マリオンとかぼちゃの水着対決
「なんかさぁ、二人で歩くのって久々じゃない?」
ニコニコとした表情を向けながら 軽やかなステップを踏む二人。
「そうだわね。ほんっと、あたしはこの現世に来る度に」
「それは、言わない約束でしょ?…それに」
マリオンは長く伸ばした水色髪をなびかせながらクルリと回る。
久々に会う親友との再開。今日はそんな特別な日だったのかと疑問に思う。
その証拠に彼女のトレードマークにもなる。キュッと後ろに縛る魔角とお揃いのリボンを外しているのだから。
そのお陰なのか、水色ロングの淡い水色髪がやけに新鮮に見える。
『魔角』
あたし達種族はそう呼ぶ一種の触角にも似た器官。
産まれた時にはその色と特性が一致するとも言われている。
無論。あたしの特性は、炎系の黄色。そしてマリオンは……
「ねえっ。久しぶりにさぁ」
「えっ?…そっか、それもいいかもね」
「んじゃ決定っ。ほらっ早く”ヒルデ”もっ」
「え?ダメ?」
「えっと…今迄の”かぼちゃ”でいいよ」
なんか、そっちのあだ名の方が、しっくり来る。
あたしの本来の名前。
ErmenhildeClaudiaFlorenzia”フロレンツィア)。
その長々とした名前を短縮したのが何故か”かぼちゃ”のネーミングで呼ばれる。
その名付け親でもあるマリオンは、そんな面白いあだ名をお気に入りみたいだ。
そのお陰もあり。あたしの住む世界では、青かぼコンビの渾名で通る、ちょっとした有名人なのだから。
と?
「ねえ?かぼちゃは知ってる?ここの洋服屋さんって、すっごい可愛い水着とかもあるんだよっ」
いつになくはしゃぐマリオンは、いつの間にか、奥にある試着室から青とピンクの花柄の水着姿で登場した。
「ち、ちょっと、マリオン?」
「いいから、この黄色のビキニ。かぼちゃにしっくり来るから」
何故か、こじんまりとした試着室で着替えるあたしとマリオン。
「うわ、なんかかぼちゃって」
「たかだか胸位でなんで感心してんの?」
な、何故こうなった?
お互い向き会う形で胸の大きさ比べをする。
お互い肌を見せ合うのは昔から始まったことじゃないけど。
この違和感に要約気付いたのか、少し恥ずかしがりながら、あたしとマリオンはこの洋服店を後にした。
勿論。今度お互いに今回の仕事が終わったら彼方側の世界の海で遊ぶ約束をしながら。
そして、そんなあたしとマリオンは洋服屋を後に、お互い落ち着く場所を探す。
あの駅ビルの向かい側のいつものファーストフードを目指しながら。
つづく。