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47 大勝利

勝った。オレは勝った。

奴に。

恐るべき敵に。


天正二年

年貢徴収。まさかの大勝利。


なんというスムーズさ。なんという問題なしの納入。ほとんど問題も起こらず、どこからも文句が出ない。パーフェクト。パーフェクト。オレの中の全オレよ。ありがとう。



…おかしい。

こんなに楽でいいはずがない。去年のように浅井残党&筒井対策の中での年貢徴収とか、その前の対長島で半年分仕事貯めての年貢徴収とか、その前の比叡山焼き討ち抗議対応しながらの年貢徴収とか、その前の…あれ、なんか思い出していたら涙が出てきた。

しかし、不自然である。去年のデスピカリマーチに始まり、例年通りの修羅場になると思ったが。なぜ、こんなにスムーズなんだ。変なウイルスとかばらまかれたのか?N-ウイルス(年貢ウイルス)でも蔓延したのか?




「お前のせいだよ。」


木村様が、笑いながら教えてくれる。

オレ?オレ何かしましたっけ?


「皆が、お前の力量を認めたという事だ。殿からの信頼はもとより、先の筒井。その前の長島の手腕に始まり。大殿より綽名をもらい、さらには丹羽様にも注目されておる。そんな者が前田家に他におるか?」


楽っていい事ですよ。大殿から無理難題とか、膨大な管理作業に押しつぶされないとか。


「そうなれば、我らの考えも変わってくる。商業路普請により、槍働き以外でも功績になるというのなら、日野城でそれを取り仕切るお前の行いをまねてみるのは当然の事だ。そして、そのすべてが道理にかなっておる。その道理に従えば、問題なく作業は完了するではないか。」


…我が人生一片の悔いなし!

やべ、ちょっとウルッと来た。

なんだろう、今ならオレ、何されても許せるわ。ラブアンドピースフォーエバー!!


「さて、それとは別に、勝豊を借りてもよいか?」

「はいはい…はい?」


木村様の言葉に、引っ掛かるものを感じる。


「木村様?」


なぜ視線をそらすのですか?


「いや、甥の勝豊と久しぶりに酒でもと…」


おい、オレの目を見て言ってみろ。


「少し話でも…」


ああ、なるほどなるほど。そういう事か。

つまり、


正直に言え。なにがあった?


木村様の領土に行って発覚。そりゃそうだ。オレは同僚に年貢徴収の手順の説明や報告を徹底していた。その結果、日野城での年貢徴収はつつがなく終了。

それの管理に関しても内政団一同で意思疎通を図り、完璧な管理体制を敷いている。


だが、徴収される側の領土にはそんなものがあるわけもなく。従来通りの素敵管理がたたって、カオスの坩堝と化した倉が残されたわけだ。

通常なら顧みもしなかった前田家家臣一同だったが、内政について考えが巡るようになれば、「あれ?これやばくね?」と思うのは当然の事であり、その解決を図るべく、口の堅い親戚に力を借りようとなったのである。


つまり、あれだ。


デスマーチは仲間を呼んだ!?


第二ラウンド。 ファイト!!




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