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「ほら、夏生。好きなの選んでいいんだぞ」
大きめの村であったということもあり、着物屋がちゃんとあった。
子供用の着物も用意されており、夏生は目を輝かせている。
うん、やっぱりこういうとこは11歳だなと思うね。
いつもはとてもじゃないが、子供らしくない。
相当大人びていると思う。まるでその歳にして何かを悟っているような。
なるほどなるほど。
だからこそ、俺は夏生を殺さないのか。
俺は共感してるんだ。俺の影を重ねてるのか。
似てるんだ、昔の俺に。
「…陽、私これがいい…」
いつの間にか夏生が横にいる。
手に着物を持っているのを見るとどうやら選び終わったらしい。
その手に持っている着物は、黒を基調とした簡素なものだった。
「いいけど、もっと綺麗な明るいものにした方がいいんじゃないか?」
値段も安そうだし、遠慮してるのだろうか。
別に遠慮などいらないのに。金には困ってないし。
「これが、いいの。…あなたとお揃いだから」
最後の方は消え入るような、か細い声だったが俺には聞こえていた。
そういえば、確かに俺が普段着ているのは黒い着物だったな。
ボロボロなところを除けば、よく似ていると思う。
やっべぇよ、本当にどうにかなりそうだ。
何でこんなに可愛いの?ねぇ、何でなの?
「そっか。ならそれにするか」
動揺を全く表情と声には出さず、いつも通りに対応する。
しかし、嬉しそうにしている夏生を見てこっちもつい笑みがこぼれてしまった。
…本当に気を付けないとな。わりと本気で。




