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ラジコンウォーズ  作者: kazu
ニイタカヤマノボレ
5/27

作戦準備(爆弾と特殊部隊)

七日(金曜日)。午前十時頃。

一軒の家のインターホンが鳴った。

「ごめんください。宅配の者ですが、荷物が届いています」

「ああ、待っていました」

 宅配の運転手の言葉の直ぐ後に、玄関の扉が開いて一人の男が出てきた。そして小さな声で言葉を発した後は、無言のまま印鑑を運転手に手渡した。

「どうも」

 そう言った運転手に、男は無言のまま玄関の扉を閉めた。

 男が手にしていた物は、三十センチほどの段ボール箱だった。

「組み立てを始めるか」

 そう言うと、玄関の横にある階段を駆け上っていった。そして向かったのは一つの部屋だった。

中央にはコタツがあり、その上にはパソコンが設置されていて、小さな立マイクもあった。そのコタツの横には、数段の棚と机が合わさった建具があり、棚の上にはぎっしりとパーツや工具が整列されていた。それも、かなりの整頓された棚だった。

届いたばかりの荷物を机に置くと、

「昨日、大西参謀長が堀越に頼んだパーツを組み込む物を、今日までに造っておかないといけないからな。山本長官が言っていた期日に間に合わないと作戦が決行できなくなってしまう」

 そう呟いていた。

その男は源田だった。そして、大西がパソコンでのスカイプ通話の遣り取りをした相手は、あの零式艦上戦闘機の設計をした堀越次郎を名乗っている様だ。

 源田は、他にも部屋の隅から買い物袋を持ってきた。それは昨日、ホームセンターで買って来た物だった。

「これだけでC4爆弾が作れるからな。それも、かなりの威力のある奴だ」

 一つひとつ、買って来た物や送られて来た物を手に取る大西だった。他にも、棚から取り出した黒い粉末状の物。それに、ガムテープと言った物も取り出していた。棚の下の方から出した物の中には、使い終わったトイレットペーパーの筒もあった。

「これに火薬を詰めれば、この部屋くらいは吹っ飛ぶだろうな」

 そう言ってニヤケた源田は、黒い粉末を白い紙の上に小山になるくらい撒いていた。そしてその粉末を包み込むと、トイレットペーパーの筒に詰め込んだ。筒の両口は発泡スチロールで蓋をした。

 その筒を二つ手にすると、横に置いていたガムテープを巻きつけていた。

「ここからは、危険を伴うからこいつを向こうに置いておこう」

 数個の火薬筒を部屋の反対の隅に持って行った源田は、再び机に向かうと、

「起爆回路の製作に入ります」

 と、独り言のようにつぶやいた。

 カラカラと音を発てて銀色の針金がリールから引き出されると、それを小さな基盤に近付けた。そして、もう片方の手には半田鏝が握られていた。鏝先から白い煙が出ると、得意気な顔でそれを見る源田だった。

 そんな作業が行われている部屋の中では、今流行の音ゲームの音楽が大音量で流れていた。そこで歌っている歌声は、あの渋谷とお台場での犯行後のメッセージで流れた女の子の声だった。

 数時間後には、数個の起爆回路も完成していた。そして、最後の一個を造ろうとした時だった。

「この爆弾の作成風景を、ネットの動画サイトに投稿するか」

 笑みを浮かべてそう言った源田は、スマートフォンを机にセットすると、

「ここに薄いセロハン用紙を敷いて、火薬を一山作ります」

 弾んだ声で説明をしながら、動画を撮影し始めていた。そして最後の一個を造り終えると、

「これをアップして、一儲けしましょうかね」

 と呟いた。

 源田は、この他にも動画をネットに投稿して儲けていたらしく、その金額は数十万円にも達していたのだ。さっきまで造っていた爆弾の費用も、それで儲けたお金で材料を購入していたのだ。

 現在のニートの姿だった。

 その後、何かを思い出した様に、

「そうだった。今回の作戦で決定打を討つ秘密兵器があった」

 そう呟いた源田は、

「前に堀越に作ってもらったパーツがあったな。あれを組み立てれば、特殊部隊が五体作れるからな。あれだと、見つかる事無く敵地に侵入できる。その上、時限式爆弾も設置できるし、設置して戻って来る事も出来る。まさしく特殊部隊。名付けて『甲標的ロボット』」

 そんな事を漏らしながら、棚の上に置いてあるプラスチックケースを下ろした。そして中から部品を取り出すと、半田鏝を片手に組立て始めたのである。



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