116 非実在家臣A
「いないいない…ば~」
「あば~う~」
報告が遅れましたが、去年の夏に三直家に家族が増えました。
つまり、加奈さん第二子出産。
今回は出産に立ち会うことが出来た。そして、わざわざ立ち会って分かったことだが、立ち会ったからといっても、何が出来るというわけではなかった…
父親って無力です。
まあ、とりあえず、
三直家長女 竹。
娘である。とりあえず、嫁に行く家候補を完膚なきまでに潰しておく必要があるな。適齢期の息子がいる家をピックアップだ。
最重要候補は・・・前田家?そうか、オレから娘を奪い取る敵は殿か。想定されるのは・・・利長の側室あたりか。そうか利長。貴様も敵か。百歩譲って嫁すら認めないのに。妾とか、そんなにオレの本気が見たいか。
よし竹。パパ歴史に名前を刻んじゃうぞ(下剋上フラグ)。
まあ、妄想はこのくらいにして。これ幸いと家に帰って来られたので、次の仕事までのつかの間の幸福を味わう事にしよう。
…ああ、時よ止まれ。お前は美しい。
まあ、悪魔と契約してないから止まらないんだけどな。
「いらっしゃいませ~」
そして、悪魔が来訪。
館の入り口から元気のよい声が聞こえてくる。
もちろん、声の主はお兄ちゃんになった銀千代だ。
銀千代。そいつに挨拶する必要はありません。
「穀蔵院。ただいま参上いたしました」
満面の笑顔で、巨漢の男が入ってくる。その肩にはご機嫌の銀千代がいる。
ある時は、非実在家臣A。またある時は、呼んでもいないのに付いてくるトラブルメーカー。して、その正体は!?
前田家親族にして大聖寺城八万石の城主の前田慶次郎である。
お前って、オレを困らせる事にかけては天下一品だよな。
「たかーい」
「銀千代殿。たかいたかいですぞ。なんなら屋根に上りましょうか。もっと高いですぞ」
「おい、バカ、やめろ」
なに、サラッとウチの子を危険地帯にご招待しようとしているんだよ。
銀千代がこの傾奇者になついているのが心配でならない二児のパパです。
「竹姫様。お兄ちゃんと穀蔵院ですぞ~。ブルブルブル」
「きゃっきゃっ!」
肩車したまま腰を曲げて上から覗き込む穀蔵院(仮名)と銀千代。ご機嫌に笑う愛娘の竹。
本当に、お前はオレを不機嫌にさせる事にかけては天下無双だな!
さて、どうでもいい話だが(ぜんぜんどうでもよくないが)
越後より穀蔵院宛に手紙がやって来る。まあ、以前越後に米を送った時の縁で、上杉家は自称(←超重要)三直家第一の家臣とつなぎを付けて来ているのだ。
おいいいい!!なんか、すっごい大問題になっているぞ!?
最初に家に手紙が来た時は、天を仰いだね。オレの責任じゃないのに、オレの責任になっている外交問題ってどうよ?
当然、そのままに出来るわけもなく、加賀前田家の重臣一同で秘密のお話し合い。
すったもんだの議論の末、外交用のチャンネルとして、たまに実在する非実在家臣の穀蔵院飄戸斎が登場したわけだ。
何せ、縁があるのは慶次郎と個人的な友誼のある奥村家。さらに、当人は正室の加奈さんの幼馴染でもある。当件に関しては、三直家は秘密を隠すのに適した家だ。
おい。いいのかよ。コイツに外交なんか参加させて?
とはいえ、ここでいきなり人を変えるのも問題だ。敵対国として織田家と戦争をしている現状での外交だ。なによりも信頼感こそ重要なのに、突然担当者が変わりますとか簡単に認められるわけがない。
そこまで分かっていてのこの仕打ち。
誰か、この暴れん坊城主をナントカしてください。
土曜の夜8時に放送するぞ!!ゴルァ!!




