「どれだけオレらが心配したと思ってんだ・・・ふざけんなよ!!」

「ーーーっ」


「パーパ!この人だぁれ??」


女の子が一人、入り口からひょこっと顔を出してきた。

カイに似ている。

「パパの友達だよ、ソラだ!」

「だから誰だよ!!」

「ソラ、オレの一人娘だ!今奥さん居なくてな、連れてきた。」

「逃げられたか。」

「ただ実家に帰っただけだよ!・・・!お前まだ未成年だろ。」

とソラの持っていたお酒を奪った。

「!?ふざけんな、返せ!!」

「18歳にはまだ飲ませられねーな!」

「アンタらのことは知らねー!!いいから帰ってくれ!!!」

「・・・・いつまでもしらばっくれるか。まぁいいわ!今日はもう遅いからまた明日行くな!」

「来るな!」

娘の手をつなぎ

ドアを開く。

「お前の気持ちは分からなくもないが、その後のお母さんの気持ちも分かってやれよ。めっちゃ心配してたぞ。」

そう言い残して去っていった。


一気に騒がしくなったと思ったら

一気に静かになった。



“母親には申し訳ないと思ってた。”



その気持ちは変わらない。

でも自分が居なくなったことで

喜ぶんじゃないかとも思った。



ひねくれたこの気持ちが家出の原因だなんて話せない。

いや、もうバレてるかもな。。。







次の日。

いつまでも寝ているのは日常的で

気が向いたら起きるだけ。


18歳にもなって無職。


たまに適当にバイトをして

酒を買い

過ごしてる。

煙草は苦手だったのでやめた。


昨日は余計なのが来たから嫌な一日だったけど

今日は良い日になるようにと願いながら

起きあがった。


「よっ!おはよう!」

「はっ??」


例の余計な者、カイが部屋の中で掃除をしていた。

いつ入ってきたのか分からないが

結構片付いていた。


「掃除しろよお前!虫がうじゃうじゃ出てきて娘泣いたぞ。」

「誰に許可とって入ってきやがった?!」

「ソラの不良そうな友達!あの子良い子だな!子供好きみたいでさ、娘と手を繋いで遊びに行っちゃったぞ!」

「あのバカクラか。」


ごみ袋を一枚ソラに向かって投げてきた。

掃除手伝え!という意味!

手伝えも何も自分の家だから

やってもらってるんだけどな。


「あ。」

カイが何かを手に持った。

そして微笑む。

「何回か乗ったのか??」

ゴーグルだ。

何を思ったのか、カイから奪うようにゴーグルを取った。

「・・・・・関係ねーだろ。」

「オレがたくさん教えてやったのにそれはねーだろ!」

「・・・・・。」

「お前の弟と妹たち、みんな大きくなったぞ!お父さんとお母さんも元気だし。」

「“五人”家族で・・・元気にねー。」

「!」

「そりゃそうだ。」

ふっと笑った後に

ごみをひとつ拾った。

渡された袋に大人しく入れる。

「・・・・・お前さ、まだ空を飛ぶことやめてないよな??」

「・・・・・。」

「やめてないならさ、ある大会に出ないか??」

「!?」

カイはズボンの後ろポケットから紙を一枚取り出して

折られたままソラに渡す。

「お前と会うのともう一個、これが言いたくて。。。『アイランドフライトレイト』だ!」

ゆっくり開いて紙に書いてある内容を読んだ。



『アイランドフライトレイト』

参加者募集!!

今の時代だからこそヘリコプターに乗り、

速さを競おう!

一位の優勝者には賞金100万と

今一番新しいヘリコプターをプレゼント!

参加者は当日、受付前にてお集まりください。


その文の下に地図と住所が載っていた。


ソラはその紙を丸めて

ゴミ袋の中へ。


「!!?おいおい、何してんだ!?」

「ヘリコプターねぇ。1度しか乗ってないもん、優勝もクソもねーっつーの。」

と一本飲み物を取りだし、飲もうとしていた。

カイはそれを取り上げる。

「・・・よく見ろよ、ただのジュースだっつーの。」

「そういう問題じゃねーよ。お前お母さんを乗せてあげる約束したんだろーが!それがたった一度だと??夢はどーしたんだよ?!」

「夢は夢だ!!・・・“下の世界”なんてあるとは限らねーし、『行ってみたい』なんてガキがよく思いそうなこと、“あの時”で全部諦めたっつーの。。。」

「・・・寂しいんだなぁー、お前って。」

「冷めてるって言いたいんだろ??よく言われるし。」

「そっちじゃねーよ。寂しい思いをしたんだろうなって思ったんだよ!」

「!?」

「お前、お母さん大好きだったもんなぁー。」

「・・・・・!」

カイの娘とクラが帰ってきた。

仲良くお手てを繋いで・・・。

「キモ。」

「うるせーぞ!てめぇーが連れてきた客だろ。」

「連れてきてねーよ!!勝手に来たんだ!!!」

娘は父親であるカイの元へ走り

「おにいちゃん、やさしかったよ!」

「そっか!良かったな!さて」

掃除も終わったしと

ソラの前で地べたに座り、

真剣な目をして見る。

「大会、出よう。」

「!だから出ねーよ。出る意味が」

「出場者は新聞に名前が載る!そしてそれを見ればお母さんが最高に喜ぶだろう。会いたくねーならそういうので親孝行しろ。」

「・・・・・。」

返す言葉が見つからない。

親孝行なんて言うなよって返したかった。

でも本当に言葉がひとつも見つからない。

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