番外編 くまの物語
「おい、ガキ共外へ出ろ!!」
お昼を過ぎたくらいに、奴隷のお店の人が怒ったような大きい声でみんなを呼んだクマ。
さっきお仕事終わったのに、何クマ?
「な、なんでしょうか?先程朝の労働が終わり、今はまだ休憩の時間だと思いますが……」
みんながクマっていると、この中で1番年上の梟のお姉さん(オウル)が奴隷のお店の人にへ声をかけてくれたクマ。
「休憩はもう終わりだ!お迎えが来たんだよ!お前らガキ共5人全員を纏めて買ってくれるっていう、太っ腹なご主人様だぞ!」
その言葉にみんなが色んな反応をしたクマ。
クマみたいに小さい子はよく分からなくて、お迎えと聞いて喜ぶ猫のお姉さん(ミケ)。梟のお姉さんは悲しそうな顔をしているのはなんでクマ?
そのまま、奴隷のお店の人にクマ達のご主人様になった人のところに連れて行って貰ったクマ。言い方はいつも通り怒った感じだったけど、いつもよりも優しかったのはなんでクマ?
クマ達のご主人様のところに着くと、奴隷のお店の人はもう帰って来るなよって言って全員の頭を撫でてくれたクマ。いつもは怖かったけど、実は優しい人だったのクマ。
新しいご主人様はクマと同じ年くらいで、キラキラした綺麗な服を着ている子だったクマ。クマ達と同じ位の年なのにご主人様クマ?
お父さんがいるのかなって思ったけど、周りの大人の人にその子が偉そうにしているから、やっぱりあの子がご主人様みたいクマ。
新しいご主人様は、みんなにりょーしゅさまって言われてるみたいだクマ。りょーしゅって何って梟のお姉さんに聞いたらこの街の1番偉い人って教えてくれたクマ。クマと同じ年くらいなのにすごいクマ!
でも、新しいご主人様はクマ達と全く喋ってくれないクマ。クマが話しかけようとすると、怒られたクマ。悲しいクマ。
結局、お話できないままま近くの村にお出かけする事になったクマ。お話はできなかったけど、お出かけは楽しみクマ!
初めて馬車に乗る事になったクマ。2頭のお馬さんがかっこよくて、馬車が揺れるのも楽しかったクマ!
だけど、喜んでいるとご主人様が怒って怖かったクマ。一緒にお出かけする事になったぼうけんしゃって人達が怖い目でこっちを見てきた時はオシッコ漏らしそうだったクマ……
怖かったけど、梟のお姉さんがみんなを大丈夫だよってしてくれたクマ。梟のお姉さん大好きクマ!安心したら眠くなったクマ……
みんなで固まって休んでいると、すぐ村に着いたクマ。
村に着いたらすぐ、ご主人様やぼうけんしゃの人達が怒ったような大きい声を出してまた怖くなったクマ。
村の人達もみんな怖がって、ご主人様のところにやってきた村長さん以外家に入ってしまったクマ。今までは機嫌や、クマが悪かったのかなって思ったけど、どうやら怖い人がクマ達のご主人様になっちゃったみたいクマ……
ご主人様と村長さんのお話はすぐに終わったクマ。そのまま宿屋に移動してみんなお休みするみたいクマ。
お腹が減ってきたクマ……
お部屋に行ってちょっとすると、ご主人様がすごい気持ち良さそうな声を出していたクマ。クマにもやってほしいクマ。でも、見ていたら梟のお姉さんが顔を赤くしてみちゃダメって言うクマ。大好きな梟のお姉さんが言うなら見ないけど、なんで見ちゃダメなんクマ?
ご主人様が気持ち良さそうにしている間、他のぼうけんしゃさん達はすごい美味しそうなご飯を食べていたクマ。
クマ達も食べさせて貰おうとしたけど、ぼうけんしゃさん達はこれは俺達のだからお前らにはやらんって食べさせて貰えなかったクマ……
あんなに美味しそうなご飯を自分達だけで食べるなんてひどいクマ……少しくらい分けてくれても良いのにクマ。ずっとヨダレを垂らしながら見ていると、優しそうな村の人がみんなに見えないようにクマ達を呼んでるクマ。いったい何の用事クマ?
