表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/100

03-13 ユーニスの剣

 遅くなりましたが、更新です!


 サイト作成に奔走していた所、遅くなってしまいました……^^;


 そして、読者の皆様に感謝です!

 総合評価が2,200も超えました!!


 では、どうぞーっ!

 馬車の机の上で魔導書を広げ、刀を外して自身の横に置くアレイシア。これから丸一日、馬車の中で過ごす事になるのだが、どうやって暇を潰そうかと考えを巡らす。


「……そうだ!」


 アレイシアは机の下に手を潜らせ、そこに亜空間への入り口を開く。そして、中からユーニスの剣と数個の鉱石を取り出した。

 その鉱石は、先日アレイシアが壊滅させた盗賊からかっぱらった物であり、本来は盗まれ元の鉱石採掘員の物だ。

 しかし、報酬として鉱石を貰える事になっているため、その分が減ると考えれば全く問題は無いだろう。アレイシアは剣と鉱石を机に置くと、先ずは鉱石に含まれる成分を見極めるべく、一つの黒い鉱石を手に取った。



 コトッ————


 最終的には鉄鉱石だけを机の上に残し、他の鉱石を亜空間の中に仕舞う。勿論、全ての鉄鉱石を使う訳では無いため、亜空間の中で鉄鉱石とその他を分割しておいた。


 鉄鉱石に神力を流し、己の意思で矛盾を発生させる。内容は、特定の元素のみの瞬間移動だ。

 これによって、風系統と火系統を合わせた業火で熱し、不純物を取り除くといった非常に骨の折れる過程を省略出来るのだ。アレイシア自身も、自分の能力にこんな使い道があるとは始めこそ思い付かなかったのだが。


 頭の中でしっかりと、鉄の形を想像する。ここで言う形とは元素の構造の事だ。

 当然正確なイメージは出来ないが、これで意思と能力を繋ぎ合わせる精度が上がる筈だ。

 そして、アレイシアは能力を発動させる。


 ————動けッ!!


 ゴトッ!


