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第二十三回 唐玄宗紀(小前亮)

<あらすじ>

皇帝と忠義の宦官の大河長編。圧巻の面白さ!

則天武后以来の女禍の時代を終わらせ、唐全盛期をもたらした玄宗には影の如き名臣があった。

玄宗皇帝と「将軍」と呼ばれた名臣の波乱万丈。

唐六代皇帝、玄宗。彼が「将軍」と呼んだ宦官にして名臣に高力士(こうりきし)があった。二人は女禍の時代に幕を引き、開元の治と呼ばれる繁栄を実現する。しかしやがて、楊貴妃の出現、安禄山の大乱によって国は止め処なく乱れゆく。唐帝国最盛期をもたらした皇帝の一生とその影となり支えた忠臣を見事に描く長編歴史小説。


※引用:Amazon.co.jp

https://www.amazon.co.jp/dp/4062934272/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_pEdSybBKR357T


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 主人公は、宦官である。

 玄宗がタイトルだが、彼は狂言回しに過ぎない。


その宦官。名は高力士こうりきしという。


 物語は彼の視点で、楊貴妃の登場や安史の乱、唐の興廃が描かれるものだ。


 さて――


 古来、宦官と言えば、悪徳の華である。

 趙高、十常侍、黄皓、李豬児、童貫、魏忠賢、劉瑾……。

 中国の戦乱には無くてはならない毒薬スパイスである。


 で、この高力士。

 毒薬スパイスと言われれば、毒薬スパイス

 しかし、使い方によっては良薬にもなる、何とも凄い男である。


 高力士は、玄宗に仕えている。

 その彼の目に映る玄宗は、民を愛し皇帝の職分を弁えた名君の資質と、優柔不断で弱い精神を持つ暗君の資質を持つ、不思議な男。

 この男を帝位に導き、そして守る事だけが、高力士の生き甲斐なのである。


 また絶大な権力を有しながらも、その力は玄宗の私事のみに行使し、政治には介入しないという徹底したスタンスを持つ。

 故に唐朝の政権争いを冷ややかに眺めてはいるが、玄宗の私事に影響が及ぶとなれば、時に政争に手を加え、時に敢えて助けを無視し、時に邪魔者を容赦なく潰す。


 この宦官。ポリシーは痺れるほどハードボイルドなのだ。

 去勢したといえど、男としての矜持は棄てなかったというべきか。


 宦官といえば、悪いイメージが先行するが、こうした描き方もあるのだと勉強になった。そして、面白い歴史小説だった。



 追伸――


 これを読めば、楊貴妃のイメージが変わります。

 少なくとも、何となく傾国の美女と思っている人には。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


区分:中国史(唐代)

ジャンル:歴史小説

続編:なし

こんな物書きにオススメ:軟弱な主君を支える賢臣を描きたい人

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