面白いこと
面白いことを書こうと、パソコンの前の椅子に座る。もちろん、頭の中は面白いことを書きたい自分が鎮座している。その自分はこう言う。面白いことを書くのだ。そうだね、誰も考えたことのない、面白いことを書くのがいいのではないだろうかと、ドヤ顔。
手を前に持っていき、人差し指だけを立てる。その人差し指を左右に揺らす。
いや、無理だろ面白いこと書くとか。
人差し指は、左右に揺らしながら、ふと目線を部屋に向ける。ここで予想してみるといい、部屋は綺麗なのだろうかと。いつも、新鮮なこの空気で文章を書いているのだと。
そうすれば、きっと面白いことが書けるのだと、ドヤ顔。
いつから、頭の中のそいつの話になったのか、よくわからないが、きっと部屋は綺麗に違いない。そう思い、目線をパソコンの画面に移す。ふと考える。まだ夕飯を片付けていなかった。このままでは部屋が汚くなるのではないか。間を開けず、一度や二度や三十度程度では汚れないものだと考え直す。いつも部屋は、キレイだ。
そうそう、人差し指は、当然左右に揺らしている。考え事をする時にとても大切なことだ。様になってかっこいい。見た目を重視することはとても大事だ。頭の中の自分は笑い出す。見た目が伴っていないから、この状況だ。見ろ、目の前には、題名の『面白いこと』だけ書いてあり、ハンドルネームは『俺文豪』、この状態で面白いことが書けるのか。大切なのは誰も考えたことのない発想力だと、ドヤ顔。
人差し指と一緒に、顔も左右に振る。ダメだ。弱気になっては駄目だ。俺は文豪だ。
ある種のスランプだ。そう思う。自分は褒めて伸ばすタイプだ。大丈夫と言い聞かせ、目を瞑り深呼吸をする。人差し指は左右に振りながら。
人は何故、争いを止めないのか。平和が一番ではないか。とパソコンに打ち込んで、自分は愕然とした。
「なぜ、世界平和のことを考えだしたんだ、俺」
繰り返しになるが、この時も人差し指は左右に揺れている。ここで、種明かしだが、右手の人差し指が左右に揺れている。左手は顔を隠すために使う。
ああ、面白いことを考えるには時間が必要だ。何も考えないで、文章を書いていても、世界平和しか浮かんでこない。これでは、あれに笑われてしまう。何度でも言うが、誰も考えたことのないことを考えられる力が一番なのだよ、ドヤ顔。
着地点があるから、人は飛行機に乗り異国の地へと旅立つ。だが、着地点を決めずに漂うのも、大事だと思うのだ。かっこ良く人差し指を左右に振る。面白いこと。
読んでもらえて感謝です。
他者にコメントしたくて、自分で書いたようなもんなので、
楽しんでもらえたら、満足です。