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65 統治

越前の税率は四公六民。

第二次越前侵攻時に大殿からチクチク言われたが、それは認めさせてもらった。府中撤退戦の策の一環でもあったし、度重なる一揆でボロボロの越前で食っていくには、思い切った税率にする必要があったのだ。

そのために足りない分を織田家から出してもらう事も了承してもらった。その件でさらにチクチクといわれるんだが。クソッ。信長!絶対わかっていて言ってやがるな。ニヤニヤ笑って、事あるごとにチクチク言いやがって!


むろん、事前に加賀守である殿にも許可はもらってある。足りなくなった分は、オレを窓口に織田家から提供してもらう予定なわけで、ここでキレるわけにはいかない。

お代わり要求するたびに、大殿から色々言われるわけだ。

仕事が増えるよやったね。豊利ちゃん。


チクショーーーー!!


オレが墓穴を掘る中で、殿は越前の支配体制を整えていく。

まず、前田加賀守利家様が越前北部の北の庄を拠点とし、与力の不破様、佐々様は加賀との国境近くにある坂井郡に数万石ずつを与えられている。

府中城10万石には前田慶次郎が入り、先の四公六民の責任を取るべく、帳面片手にがんばっているようだ。


ククククク。慶次郎。オレは忘れてはいないぞ、オレの頭に見事なモミジを作ってくれた礼をな。さっさと机に向かって花押を押す仕事に戻るがよい。武勇高く、教養溢れる、風流人である前田慶次郎利益様ともあろう人が、よもや地道な内政ができぬとは申すまい。

まあ、その部下は荒子城の利久派の家臣ばかりなので、うちのやり方は十分わかっているはずだ。

はっはっはっはっは…


で、何でオレが府中城近くの領地を持つことになっているの?オレ利家派だろ?


「北の庄は前線。まだまだ、安全とは言いがたい。これからの越前と一乗谷は忙しくなる事が予想されている。なら、府中近辺近くにおれば、容易ではござらぬか」

「いや、それなら一乗谷に近い九頭竜川近郊の方が…」

「それにほれ、四公六民の年貢はそれがしにも荷が勝ちすぎる。その話を信じる府中の民の信頼を得る為にも、ここは言い出しっぺの禿鸞殿の手腕に期待したいな」


くそ、あの傾奇者め。わかっていて言っているな。

そして、府中城の目と鼻の先。傾奇者め、何かあったらオレにタカル気か。いい度胸だ。

どうやら、お前とは長い戦いになりそうだ。


とはいえ、この采配はあの問題児が考えたにしてはよくできている。越前でもっとも豊かな九頭竜川近辺は前田家の重臣たちに分配されている。

譜代とはいえ家としては新参者のオレがそこに食い込めば、重臣達から余計な目で見られる事になる。また、肥沃な土地であるが故に、その収穫は越前収入の根幹となる。領地経営の重要度が上がり、片手間にするわけにはいかないのだ。

その点を考えると府中近辺は、九頭竜川から離れているが、敦賀までの重要な陸路であり、豊かでないが故に領土管理が簡単だ。近隣住人は(いろんな意味で)前田家に服従しており従順だ。

領土とは個別に、一乗谷の管理も任されているが、石高という意味では全く期待できないだけの焼野原。そこに来るのは厄介者の坊主一団と、褒められこそすれ妬まれる要素がない。


…妬んでもいいのよ。(チラッ

熨斗つけて進呈してあげるから。(チラッ

チクショーーーー!!

どうせ、貧乏くじだと思っているんだろ。オレだってそう思っているんだよ!


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