『水色髪の少女』
サラサラと暖かいそよ風が白いカーテンを擽る。
そこから心地よい日差しが差し込み。こじんまりとした一室を照らす。
窓辺に設置された小さな勉強机。その机に開いてある一冊の日記をしまいこみながらふと、か細い指先を順番に滑らせある一冊のアルバムを取り出しては、ユックリとした仕種で開く。
「〜♩〜♩〜〜」
何か嬉しい事の前触れなのか、オクターブ高い声で鼻歌を歌い始める少女。
クスリとした笑顔で笑い。何処か異国の者なのか、青く大きな瞳を滑らせながら、パラパラとめくって行く。
未だ幼さが残る小柄な顔立ち。小さな引き締まる腰元を椅子にもたれさせながら鼻歌混じりに小さな両足を揺らす。
窓辺から微かに聞こえ木々のざわめきに混じり吹き込むそよ風に、背中まで伸ばした淡い水色髪がサラリと揺れ、何処かしら遠くから聞こえる踏切の音に反応するかのように、そっと閉じたアルバムをしまい込む。
「そっかぁ、あれからもぅそんなにたつのかぁ」
キシリと小さな身体を椅子に傾けながら部屋の周りを見渡す小さな少女。
部屋に飾られた小さな彫刻や置物をぼんやりとした眼差しでひとなめしては、ある棚の片隅に立て掛けてある一枚の写真に目が留まる。
「あっ!やばっ。こんな事してらんなかったんだっ」
何かしら思い出したように勢い良く椅子から立ち上がり、左手でカチャリと水色の携帯を開く。
型式的にかなり古いタイプなのか、スマホ全盛期な時代とは逆行したような携帯。
彼女自身の物持ちのいい性格からなのか、はたまた単に思いで深い物なのか。
時刻と場所をメモったページを確認しては、青い大きなバックに慌てるようにしまい込む。
それを、小さな身体には不具合的に左肩に起用に引っ掛け。そのまま元気良く部屋のドアを開きそのまま通路側の階段を駆け下りる少女。
「あ!マリオン?ちょっと買い出しに?」
「ごめんっ。お母さん。夕方までに戻るからっ!」
彼女が今現在両親と住む古いアパートを後に元気良く駆け出して行く。
「全く、そそっかしい所は本当、父親似なんだから」
ピンクのバンドにキュッと縛った水色髪を揺らしながら小さくなるマリオンに、やれやれと、母親は遠い異国に住む父親に語りかけていた。
そして、マリオンは待ちわびていた親友との待ち合わせ場所に向かう。
果たして、その親友とやらは一体っ?
つづくっ!