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殺人の救世主  作者: おじさん
とある少女と殺人鬼の話
52/102

2-14

「ねぇ、陽。どうして水が、こっちに来るの?」


夏生は海が自分の方に向かってくるのが不思議なようだ。


俺もこの現象の名前は知ってるが、どうして起こるのかは分からない。


「それは『波』っていうんだ。理由は俺にも分からん」


嘘は教えたくなかったので正直に答える。


それでも夏生は満足したようで、引いていく波を追いかけたりしていた。


当の俺はというと…


「…後少しだ…。後は本丸が完成すれば…!!」


砂浜で城を作っている。凄く楽しい。


昔の記憶を頼りに、小さな城を形成していく。


始めてみるとなかなか面白い。繊細な作業だが俺には向いているようだった。


「…大きな、お家?上手、だね」


「これは『城』だな。偉い人が住んでる場所のことだ」


無駄に大きい家ってのは間違ってない。


絶対無駄な部分あるだろ、あれ。もう少し資源は大事に使うべきだと思います。


夏生は俺が作った砂の城に興味津々のようで、食い入るように見つめていた。


夏生にとっては、外の世界は始めて見るものばかりなんだろうな。


全てが新鮮で、興味を惹かれる。好奇心が恐怖に大きく勝る年頃ってのも大きいんだろう。


「…私も、作る」


「お、夏生も作りたいか。なら作り方を教えてやろう」


「…うん。頑張る」


丁寧に、砂遊びのやり方を教える。


そういえば俺も昔こんな風に教えてもらったな、と思いつつ。


夏生は飲み込みがとても早い。要領もいいし、多分頭もいいと思う。


簡単なものなら教えてすぐに出来てしまった。やだ、うちの娘天才。


「楽しい、ね…」


「あぁ、楽しいな」


「陽が、一緒だから…かな」


笑顔でそんなことを言う夏生は本当に俺の心を惑わしてくる。


本人にその気は一切無いのは分かってるが、色々ときっついな…。


「…夏生のお陰かな」


ふいに出た言葉はきっと俺の本音なのだろう。


俺の言葉を聞いて嬉しそうにする夏生を見て、そう思った。

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