 強い意志に、鉄鉱石の中から純度百パーセントの鉄のみが抽出されて机の上に落ちる。

 元々鉄を含んでいた筈の鉄鉱石は、不純物の塊となってサラサラと砂の様に崩れ落ちた。


「うわぁ……」


 自分で行った事ながらも、目の前で起こった事に驚いたアレイシアは、作業を進めるべく抽出された方の鉄塊を持ち上げる。


 それに飛行魔法をかけた後、更に神力を込めて再び能力を発動。鉄は常温で溶けるというごく単純な矛盾を付加させた。

 飛行魔法によって空中に浮かんだ鉄はドロドロと溶け出し、光を反射する液状の球と化す。これで、鉄を加工する際に高温の炉を使わずに済む。


 能力で空気から炭素を分解、それを鉄に混ぜ込んでより強度の高い鋼を作って行く。

 更に、超高純度の鉄は錆びにくい。これを使えば、世界中の鍛冶屋が夢見る最高の剣が作れるだろう。


 アレイシアが作業をやり始めてから二刻程。剣の方も同じ過程を経て、後はヒビの入った部分に鉱石から作った鋼を入れるだけとなった。

 ここまでくればもう簡単。能力でぱぱーっと剣の穴を埋めてしまえばいい。


「お、終わった……」


 アレイシアは疲れたのか、腕を伸ばしてそのまま机に突っ伏してしまう。その目は既に眠そうだ。


 ————あ、片付けなきゃ……


 机に散らばった鉱石を亜空間の中に投げ込み、剣は自身の刀の隣に置いておく。

 崩れた不純物の砂は、風魔法で外へと飛ばしておいた。


 そして、前方に座る御者さんに向けてアレイシアは話し掛ける。


「あの、御者さん?」


「ん?」


「貴方って、国王から送られて来た人?」


「あぁ、そうだが……?」


 御者さんは首を傾げ、質問の意図が分からない事を示す。

 彼女は寝る前にこの質問によって、この御者さんが信頼出来る人物なのかどうかを確かめたのであった。

 寝ている間にまた心臓を刺されました——となっては流石に冗談じゃ済まされないからだ。

 未だ首を傾げている御者さんをよそに、アレイシアはどこか安心した様な表情でそのまま眠りに落ちた。







「おーい、起きろー!」


「んぁ……」


 涎を垂らして眠るアレイシアを起こそうと、御者さんは彼女に声を掛ける。

 しかし、帰って来たのは寝言だけ。全く起きる気配は無い。


「おーい!」


 つんつんつん。


「ん、んぅ、んぅぁ、なに……?」


 数度の呼びかけと頬をつつく事によってやっと目を覚ましたアレイシアは、御者さんに眠たげな視線を送る。

 先日の吸血によってアレイシアは、すっかり低血圧で寝起きが悪くなってしまっていたのだ。


「寝かせてよ……」


「いや、もう王都に着いたぞ?」


「え、もう?」


 その言葉でアレイシアは、一気に眠気が覚めて行くのを感じた。

 慌てた様に刀を手に取ると、すぐにそれを左の腰に差す。


「あぁ、イルクス王都ギルドの馬車停留所だ」


「あ、ありがとう!」


「どういたしまして。それと、これからどうするんだ?」


「そうねぇ……」


 アレイシアはそう言われ、考え込む様に腕を組んだ。その仕草一つ一つが可愛らしいとは口に出さない。


「なら、ちょっと国王に会って来るわ」


「……そうだったな」


 その後、御者さんはギルドの受付で手続きを済ませ、アレイシアの元へと戻って来た。

 どうやら、これから一日この場所に馬車を止めておく許可などを取ったららしい。


 アレイシアは御者さんに挨拶すると、遥か離れた場所に見える城へと走り出す。

 建物の多い中心街からでも見えるその城の大きさと存在感は、やはり他とは群を抜いていた。





 城の跳ね橋前に辿り着いたアレイシアは、以前来た時と同じ様に両側に立っている兵士に話しかける。


「あの、国王様に謁見する御時間を頂きたいのですが……」


 普段の活発な少女らしい雰囲気は何処へやら。アレイシアが兵士に話しかけるその様子は、誰から見ても完璧な貴族令嬢の様だった。

 ……いや、事実彼女は貴族令嬢なのである。彼女が持つ元々の性格が、そんなイメージを遠のけて行っているだけなのだ。


「君は……あぁ、いつかのアレイシア嬢!」


「ぶっ!?」


 アレイシア嬢。

 その言葉に彼女は思わず吹き出してしまった。まさか嬢などと呼ばれるとは思いもしなかったのである。


「ど、どうした? 大丈夫か?」


「……大丈夫ですよ。ただ、嬢とか呼ばれ慣れていないだけで」


「そうか、すまない……」


 兵士はそう言うが、互いに気まずい雰囲気へと移り変わっているのがわかる。

 その状況を打ち破ったのは、兵士の後ろから突如現れたレオル王子だった。


「お、アレイシア! 来てたのか!」


「……あ」


 王子の存在に気付いたアレイシアは、すぐにそちらの方へと駆け寄って行く。

 当然、アレイシアが進んで向かって行きたいと思う相手では無いのだが、この気まずい状況よりはマシだと考えたのだろう。


「謁見がしたいんだっか?」


「そうよ」


「なら、俺が今から頼み込んで来ても良いぞ?」


「ありがと、お願いするわ」


 アレイシアはそう言うと、王子と一緒に跳ね橋を渡って行ってしまった。

 兵士はそれを止めようとするが、二人の仲の良さそうな光景を見ていると自然とそんな気持ちも失せてしまう。


 勿論、彼女だけで王の間に突っ込んで行っても謁見は出来ただろう。しかしこれは、あまり問題を起こしたくはないという彼女の本音によるものであった。


 そしてアレイシアはレオル王子と一緒に、二度目となる謁見の間へと向かって行った。

 感想評価や誤字脱字の報告、アドバイスなどをいつでも大歓迎しております!


 Web拍手の方からも、コメントをお気軽にどうぞ^^




アリア「感想評価を入れて行ってくれないと……」


セリア「私も悲しいんだからっ!」


アリア「……で、ではまた次回! と言いたい所だけど、七篠言平の製作中のサイトがここで公開されているわ」

http://sites.google.com/site/festingonbei/


セリア「工事中だらけでも良いという方は見に来てね! 小説にはまだ載せていない絵も、こちらでは先に公開する予定なんだって!」


アリア「では、感想評価をお待ちしておりま~す♪」


セリア「次回も待っててね~!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