「さっきの見てたけんど、まだなんにも食ってねぇずら?ほら、ここで隠れて食べるずら!早くしないとバレちまっぞ?」
そう言って、優しそうなおじちゃんがご飯を出してくれたクマ。すごい美味しそうな匂い!涎が止まらないクマ……
「おっちゃん、余計な事しねーでくれないかな?そいつらは領主様の奴隷でよ、勝手に飯やられると領主様が困るんよ。これは俺が貰っといてやんよ」
ご飯を食べれると思ったのに、怖そうな人がご飯を持って行ってしまったクマ。優しそうな村の人がごめんなって言って、行ってしまったクマ。
「どうしてクマ達はご飯を食べたらダメなのクマ?クマ何か悪い事したのクマ?こんなにお腹が空いているのにクマ……」
どうしてっと、涙が止まらないクマ。
「我慢なのです……いつか絶対お腹一杯食べれる日が来るのです……だからそれまでは頑張って我慢するのです……」
「泣いちゃだめニャ!頑張るのニャ!お腹が減っていると、後でご飯を食べると余計に美味しく食べれるのニャ!」
泣いていると、奴隷のお姉さん達が優しくしてくれたクマ。
でも、どうしてクマ……余計に涙が止まらないクマ。
みんなで抱き合って泣いていると、いつの間にか寝てしまったクマ。お姉さん達大好きクマ!
何だか周りがうるさくて、起きてしまったクマ。何かと思ったらぼうけんしゃの人達が、お出かけの準備をしていたみたいクマ。ここの村に来たばっかりなのに、もう違う所にお出かけするクマ?
「ガキ共、いつまで休んでやがるんだ!さっさと行くぞ!」
「すみません、すぐ行きますニャ。ところで、この村からまたどこかへ行くのですかニャ?」
「あん?この村に来たのはダンジョンに行く為だっての。入れるようになったから今から行くんだよ。それなのに、何で領主様はこんな役立たず共を連れていくのかねぇ……」
ぼうけんしゃの人はそう言って、準備に戻っていったクマ。クマ達もダンジョンってところに行くクマ?梟のお姉ちゃんにダンジョンがどんなところか聞いたら、とっても怖いところって言われたクマ……怖いのは嫌クマ……
すぐに準備は終わり、ダンジョンってところへと向かう事になったクマ。
この村のお家の近くにそんな怖いところがあるクマ?
村に地下へと向かう階段があったクマ。中に入ると、ちょっぴり暗かったクマ。細い道がずっと続いているみたいクマ。
ダンジョンってところは怖いところって聞いたのに、歩いていても何も起きないクマ。そうすると、ぼうけんしゃの人の誰かが鼻唄を歌い出したクマ。クマもお歌が好きなのでお歌を歌ってもいいクマ?
お歌を歌おうかなって思っていると、ぼうけんしゃの人達はさっきの鼻唄のお話を始めたクマ。楽しそうクマ。でも、1人そのお話を怖い顔で聞いてる人がいたクマ。その人が怒り出したクマ……みんな驚いたけど、1番怖そうな人がみんなに説明してくれるクマ。
難しくて良く分からなかったけど、みんながまた気をつけて歩き出したクマ。お歌は歌っちゃダメそうクマ。
気をつけて歩いていたけど、やっぱり何も起きないクマ。このダンジョンってほんとに怖いところクマ?
突然、カチッと何か音がしたクマ。
「おいっ、止まれ!今の音はなんだ?誰か心当たりのある奴はいるか?」
1番怖そうな人がそう言うと、鼻唄を歌っていたお兄さんがちっちゃく手を挙げたクマ。
それと同じくらいに、ゴゴゴって音が聞こえてきて、どんどん大きくなってきているクマ。怖いクマ……
怖くて、みんなが話している事が聞こえないクマ。だけど、1番怖い人が大きい声でこう言ったのが聞こえたクマ。
「あっ、やべ。お前らそのまま全力で走れぇぇぇ!でっけぇ玉が転がってきやがったぁぁ!!」
後ろをみると、怖い人の言う通り大きな玉が転がって来ていたクマ。転けそうになったけど、怖い人の言う通り全力で走ったクマ。
だって、あんなのに踏まれたら絶対に死んじゃうクマ……
全力で走っていると、前に部屋が見えて来たクマ!
