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01-04 屋敷の地下室

 作者風邪で寝込んでいました。

 寝込みながらもiPodで執筆していたので、文法とか表現がおかしいかもしれません。

 ・・・今もベッドの中(笑)


2011/1/9追記:

 風邪は治りました←

 感嘆符(!?)の後にスペースを入れました。

 若干の訂正をしました。


2011/6/12追記:

 改定と再投をしました!

 少しは文章がマシになっていると……いいなぁ^^;

 アレイシアとナディアは茫然としていた。

 それも当然である。実践を一度もした事の無い全くの初心者が、初めて使った初級中の初級の火炎魔法で二百テルム(五十メートル)に渡って焦土に変えたのだから。

 ただアレイシアは、魔法を放ったのが屋敷側ではなく裏庭の森側であり、誰もいなかったのを良かったと思っていた。草木や虫、もしかしたら居たかもしれない小動物達に対しては御愁傷様、と言うべきだろうか。


「あ、母様? どうすれば……」


「……もしかして、私に内緒で魔法の練習してた?」


「いや、そんな事は無い!」


 そう言いつつも、激しく頭を横に振るアレイシア。長めの黒髪が顔面に当たり、それを若干鬱陶しそうに横に分け直す。


「……それはそうか。練習してたらこんなに魔力を暴走させないだろうし。よし、とにかく今はそのあまりにも多い魔力を上手く制御出来る様になりましょうね!」


「あ、待てっ! 引っ張るな、服が伸びる!! うわっ!?」


 ナディアは、アレイシアの着ている服の襟元をがしっと掴むと、引きずりながらある場所へと向かって行った。

 その様子を見た者は皆、先程の恐ろしい光景を見せつけられながらも微笑ましいと見守っていたという。


「……ちょっと待って!! ここはどこだ?」


 アレイシアがナディアに連れて来られた場所。そこは、魔力式ランプが壁際に並べられた、無機質でとても広い部屋だった。

 ランプが置いてある以外特に物は無く、アレイシアの叫ぶ声が空間にこだましている。


「ここは、屋敷の外れにある地下室よ。対魔法の強力な結界が張ってあるから、思いっきり魔法を使っていいからね。……魔力を上手く扱える様になるまで出さないわ」


「誰が何の為にこんな所に結界を……あと制御出来るようになるまで出さないって何で……!!」


 アレイシアは、ナディアの魔力を制御出来る様になるまで出さない宣言に落胆した様子だったが、やはりそれは当然の事だ。何故なら——


「だって、あんな威力の魔法を何度も放たれていたら屋敷がもたないでしょ? だから、制御出来る様になるまでここでみっちりと練習を付けてあげますからねッ!」


「えぇぇ!?」


 それから、アレイシアの修行は十刻にも及んだという。

 まずは先程の初級火炎魔法を放ち、魔力使用量の効率化、加減などを覚えた。その時に対魔法結界が何度も壊れそうになった事を除けば、特に事件は起こらずに修行は進んだ。

 実の所『たったの』十刻で魔力のコントロールが出来る様になるという方が異常とも言えるのだが……


 ただ、アレイシアは自身の膨大な魔力の全てをを操る事は無理なため、母親の協力のもと魔力封印の術式を使用した。この術式は、魔法陣と詠唱の混合によって発動し、自身の魔力を任意の数に分割する事が出来るものだ。

 アレイシアは魔力を七つに分割し、状況に応じて段階を変更する事にした。勿論普段は一段階だけの開放であるが、それでも一般的な吸血鬼の一・五倍程度の魔力を使用する事が出来る。

 念じるだけで簡単に二段階、三段階と変更して魔力を開放できる辺り、複雑な割には手軽で便利な魔法だった。




 吸血鬼の基本活動時間は夜である。

 そのため、屋敷の地下室に修行に行った時はまだ夜だったのだが、今ではもうすっかり日が高く登っている。


「暑い……死ぬぅ……」


「ほら、もう少しで屋根があるから!」


 この世界の吸血鬼は、日光に当たっても身体が消滅する事は無い。その上、流水を気にする必要も無いのだ。……ただ、日光と水に多少弱いという程度なのである。

 日光に対する弱さは時とともに薄れるため、母親のナディアはまだ大丈夫だったのだが————





 それから更に三年が経つ。

 十一歳になったアレイシアは、中級魔法もある程度使える様になっていた。本来中級魔法を使える様になるには、十年程の月日が必要な筈なのだが。全く、異常な学習速度である。

 今では始めの様に魔力を暴走させる事も無くなり、任意に大量の魔力を初級魔法につぎ込んで、上級魔法にも引けを取らない威力を発揮させる事も可能になっていた。本来、初級魔法はあまり多くの魔力を受け付けない筈なのだが、そこを大量の魔力で力押ししてそれを可能にしてしまっている。それを知った父、オーラスは、娘の魔法魔術に対する素晴らしい才能に喜ぶでも無くただ呆れていたという。


