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00 プロローグ

初投稿となります。

歴史ものですが、そこまで詳しいわけではなく、WIKIやゲームデータなどを参考にしているため、不満もあるかと思いますが、架空歴史とおもって、温かい目で見てください。

戦国時代に転生したら。信長に従って頭角を現し、秀吉に近づいて、最後は徳川の東軍につく。

テンプレ的テンプレで勝ち組に乗ろうと思っていた。そのための努力もした。


農民の出なのに、読み書き学問をおさめ、商人に奉公か、寺で坊主の将来設計。戦国でもインテリこそが最後の勝利者である。というか、脳みそ筋肉になれそうもなかっただけだけど。そりゃ、二天一流とか、柳生新陰流で剣術指南とか憧れるけど、そこにたどり着くまで何年かかるんだよ。っていうか、柳生の里ってどこだよってレベルです。


案の定、天才だ、天狗の子だ。って騒がれて、近くの寺に放り込まれました。

が、そこで大きく予定が狂った。

いや、オレの計画に間違いはないけど、予定に大きな変更を余儀なくされたのだ。

寺の和尚である光琳様から、説得力絶大なお言葉をもらったからだ。



「よいか。豊念(オレの小坊主としての名だ)。人が人に命を預けるというのは、なかなかできる事ではない。戦乱により人が人を殺す修羅の世ならなおのことだ。人の。それも権能高き者ほど、猜疑の念は深い。弓馬に優れ、古書に精通し、文武に優れていても、あるいは優れているが故に、猜疑の目は強くなるのだ。」


まあ、出だしはこんな感じで、要はポッと出の知らない奴に命預ける阿呆は、戦国の世にはいないって事だ。有名戦国ゲームじゃあるまいし「野心」とか「忠誠心」なんてステータスが見れるわけないんだもんな。

偉い人側から見て、当然裏切らない保証がほしいわけだ。親族とか、古くからの旧臣なら、生活基盤が主君に依存しているから裏切りづらいという指標になるわけだ。まあ、それでもなお裏切られて殺される人が続出しているのが戦国時代なのだが、どう見ても赤の他人を登用していたら、命がいくつあっても足りないわ。


こうして、始まる前に夢破れたオレは、光琳和尚の元で勉学に励み、礼法を学び、小さな寺で念仏を唱えて暮らしましたとさ。

めでたし、めでたし。



…で、終わらないのが、戦国時代である。


「ごめん。どなたかおられるか?」


運命の男がやってきたのです。

いや、ウホッ的な話ではなくてですね。



それから3刻後(6時間後)。


後に加賀100万石の立役者。槍の又左こと前田利家は、正座させられ、延々とオレに説教されることとなった。


なんでだ?

いや、アルコールの力ですよ。飲みにケイション?


前田利家が織田家を放逐されて浪人暮らしをする中で、ウチの寺に立ち寄り一晩の宿を求めた。優しい光琳和尚はそれを許し、身の回りの世話を小坊主のオレに頼んだ。


で、有名人。歴史上の人。幕末まで続く永遠のナンバー2的存在。前田利家に会える興奮から、秘蔵の般若湯をもって夜中に押しかけ、話を聞いていたんだが、まあ、アルコールの魔力というか、たまったストレスというか、前田様の愚痴が始まったわけだ。

そこまではいい。生前のサラリーマン時代を思えば、愚痴の一つや二つ聞き流せる。

と、思っていたんだけど、こいつDQNだ。

それも筋金入りの。


好き勝手しほうだいな上、殿様の側用人で、遠縁の茶坊主をぶっ殺したらしい。

で、放逐。普通は切腹だよ。

しかも、茶坊主殺した理由は本当に「嫌な奴だから」である。公金横領とか、圧政を敷いたとか、女を手籠めにしたとかじゃなくて、本当に「気に食わないのでぶっ殺した」である。

で、悪いのは向こうだとか、殿は昔からの友達なのに許してくれない。とグチグチ…

流石に、これにはブチ切れた。なんとか耐えられたかと思ったら、こいつ妻帯者で、子供までいるのよ。今その妻子はどうしているのか聞いたら、友人と親せきに任せているらしい。

そこで、オレの堪忍袋の尾は切れないようにすることを辞めた。


それから一刻。

最初は。怒鳴ったり掴みかかろうとするのを、理で怒鳴りかえして抑え込み、論でグウの音も出ないほど叩きのめし、言い訳する端から論理武装した説教で叩きのめし、言い逃れできないほど説法で追い詰めたのち、エンドレス反省会。


すでに、槍の又三は「ごめんなさい」を繰り返す人形になっていた。


そして、そのまま双方轟沈。


次の日、目が覚めると前田様の姿はなく、オレは前田様の為に出した布団で寝ていた。光琳和尚に聞いたところ、前田様は早朝に出て行ったそうだ。

あ、オレ殺されなかったんだ。

と思っていたら、光琳様よりお褒めの言葉をもらった。


「豊念。前田様はたいそうお前を誉めておったぞ。出発の挨拶に来たあのお方の顔は、まるで悟ったような晴れ晴れとした顔であった。なにを言ったかしらんが、ようやった。」


おお、まじですか?無礼打ち首切り御免じゃないんですね。やったー。


「ところで豊念や。そこに転がっている酒徳利はなんじゃ?」


…もしかして、光琳様。オレだけワンモアセットで、説教大会ですか?ヤダー


この経験が、後の俺の人生を大きく変えるわけだが、光琳様の効果絶大マインドアタックに、むなしい抵抗をつづけるオレには、当然予測する事は出来なかったわけである。


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