お腹が減ってきて、もうそろそろ走れないクマ……
ぼうけんしゃの人達が部屋に入ろうとすると、前から順番に転けていくクマ!そんなところで転んじゃうと、止まれないから踏んじゃうクマ!
べちゃっ!
結局、自分も何かに足が引っ掛かり転んでしまったクマ。
あっ、ぼうけんしゃさん踏んじゃったクマ……
でも、ここでみんなが転んじゃったから仕方ないクマ。それに、これだけみんな重なってたら誰がとか分からないクマ?
あれ、冷たい?いつの間にか体が泥んこになってるクマ。泥んこ遊びなんかしていないのにおかしいクマ。
突然、びたーんと大きな音がしたクマ。
って、痛い!重いクマー!クマの上にも誰か乗って来たクマ!?
驚いて背中の方を確認すると、ご主人様を背負っていた大きな人が背中に乗っていたクマ。
ご主人様はというと、泥んこにめり込んでいたクマ。
凄い勢いで倒れたんだろうなぁクマ。
「あ痛!それに冷たい!?なんでおじゃるかこれは!?あれだけ走らされた上に、麿が泥だらけではないか!?田舎のダンジョンマスターのくせに麿をバカにしよって!!キースも気をつけんか!麿を守るのがお主らの仕事であろ?」
ご主人様、起きたと思ったら凄い勢いで怒りだしたクマ。
ははっ、全身泥んこだから全然怖くないクマ。
それより、走ったせいで喉が渇いたし、お腹が限界クマ……
この泥水飲めるクマ?
もう飲んじゃうクマ!!
「おい、そんなもん飲むんじゃねぇ!こんなところで倒れられるとこっち困るんだよ!」
怒った声のする方を恐る恐る見てみると、ぼうけんしゃさんがクマの方を見て怒っていたクマ。なんで怒られたか分からないけど、怖いクマ……
体のビクビクが止まらないでいると、奴隷のお姉さん達が抱き締めてくれたクマ。
ぼうけんしゃさんにもっと怒られるのかなって思ったけど、それ以降何にも言われなくてどうしたんだろうって様子を見てみるとぼうけんしゃさん達でお話をしていたクマ。
周りにも聞こえる声で話しているので、クマ達にも聞こえてくるクマ。
「な、なんてこった……」
「どうした?泥だらけだが、幸い怪我人は誰1人いなさそうだが?」
「あ、あれを見てみろ……」
なに驚いているクマ?
「壁に玉が食い込んでやがる……あんなのに轢かれたら潰されて死んでたな……!?」
「通路を塞がれた……出口への道ってこれしかないんじゃ……」
え?
クマ達帰れないクマ?
ご、ご飯はどうするのクマ!?
お腹も喉ももう限界だクマ……
お姉さんに聞いても、首を振るだけで答えてくれないクマ……
暫くみんなが落ち込んでいると、1番怖そうな人が大きな声で話始めたクマ。
「お前さんら、いつまでも呆けてやがるんだ?後ろがダメなら前に進むしかねーだろ?元々ダンジョンを攻略しにきたんだ、問題ないだろ。出口がないなら、ダンジョンマスターに作らせればいいだろ!」
ぼうけんしゃさん達は、そのお話を聞いて顔に元気が戻って来たクマ。
よく分からないけど、帰る方法が分かったのクマ?
「よし、そろそろ進むでおじゃる!あの様な罠で麿を侮辱した、このダンジョンのダンジョンマスターを引っ捕らえるのじゃ!」
「「おぉ!!」」
なんかみんなやる気まんまんクマ!