 アレイシアは今、魔法魔術研究所と成り果ててしまった屋敷の地下室にて飛行魔法の研究をしている。

 多くの本を読んで調べて行くうちに分かった事の一つに、この世界には飛行魔法が存在しないという事があったのだ。人型で空を飛べるのは獣人の中でも鳥人や、獣人の最強種である龍人、竜人のみであった。

 極東の地に住まう妖怪という人外の中には、人型で空を飛べる者も居るという噂だが、その辺りの真偽は不明である。極東の地ってジパングだよな、と思ったアレイシアはこの時、いつか絶対に行ってやると決意した。


 飛行魔法が存在しないという事にはアレイシア自身かなりがっかりしたため、無いのなら自分で作ると随分前から決めていたのである。とは言っても、人類の空を飛ぶ夢はどの世界でも共通のものらしく、多くの魔法魔術研究者達が挑戦しているため簡単な事では無いだろう。


 しかし、以前下から吹き上げる風で自身の体を浮かせられないものかと考え、実行に移した時。スカートが大きく捲れ上がったものの、足が僅かに浮いた状態を五秒間維持する事が出来たのだ。

 これで希望の光が見えたと思い、アレイシアは更に研究をし続けたのである。結果、スカートの件の反省を活かし、風を弾く結界を自身の周囲に張るという答えに辿り着いた。


「願いよ届け。我、宙を舞わん事を望む。飛行!!」


 アレイシアが一から作った完全オリジナルの魔法であり、東次による地球の物理学の知識をフル活用した飛行魔法は————


 フワッ……ガツン!!


「……痛あぁっ!」


 一瞬浮かぶもすぐに落ち、失敗に終わってしまった。

 運が悪い事に頭から落ちてしまったアレイシアは、涙目で頭をさすりながら何がいけなかったのかと考える。そして、アイデアが記された卓上のノートに手を添えた。


「……あ!!」


 羽ペンで描かれた、円の中央にある棒人間の絵と、その周囲を覆う幾つもの矢印。恐らく、円が風を弾く結界、棒人間がアレイシア、矢印が気流を表しているのだろう。

 アレイシアは、円の上部の矢印に指を走らせていた。そこでは、上向きから下向きに矢印の方向が変わっており、結界を包み込む様に風を流すという意図が感じ取れる。

 ただ、アレイシアは考えた。この上部の下向きの風が、自分の落下を引き起こしたのでは無いかと。

 そこで彼女は気流を見直そうと思い、また研究机に向かって行った。




 それから数ヶ月。テラスで本を読んでいたナディアは驚きの光景を目の当たりにする。


「か、あ、さ、ま!!」


「あ、アレイシアちゃんどうしたの!?」


「飛行魔法が完成したから、外に出たくて来てみただけ」


 浮かんでいるアレイシアのその言葉にかなり驚いたナディアだったが、すぐに驚きも通り越して呆れてしまったため……


「……はぁ、行ってらっしゃい。二刻以内に戻って来てね」


 と、そう言った。


「分かった、行ってくる」


 そう言い残し、アレイシアはその場を後にした。






 イルクス王国の王城内広間にて、二人の人間が話をしていた。片方は、三年前にアレイシアの断る断る攻撃を受けたイルクス国王だ。


「アレイシアは物凄い知識を有する才女だ。国の上層部に入れられればなかなか有用な人材だろう」


「確かにそうじゃろうがな……三年前に息子の嫁にと思って誘った時も断られてしまったから、誘いごとは難しいじゃろう」


「何!? 国王の誘いを断っただと?」


 驚いた様に言う男は、国の政務の一部を任される者であり、国王に従う者の一人だ。その様な立場上、国王の誘いを断るなど言語道断だと思うのは当然の事であった。


「そうじゃ。将来王妃に成れると言っても断られてしまったんじゃよ。その、何と言ったかな? ロリ……ロリコンとか言っておったかの?」


「……ロリコンが何を指し示す言葉なのかは分からないが、その様な無礼者を許すわけにはいかない! 不敬罪だ!!」


「待て、(わし)が許したのじゃから、いいと言っているではないか」


「しかし彼女は……っ!!」


 男はそう言いかけるが言葉を飲み込み、失礼しました、と一言残して広間を去って行った。


 国王は勿論、これが後に悲劇をもたらす事になるとは思いもしなかっただろう。



 感想評価や誤字脱字の報告、どうぞご気軽に送ってやって下さい! 喜んで直しに参りますので^^;


 ……最後のあからさまなフラグは気にしない方向でw

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