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32 梟雄と敵対者

ブックマーク1万件突破。

ありがとうございます。

これからもよろしくお願いいたします。

岐阜を出て古巣の荒子を経由し、光琳和尚に挨拶をして日野へ戻る。


ごめん殿様。なんか余計な事しちゃったみたいだ。


「つまり、どういう事だ?」

「筒井は織田を裏切る準備をしている。という事ですか。」


殿の言葉に、奥村様が答える。オレは賦秀君から話を聞いてようやくわかったのに、やっぱ、この人すごいわ。


「それと、もう一つ。」

「うん?」

「大殿は、松永と和睦に動いている可能性が高いですね。」

「許すのか!?松永を!?」


殿が驚く。まあ、そうだろう。

しかし、そうでなければ、松永討伐をとめる必要がない。去年あった戦いで、被害が出たのは筒井と松永だ。筒井に休戦する理由はあっても織田にはない。ここで攻めれば松永を倒せるはずだ。

それをしない理由は二つある。一つは、追い詰めすぎて破れかぶれにさせてしまうこと。本願寺を大和に招き入れて松永一向宗なんてトンデモナイものを作り上げる可能性がある。

そしてもう一つ…


「松永は、まだ生かしておく理由があります。」

「あの悪党を?」

「はい。悪党ゆえです。たとえば、殿が織田家の敵であったとして、京の近くに内通者を探すとしたら誰を選びますか?」

「うん?」

「片や、裏切りを平気でこなす天下の大悪党。もう一つは、その大悪党を倒すことに血道をあげる一大名。」

「そりゃ…それが松永か。」

「京都近くで敵対していない大名は松永、筒井、畠山、波多野。“どれが”となると面倒ですが“どれか”とわかっているなら対処は圧倒的に楽になります。」


そして、おそらく松永はそれを理解して織田家に臣従した。殺されない方法としては上出来すぎる手だ。さすが梟雄。

あとは、織田が絶体絶命のときに裏切れば、織田は滅んだ上に勝者に組する事ができる。失敗しても、利用価値がある限り降伏すれば生き延びられる。チャンスはまた来るのだ。

しかし、松永がいなくなれば、織田家は近畿にいつ裏切るかわからない大名を放置することになる。しかも、名目上は臣従している以上、彼らを不当に扱う事はできない。


そして、松永和睦を反織田勢力は察知している。筒井もそれを知っている。

武田が退いた今、反織田勢力に松永の裏切りを止める力はない。だが、裏切る松永をエサに筒井が味方にできるなら十分おつりがくる。

筒井にしても、織田に臣従し一度は松永と同じ勢力となった。これは、松永を不倶戴天の敵とみていた筒井にすれば断腸の思いでの妥協。織田への配慮だ。

そして、それをあざ笑うかのように松永は裏切った。もはや、筒井は松永を滅ぼす事にためらいはない。

しかし、今度はそれを織田が止める。

断腸の思いで配慮した織田にだ。

筒井が織田を見限る理由としては十分すぎる。


それがわかっていても、織田が松永を切る事も出来ない。まだ、織田が全力を差し向けなければならない敵は多く松永の利用価値があるのだ。

そして松永亡き後、京に近い大和に憂いを残すわけには行かないのだ。


これを回避する方法は一つ。


筒井が完全に織田に屈服するしかない。

その指標となるのは何か。

それは、やはり筒井が松永の討伐をあきらめることだ。



そのためには…


次回はネタ回です。

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