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13 根回し

さて、ふと気が付けば年が明けて半年が経過している。


大殿からの呼び出しはまだない。


まあ、長島敗戦して、織田包囲網的な物を敷かれて、四苦八苦しているようです。

コメの売却で仲良くなった津島の商人たちからも、そういった話が入ってくる。

もっとも、津島と堺を支配し、楽市楽座による信長の経済力を知っている商人は、織田を見限るようなことはしない。

津島の商人は、伊勢長島の一向宗や甲賀忍者による交易の妨害工作に憂慮しているようだが、さすがに一奉行でしかない若造のオレに何かしろとはいってこない。

時々やんわり、「殿経由で大殿の耳に~」的な事は言われるが、「大殿はその辺はわかっておられますよ。」と玉虫色の回答でお茶を濁す。


清州城も長島の敗戦の後処理でピーピーらしい。


殿も大殿と一緒に、京都で浅井と朝倉に追加で本願寺を加えて睨み合っており、忙しいようだ。


こちらは、おかげで在庫管理がはかどるはかどる。紙ベースの書類の転記も終わり、定時上がりのサービス残業なしでホワイト業務形態だ。



その余暇を利用し、次の年貢の為の手順を確立して、その手順を周辺の人たちに周知して、文字が読めない場合は現場までいって口頭で説明している。


「来年の年貢の納入はこのような形でよろしくお願いいたします。」


もう、拝む勢いで手順を説明し、お願いしますと頭を下げる。


「しかし、このような面倒なことなどせずとも、いつも通りで…」

「ご安心ください。去年と同じ事をあえて文面にしただけでございます。内容に関しても大きな変更はございません。」


細かい変更はあります。沈黙は金である事を実践する。


「すべては、未熟なそれがしが、去年と同じように対応したいが故の、わがままである事は重々承知。そのお詫びと言ってはなんですが…」


と、津島の高級酒を、ひっぱり出す。

代金は領収書切らないタイプの購入です。正式には、兵糧売買の際に、商人から無償で進呈された粗品という奴だな。

お互い、深くは追求しないのが大人のマナーだぞ。


「ただ、なにぶんそれがしは未熟者。ご不便をかけるかもしれません。その件に関してはいかようにもお叱りを受ける所存です。それを次回にいかせるよう。なにとぞご指導ください。」


これで、来年は「去年と同じでヨロ」で済むはずだ。

次の人は愛妻家との事だから、奥様の方に進呈する流れで…


あれ?オレのホワイト業務どこ行った?

業務は白くなったけど、帳簿は黒くなりましたってか?


笑えねぇ…


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