『招かざる者達のレクイエムーー』
静寂の闇に月明かりが照らし、おとぎ話の世界のように古き良き街並みの影が広がる。
重苦しい時計台の音色が奏で、それを待ちわびていたように一つ、又二つの影も又。突き出した屋根伝いを飛び越える。
その一つのまるで、小動物にしては異形なシルエットが重い音を響かせ。
”ぐしゃり”と地面に激突!
明らかにこの世の者じゃない姿がテムズ川の滸に写し出され。
光明な光を奏で消滅!
「はぁ……これで20匹目。全くきりがないわね」
黄緑色に広がる異形の者の体液を踏みつけ、その黄色いブーツの踵を軸に霧のように消滅。
クルクルとシルクハット状の帽子を指先で回しながら左手に持つ携帯を開き誰かしらと会話をする小柄な少女の姿が現れる。
漆黒のマントをバタバタと流しながら、赤い瞳を細める美少女。
「マリオン。あんた、又日本に居るの?…え? そうね。分かりましたわ」
たく、なんで又彼方の仕事にかかわんなきゃならないのよ。
ま、あたし達。魔法少女とか呼ばれる悪い妖魔の掃除屋はかりにもポイント高いしね。
さて、
「ええ、じゃあ明日の朝の便でロンドンから向かうから、多分夕方になるけど、んじゃ。”名古屋駅”のいつものホールで」
その会話を後に、カツンと黄色いブーツを響かせ”かぼちゃ”のネーミングを司る1人の異世界から来た少女は、再び闇に消えて行った。
つづくっ!