クマもお腹減ったけど、出られるならもうちょっと頑張ってみるクマ!
「ギャー!!」
部屋を出ようとしたぼうけんしゃさんが扉を開けようとしたら悲鳴を上げたクマ。
どうしたんだろう、お腹でも痛くなったクマ?
「ど、どうした?何があった?」
ぼうけんしゃさんは手を抑えているクマ。突き指クマ?
「手……手をやられた……火傷だ。ヒ……ヒールをかけてくれ……」
あっ、おててが真っ赤クマー!
「しゃーないのう、今度は気ーつけや?」
あのぼうけんしゃさん、魔法が使えるなんてスゴいクマ!
クマは体を動かすのが得意だけど、魔法も使えるようになってみたいクマ……
なんとその魔法が使えるぼうけんしゃさんが今度は扉に氷の魔法を使ったクマ!氷の魔法まで使えるなんてほんとにすごいクマ!!
憧れの目で見ていると、こっちを向いて口に指を当てたポーズをして、口をパクパクしていたクマ。ナイショだよって言ってた気がするクマ!
なんでナイショにするのかよく分からないけど、分かったクマ!
「よし、改めて進むぞ!」
1番怖い人がみんなに声をかけて、扉を開けて再び出発クマ。
少し歩くと、ぼうけんしゃさんがまた叫びだしたクマ!
なんと、頭が燃えているクマ……大変クマ……
みんながおろおろしていると、1番怖い人が大きな声で言ったクマ。
「さっきの泥水へと頭から突っ込め!泥水で火を鎮火しろ!」
そのぼうけんしゃさんは1番怖い人の声を聞いて、泥水のところに戻って頭から飛び込み火を消したクマ。
頭から泥だらけになったけど、無事火が消えたみたいで良かったクマ。
「ぷぷぷ……や、やめるのじゃ。麿にその頭を見せるな。麿を笑い死にさせるつもりでおじゃるか!?」
でも、ぼうけんしゃさんの髪の毛が燃えてしまっていて、ご主人様がそれを笑ってしまったクマ。
「領主様、それはあんまりじゃねーですかい!?」
「なんでおじゃる?麿に文句でもあるのでおじゃるか!?」
それをきっかけに、みんな怖い雰囲気になってしまったクマ。
「も、もう止めてくれよ。笑ってくれるならまだ良いよ」
ぼうけんしゃさんが、悲しそうな顔をしてみんなに話しかけたクマ。でも、今の方がかっこいいと思うクマ。
みんながぼうけんしゃさんの一言で落ち着いてから、1番怖い人がご主人様と話し出したクマ。
「領主様、罠が増えてきやしたのでそろそろあれを試してみてはどうでしょうか?」
「そうじゃのう。マルケスが言うのであれば、そろそろあれを試してみようかのう。おい!そこの奴隷共!前線に麿達に変わって立つのじゃ!お主らが罠避けになるのじゃ!避ける事ができないのなら、お主らが盾となるのじゃ!!」
ご主人様がクマ達にそう言ってきたけど、盾ってなにクマ?よく分からないけど、お姉さん達が大丈夫だよって言いながら抱き締めてくれたクマ。もしかして怖い事なのクマ?
「わ、わたしが1人でやりますので、どうかこの子達は勘弁してあげてください……」
梟のお姉さんがみんなの前に立ってそう言ったクマ。
「ダメでおじゃる!何のために、わざわざ麿がこの人数奴隷を買ったと思っておるのでおじゃ!」
だけど、ご主人様が怒りながらそう答えるクマ。
「領主様、ここはあっしにお任せください」
「むっ、ピエトロか。よかろう、お主に任せるでおじゃる」
「ありがとうごぜいやす、領主様」
そう言うと、1番怖い人がこっちに来て話し出したクマ。こ、怖いクマ……
「おい、奴隷共!お前ら領主様に買われたんだから領主様がお前らのご主人様ってー事は理解してんのか?」
梟のお姉さんが震えながら答えるクマ。梟のお姉さんもやっぱりこの人が怖いんだくらいに
「は、はい……それは分かっています」
「なら、奴隷にとってご主人様の言う事が絶対ってー事を理解できてないのかよ?命令に逆らうとその首輪が締まって、全員おっ死んじまうんだぜ?」
「そ、そんな……」
「ま、罠避けになれっていきなり言われてもそうなるだろうな。じょあよ、無事罠避けをやり遂げ、このダンジョンを出られた暁には奴隷から解放してやるって言ったらどうだ?」
お姉さん達がみんな驚いているクマ。どうしたのクマ?
