第二回 吉良忠臣蔵(森村誠一)
第二回目の作品は、日本人ならご存知の忠臣蔵。その逆説的な作品です。
赤穂浪士への反感からか、世間では吉良名君説もありますが、僕はそう思いません。
<あらすじ>
「浅野内匠頭、吉良上野介に刃傷」の報は江戸中を駆け抜けた。将軍綱吉の裁決は、「内匠頭切腹。吉良お構いなし」。この偏裁に浅野家中の遺恨は集まり、大石内蔵助は復讐の刃を幕府の覇権に向けていく。しかし、刃傷沙汰のはるか前、事件を導く罠は静かに張り巡らされていた―。綱吉の側用人・柳沢吉保、上杉家の江戸家老・色部又四郎、赤穂藩浅野家の家老・内蔵助。卓越した3者による権謀術数が渦巻く、忠臣蔵の真実とは!?
※引用:Amazon.co.jp
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吉良から見た、元禄赤穂事件。
ズバリそのまんまです(笑)悪いのは柳沢吉保で、吉良や浅野は犠牲者という仕様になっている。
だが読み進めてみると、やっぱり吉良が悪くないか?って思ってしまうのは、忠臣蔵という劇が日本人の血肉として染みついているからでしょうか。
吉良忠臣蔵というより、脇役の色部又四郎が輝いているので、色部忠臣蔵という様相を呈しているが、そこは気にしない。
英語表現が随所に出るのはいただけないが、上巻ラストで可留の死を聞いた色部又四郎が「いよいよ大石は(江戸に)来るぞ」と言うシーンに痺れます。しかも、これで物語は下巻。もう待ちきれないじゃないですか!!
見習いたいほど、素晴らしい構成。
そして討ち入りは、上下巻で丁寧に描かれた人物達が殺し合いを演じます。
結局、全部悪いのは柳沢吉保です。この男の野望が為に、浅野と吉良は戦わされたと言ってもよいでしょう。
まさに、巨悪!! 仕事人がいたら、必殺対象ですよ。
にしても、大石も色部・吉良も討ち入り前に腹を割って話し合えなかったのだろうか。全て、ボタンがかけ違いの印象。
それが忠臣蔵なのかもしれない。
にしても、柳沢ムカツク!!
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区分:江戸時代
ジャンル:歴史小説
続編:なし
こんな物書きにオススメ:悪にも正義がある事を書きたい人