第六回 麦屋町昼下がり(藤沢周平)
<あらすじ>
不伝流の俊才剣士・片桐敬助は、藩中随一とうたわれる剣の遣い手・弓削新次郎と、奇しき宿命の糸にむすばれ対峙する。男の闘いの一部始終を緊密な構成、乾いた抒情で鮮烈に描き出す表題秀作の他、円熟期をむかえたこの作家の名品を三篇。時代小説の芳醇・多彩な味わいはこれに尽きる、と評された話題の本。
※引用:Amazon.co.jp
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爽快である。
そして、藤沢文学の中では異端の分類に入るだろう。
収録4編どれも武家物であり、殺陣がある。藤沢文学は日本人の深い情感をあますところなく描いたウェットな文学であるが、表題作「麦屋町昼下がり」をはじめ4編通してドライであり、思い浮かべるのは埃っぽい街に、ガンマン二人。
そう、これは西部劇のノリであるのだ。
そのノリに花を添える、素晴らしいプロット。そう、決闘に至る流れがどの作品も秀逸なのだ。
それはまるで小説の教科書かのように、藤沢先生は読者に小説の書き方を教えてくれる。
極めつけは、「麦屋町昼下がり」の決闘に到るセリフ。
「やっぱり、討手は貴公か」
し、痺れる!
他の3篇の決闘に到る流れ、そしてセリフも見ものである。
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区分:江戸時代
ジャンル:時代小説
続編:なし
こんな物書きにオススメ:熱いバトルを書きたい人