だけど、ご主人様がその言葉に驚いて怖い人に詰め寄るクマ。
「ピエトロよ!麿はそんな事聞いてないでおじゃる!麿に内緒で勝手にそんな事決めるなでおじゃる!」
1番怖い人はめんどくさそうにご主人様に話しかけるけど、さっきよりも怖く感じるクマ……
「領主様、任せてくださいって言ったじゃないっすか。奴隷共なんてあぁ言ってやれば喜んで働くんすよ。それにね?全て終わった後で何かしらケチつけて解放はヤメだって言ってやれば全て済む事なんすよ。どーせ逆らえないんすから」
「わ、分かったのじゃ……ピエトロに全て任せるのじゃ……」
1番怖い人とご主人様のお話はよく聞こえなかったけど、ご主人様が怯えてそう答えたクマ。
「な?解放を領主様に認めて貰えたし、これならやる気出るだろ?あのまま反抗してたんじゃ首が締まって死んだり、解放なんてなかったんだから感謝してほしいくらいだぜ」
「ほ、本当にここを出たら解放して貰えるのですね?」
「おいおい、俺が嘘ついてると思ってんの?傷付くなー!」
「し、信じます。やらせて下さい」
「よし、そうこなくっちゃな!なぁに、罠が発動する前に発見してぶっ壊せば問題ねぇよ!」
「は、はい!頑張ります!」
梟のお姉さんが頑張るなら、頑張るクマ!
でも何をすればいいのクマ?
それから、張り切るお姉さん達に連れられてまた出発したクマ。
なんでか分からないけど、みんな少し嬉しそうクマ。
なんでみんな嬉しそうなのか分からないけど、自分まで嬉しくなってくるクマ。
みんなが張り切って辺りを気にしたせいなのか分からないけど、何も起こらなくなったクマ。
そして、10分ほど歩き続けると突然ドドドって大きな音が近付いてくる音がしてきたクマ。
みんなで警戒をしていると、1匹のネズミさんが出てきたクマ。
「なんだ、ネズミかよ……怖がらせるなよな」
そう言ってぼうけんしゃさんがネズミに近づいていくと、梟のお姉さんが異変に気付いたクマ。
「あれ、ここから先が真っ暗で見えない……私の目で暗闇が見えないなんて……」
ズルっ
お姉さんが話している時突然、ネズミに近づいて行ったぼうけんしゃさんが真っ暗に引き込まれたクマ!
「ギャー、助けてくれぇ!!!!??」
だけど、助ける間もなくぼうけんしゃさんは飲み込まれてしまったクマ。
「これ、暗闇じゃない……全部ネズミなんじゃ……」
梟のお姉さんが震えながらそう答えると、まるでそれが切っ掛けのように沢山のネズミが雪崩れ込んできたクマ。
「ネズミなんか殺しちまえ!ちょっと数が多いからなんだってんだ!」
そう言ってぼうけんしゃさんが2人突っ込んで行ったけど、剣を振ろうとするとお互いが邪魔になり、満足に戦えないまま悲鳴を上げたクマ。
そこからはもう何が何だか分からなくなったクマ。
ご主人様達は後ろにいたネコのお姉ちゃん達を突き飛ばして部屋に逃げようとし、前にいたみんなは、わたしも含めて混乱したせいで泣いてしまい、いつの間にか気を失ってしまっていたクマ。
いつの間にか、気付けば温かいところにいたクマ。
そこは、さっきまでの洞窟ではなかったクマ。
さっきまでの沢山のネズミさん達も、何故か全くいなくて、奴隷だったみんなだけがいたクマ。
もしかして、ネズミさんに食べられて死んじゃったのクマ?
