05 笑ってもらうしか出来ません
現実逃避では逃げられなかった。
コマンド => あきらめる
さて、武家とは基本的に縦社会である。
足軽組頭、侍大将、家老。色々あるわけだけど、オレの地位ってなんだか知ってるかい?
荒子城奉行
エラそうだろ。偉いんだよ。役職はね。
え?待遇?平民だよ。
侍大将でも足軽組頭でもないよ。足軽ですらないのよ。
炊き出しに通ってる女中と同じレベル。オール一般人。
なんでって?だって、オレ武士じゃないもん。
寺出身で領土もない。何を隠そう小作人どころか、尾張領民ですらない。
な、武士の武の字も出ないだろ?だから、オレは基本的に役職手当を殿からもらっているだけの流民なんだ。住み込みの派遣社員に近いのよ。
苗字?自称です(笑)。
一見武士に見えそうだけどその実、ただの人です。経歴詐欺だな。
…笑えよ。
奉行ってエラそうだろ?偉いんだよ。でもこれって役職であって、正社員ってわけじゃないのよね。
ははは、派遣社員の管理職みたいな感じ?
…笑えよ。
まあ、要するに雇われ文官なわけよ。利久派の文官(武官の余興でやってる程度の文官だけど)がボイコットする中、オレの仕事は在庫管理と各種手続きである。
さて、ここでも戦国時代の楽しい文明レベルが関係してくる。
前にも言ったな
識字率
はい。だんだんわかってきましたね?
支配者の特権は三つ。
軍事権
司法権
徴税権
の3つがある。
ここに脳筋をプラスさせるとあら不思議、どんぶり勘定が現れる。
どんな化学式だよ。
まず城にある備蓄と徴用できる足軽の管理。前任者が感覚でやっていたので引継ぎなしで、もう笑うしかない状況。
次に、領民の陳情を聞く。ちなみに、紙や墨も貴重なので基本的に使用しない。うん、記録残ってないんだ。口頭で聞いて口頭で返して、実力行使して終了。一件落着?何それ美味しいの?
最後に年貢の徴収だけど、これは前に話したな。一定基準がないので納税者の胸先三寸。
…笑えよ。
俺が何で殿からの任命状振りかざして、役職は下だけど階級は上の人にペコペコ頭下げて、在庫整理しているかわかったろ。
部活感覚で経営しているのを、せめて委員会レベルまで向上させようとしているんだよ。オレが委員長兼会計兼書記なんだよ!
他の奴らは、サッカー部で野球部でバスケ部で剣道部なんだよ。オレだけ一人生徒会なんだよ!!
…笑えよ。もう笑うしかないだろ。
何が言いたいかって?やめられねぇんだよ。帰れないんだよ。このチクタクバンバンみたいに危険なENDの見えている状況から。