07-1 仕置き~その1
さて、金ヶ崎の対応で、どうもオレは一目置かれるようになったらしい。一部、変なところに一目置かれたような気もするが、悪い事ではないはずだ。
京都で、殿と救援物資を持ってきた利久派との間に何があったかはわからないが、殿からの手紙に感謝の言葉があった事から、何か良い方向にあったのだろう。
どうも大殿は浅井の裏切りに怒りモードらしいが、当然こちらには関係のない話である。荒子城内部はみんな仲良くとはいかないけれども、サッカー部と野球部程度の連帯感はでたようだ。
オレは相変わらず一人生徒会だよ。
さて、一つの報がオレの元にもたらされた。
一向宗の村で、よそ者の出入りが激しいらしい。
ぶっちゃけると、俺は戦国時代にそこまで詳しくない。嫌いではないが、好きでもない。大河ドラマをとぎれとぎれ、あとは漫画で流し見た程度で、有名な出来事くらいしか知らない。
日本史の勉強はしたが、西暦で覚えた年号を現代に当てはめる方法を俺は知らない。1582年に本能寺で織田信長が死ぬとわかっても、それが現在の年号「元亀」何年かは知らないのだ。
なので、いつ一向衆と織田が敵対するとか、どこでどんな戦い方をしたのかは知らない。
まあ、状況的に考えれば、もうすぐなんだろう。
当たり前だが、領土の村には管轄というものがある。基本的にはその地元出身の豪族が、人質兼ヒモ付きで領主の近習として使えるのが、尾張の片田舎の通例だ。
当然、一向宗の村にもそこの管轄の武将がいる。
「木村様。申し訳ありませんが、お願いがあります。」
「何をされるのですか?」
「兵を少しお借りしたい。仕置きに向かいます。」
簡潔に告げてニコリと笑う。