そんな事を思いながら辺りを見回してみると、奥から声がする事に気付いたクマ。
その声は、自分と同じ位の小さい女の子の声だったクマ。
でも、奴隷の中にはお姉さんしかいなかったクマ。そのお姉さん達も気を失ってまだ横で寝ているクマ。
じゃあ誰なのクマ?気になったから、奥に行ってみることにしたクマ。
「きもちいいよー!くろちゃんも、いっしょにはいろうよ!」
「クロはそろそろ様子を見てみるであります。楽しむのは良いでありますが、みんなが起きたら手伝ってくださいでありますよ?シロ殿」
「じゃあ、わたしもいくよー!!」
耳を澄ませていると、楽しそうな声が聞こえてきたクマ。
でも、こっちに来るクマ!?
どうしよう、どうしようとアワアワしていると、奥からやってきた2人の女の子と目があってしまったクマ。
その女の子は同い年位なのに、今までに見たことないくらいにキレイだったクマ。お互いが白と黒で対象的で思わず見とれてしまったクマ。
「あー!クロちゃんみて、おきてるよ!あなたたすかってよかったねー!あっ、おふろはいろうよ!」
「シロ殿、そんなに一辺に言っても混乱するだけでありますよ」
元気な女の子の声と、それに呆れた感じで話す声。なぜか安心感があったクマ。だから、思いきってここがどこかを聞いてみることにしたクマ。
「あ、あの……ここはどこなのクマ?さっきまでネズミさんに襲われていたのに、ここにはご主人様も、ぼうけんしゃさんも、ネズミさんもいないクマ。どうして私たちだけここにいるのクマ?」
気付けば泣きそうになりながら、いっぱい質問していたクマ。
大きな声を出してしまったせいか、お姉さん達を起こしてしまったクマ。
「ここは私達の家であります。奴隷のあなた達は、私達のマスターに助けられたのでありますよ。怖い者はここには何もないのであります。私達のマスターに会わせるので、まずはお風呂に入ってキレイにするでありますよ。さぁ、こちらにみなさん着いてくるでありますよ」
突然の出来事にみんなが戸惑ったけど、そう言って微笑む女の子に安心感を感じて着いていく事にしたクマ。
ガラガラガラっと透き通った扉を開けると、そこは真っ白のお部屋で、溜まっていたお水からは湯気が出ていたクマ。
この部屋は何クマっと、みんなが戸惑っていると2人の女の子に服を脱ぐように言われたので言う通りにするクマ。
どうやら、水浴びをするみたいクマ。
知らない内にお漏らしをしていたみたいで、気持ち悪かったから嬉しいクマ。
「ほら、あったかいおみずかけちゃうよー!!」
そう言って元気な女の子が水をかけてくれたクマ。
ほんとにこのお水あたたかいクマ!!
はぁー、温かくて気持ち良いクマー。
「「い、痛い!?」」
でもお姉さん達は体にたくさんのキズがあって、お水がかかるとすごい痛そうにしていたクマ。
それを見た元気な女の子は、悲しそうな顔になってお姉さん達のキズに手を当て始めたクマ。
すると、その小さい手から光が出てきて、お姉さん達のキズがどんどん治っていくクマ!!
あれ、今気付いたけど、あの女の子背中に白い翼があるクマ!
も、もしかして天使さんクマ!?
元気な女の子を天使と思ったのは、治療をしてもらったお姉さん達も一緒みたいクマ。
「て、天使様。私達は死んでしまったのニャ?」
「シロはてんしだけどシロだよ!みんなちゃんといきてるよ?」
ほ、ほんとに天使様だクマ!
クマは天使様に助けて貰えたクマ……
元気な女の子が天使だと分かると、お姉さんも安心したみたいクマ!
体のキズもなくなって、水浴びを思う存分に楽しんだクマ。
天使様にしゃんぷーってもので頭を洗って貰ったけど、髪の毛がサラサラになったクマ!こんなの初めてクマ!
