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1-冒頭
「全く、酷いもんだな。何もここまでしなくてもいいと思うが…」
数時間前まで、『村』であった場所を見て一人の男は呟く。
家は焼かれ、人は殺され…間違いなく族の仕業であろう。
だが、無数にある死体は全て村人というわけではなく。
この村であった場所に生存しているのはただの二人だけであった。
一人は、片手に真っ赤に染まった刀を持つ男。
周りには死体の山が積み上げられ、全てが族のものであることが格好から察せられる。
言うまでもなく、全てこの男が殺したものである。
もう一人はというと…
「で、嬢ちゃんは何で俺の裾を掴んでるの? 汚ないよ? それ」
「…別に。特に理由は無い」
その男の傍らに佇む黒髪の少女。
年の功は10歳ほどであろうか。お世辞にも綺麗な格好とは言えないが顔立ちは整っており、見目は麗しかった。
この村のただ一人の生き残り。
殺される寸前でこの男に助けってもらった少女である。
親も、友人も、全員を殺され絶望しきったところに現れたこの男に。
彼女は救われたのだった。
「いやいや、俺は巷じゃ有名な殺人鬼よ? 怖くないの?」
この質問は愚問であった。
「関係、無い。私の命の恩人」
この男がかの有名な人斬りであったとしても。
少女を助けたのもただの気まぐれであったとしても。
少女には何も関係無かった。