これにはお姉さん達も大喜びだったクマ。
天使様は途中から、いつも眠たそうにしているハーフエルフのお姉さんのおっぱいに興味津々だったクマ。
みんな奴隷だから体がすごい細いのに、ハーフエルフのお姉さんはすごいおっぱいが大きいんだクマ。
クマもあんなに大きくなると良いクマ……
「どうやったらそんなにおっぱいおおきくなるの?」
天使様はハーフエルフのお姉さんのおっぱいを直接もみもみしながらそう聞いていたクマ。
「……う~ん……特にないんだけど……」
ハーフエルフのお姉さんは、困ったようにしていたクマ。
それにしても、ハーフエルフのお姉さんはあんなにキレイな髪の毛をしていたなんて知らなかったクマ。
それから、お風呂っていう温かい水溜まりに入ったクマ。
頭がほわーっとして、すごい気持ち良かったクマ!
天使様は死んでないって言ってくれたけど、まるで天国みたいな所だクマ……
天使様はお姉さん達に自分のごじゅじんさまがどんなにすごいかって話していたクマ。
それを聞いてみんなワイワイと楽しそうにしていたけど、自分はちょっと悲しくなったクマ。
だって、自分のご主人様はあんなに怖い人だったクマ……
その後、天使様に連れられてお風呂を出たクマ。たおるという真っ白な物で体を拭いて貰ったクマ。あんなにキレイな物で体を拭いたのなんか初めてクマ!
そして、ボロボロの自分の服を着ると天使様のご主人様の所に連れて行ってもらったクマ。
天使様のご主人様という事は神様かと思ったけど、天使様が神様ではないって言ってたクマ。神様じゃないのに、天使様のご主人様ってすごいクマ……
「ごしゅじんさま!おふろすごいきもちよかったの!こんどはいっしょにはいろうね?」
「あぁ、絶対だぞ?嘘だったら泣いちゃうからな!シロは本当に可愛いなぁ」
天使様とご主人様はすごい仲良しクマ。羨ましいクマ……
「マスター、いい加減にして下さいであります。みんな引いてるでありますよ。さぁ、この変な人が先程シロ殿の話にも出てきた我々のマスターであります。みんな挨拶をするであります」
何て言えば良いか迷っていると、天使様のご主人様がお話をしてくれたクマ。
優しそうなのは分かったけど、難しくて何を言っているのか分からなかったクマ。
「「ここで働かせて下さい、見捨てないで!!」」
お姉さん達は何故か泣きそうな顔で必死にそう言っていたクマ。
ん?ここで働けるのクマ?自分のご主人様は違う人なのに?
「ごめん、見捨てるつもりはないよ。難しい話はやめにして、とりあえずご飯を食べようか。これからの事はゆっくりと考えればいいよ」
よく分からないでいると、天使様のご主人様はご飯を食べようって言ってくれたクマ。
机を囲うようにみんなで座ったけど、みんなホントに食べて良いのか周りを見ているクマ。
ぐぅぅ~
だけど、自分はもうお腹が減りすぎて涎が止まらないクマ……
「毒なんて入ってないからどんどん食べろよ?シロとクロも食べろよ!シロは美味しい物食べたいって言ってたろ?これは俺の世界の好物だぜ?この世界であるか分からないがとにかく食べてみな」
「うん!いただきます!」
「いただくであります!」
天使様のご主人様はみんなの反応を見て、そう言ってくれて、天使様達がご飯を食べ出したクマ。
「ごしゅじんさま!すっっごいおいしいよ!」
「これがマスターの世界の料理でありますか、なかなか美味でありますな」
そんな美味しそうに食べる2人を見て、もう我慢できなくなったクマ!
パクっと思わず食べたら声が出てしまったクマ。
「ん~!!!」
「「だ、大丈夫!?」」
「う……うみゃい……」
思わず笑顔でほわーっとしてしまったクマ。
自分のその顔を見て安心したからか、お姉さん達がどんどん食べ始めたクマ。
「ク、クマ!こんな美味しいの初めて食べたクマ!」
「た、食べる手が止まらないの……」
お話をしながらのご飯、すごい楽しかったクマ。
「はぁ~、美味かった!みんなカレーはどうだった?」
「ごしゅじんさま!わたしまいにちたべれるよ!」
「お、おう。他にも美味しい料理をたくさん食べて欲しいから、カレーはまた今度出してあげるからな?」
「それはほんとクマ!?こんなに美味しい料理が他にもたくさんあるクマ!?」
天使様達がこんな会話をしていたので、思わず口を挟んでしまったクマ。
「あぁ、そりゃもうたくさんあるぜ?とりあえず食後のデザートを今から食べようじゃないか」
でも、天使様のご主人様は嫌な顔なんてせず優しく答えてくれたクマ。今からまた美味しい物を食べれるクマ!?
「ごしゅじんさま、でざーとってなに?」
「百聞は一見にしかずだ。今から出すから見てな!」
そう言うと、小さいお皿に入った白くて丸いのが突然出てきたクマ!?
「「「おおお!?」」」
みんな驚いていて声を出してしまったクマ。
「まだまだ驚くのは早いぜ?さっきのスプーンを使ってそれを食べてみな?」
その言葉を聞いて、まず天使様が食べたクマ。
「つ、つめたい!?ごしゅじんさま、これすごいつめたいよ!」
天使様がすごい驚いているクマ。
が、我慢できないクマ……食べちゃうクマ!
「!?ほ……ほんとに……冷たい。でも……甘くて……美味しい」
「こ、これがデザートクマ!?さっきのカレーという料理も程よい辛味が食欲を誘いとても美味しかったけど、これは……お口の中に甘味が広がり、溶けていくクマ!!」
とても美味しくて、思わず色々言っちゃったクマ!
お姉さん達も美味しそうに食べているクマ。
「おーいみんな、アイスクリームも食べ終わったしそろそろお話をしたいと思う。まずは。みんなの名前を教えてくれないか?」
あいすくりーむっていうのをゆっくり味わって食べていると、天使様のご主人様はみんなに名前を着けるって言ってくれたクマ。
だけど、今までは番号で呼ばれていたクマ。
名前なんかいるクマ?
みんなが頭を傾げていると、また難しいお話が始まったクマ。
「ごしゅじんさまとくろちゃんなにいってるかわからないよ!みんなにもちゃんとせつめーして!」
すると、天使様がそう言ってくれたクマ。
「ごめん、ごめん。俺も異世界から来たからクロにちょっと教えて貰っていたんだよ。でな?どうやらこのダンジョンにいる間なら俺が君達のご主人様って事になるみたいなんだ。ダンジョンから出ちゃうと前のご主人様に戻るみたいなんだけどさ」
天使様のご主人様は謝ってくれて、すぐに優しく説明してく!たクマ。自分のご主人様になってくれるのクマ!?
「ほんとうクマ!?毎日あんなご飯を食べれるクマか!?」
驚きのあまりご飯のお話をしちゃったクマ。
「あぁ、ちゃんと働いてくれるのならもっと色んな料理が食べれるぞ?」
なんと、毎日ホントに食べれるクマ!?
「やるクマ!!美味しいご飯が食べれるなら何でもするクマ!」
もうここは天国クマ!
「他の子はどうだ?働くっていってもみんなの良いところ見つけてそれに合わせて仕事してもらおうと考えているから、難しく考えなくていいぞ?」
「私も……やる」
「やらせてほしいニャ!」
「私もやらせてほしいのです!」
「みんながやるなら私も!」
お姉さん達もそう答えるクマ。
「よし、それならもう俺達は仲間だ!俺がみんなに名前を付けてあげるから順番に並んで!」
「君の名前はもうこれしかないな。クマだ!」
「クマ?それが私の名前クマ?ありがとうクマ!」
こうして、クマにはクマという名前が着いたのクマ。
ご主人様、これからよろしくクマ。
ご主人様、大好きクマ。