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01-03 アレイシア、魔法を使うの巻

 タイトルはノリですw

 あまり気にしなくてもいいのかもしれません。


2011/1/8追記:

 感嘆符(!?)の後にスペースを入れました。

 若干の訂正をしました。


2011/6/7追記:

 文章の全面的改定と再投を行いました!

 描写が増えたためか、文字数も多くなっております^^;

 今日はアレイシア八歳の誕生日だ。

 彼女の身長も既に四テルムを超えており、長めで腰まで届きそうな黒髪がとても映えている。テルムと言うのはこの世界における長さの単位であり、大体四テルムが一メートルに相当する。

 この日はパーティを催す事に決まっており、平民貴族関係無しに多くの人が集うという。アレイシアの両親がパーティーで知り合ったという事もあるからか、事ある毎に大人数を呼び、パーティーを開こうとする習性の様な物を持っているのだ。

 この辺りでは神童と有名なアレイシアを一目見ようと訪れる者も多く、その中にはイルクス王国の国王が来るという話もあった。母親は『何かコネを作っておいて王子様と結婚しちゃえば?』と薦めたものの、勿論アレイシアは興味が無いので完全に無視していた。



 町の中でもなかなか腕の立つ職人に作らせた子供用の純白のドレスを着用し、小さく輝くルビーが付いたネックレスを首元に付けているアレイシアは幼いながらもかなり美しかった、と言うのはパーティーに参加したある男性の話である。


 現在アレイシアは、自身の目線よりも高いテーブルの前でジュースを飲んでいる。このジュースはパーティのために用意された物で、モルという果物から取れるという。

 モルと言うのは高い木に生っている林檎程度の大きさの実で、体力回復にも優れている。そのため、モルジュースは多くの冒険者たちによって飲まれているのだ。

 魔法薬の原料としても有名なため、アレイシアとしては是非とも飲んで見たかった。味は地球で言う所の、葡萄と林檎を合わせて更に酸味を足した感じである。


 と、アレイシアがモルジュースを味わっていた時、急にそのテーブルの前に父であるオーラスと長めの白い髭を持つ男が現れた。その髭男の後ろには三人程、鎧を身に付けた兵士の様な人が立っている。


「アレイシア、国王様がお見えになった様だ。くれぐれも粗相の無い様に」


「分かった」


 どうやらその髭男は国王の様で、国王はアレイシアの顔を見るなりすぐに近づいて来た。


「君がアレイシアで間違いないかね?」


「うん。……私が違かったら父様が連れて来ない」


「ほほっ、そりゃあ全く正論じゃな」


 アレイシアは、愉快じゃ愉快じゃと笑う国王に冷めた視線を送り、モルジュースを口に含む。国王の後ろに居る鎧の人達から僅かな殺気が放たれた。


「ふぉっふぉっ……!? そんな目で見ないでくれるかの?」


「嫌だ。……なら用件は?」


 アレイシアは一先ず無駄な話はやめて本題に行こうと促す。ただでさえ今日一日中、本が読めずにアレイシアは苛立っているのだ。


「十二歳になったら、(わし)の息子の嫁に来て欲……」


「断る」


「す、既にオーラス殿とナディア殿には話し……」


「だが断る」


「将来王妃に成……」


「それでも断る」


「何故じゃぁぁ!」


 間髪入れず断るアレイシアの様子に、遂に国王が叫ぶ。

 アレイシアとしてはこの誘いを断るのは当然の事だった。それは、アレイシアの前世が男だったからでもあるが、王の息子とは即ち王子。この国の王子は一人だけで、歳は二十五程度だった筈である。

 ————そう、決してアレイシアの歳に近い訳では無いのだ。


「その王子はロリコンかっ!!」


「…………ロリコンとは何じゃ?」


「……いや、古代語を語源に持つ素晴らしいと言う意味の言葉だ」


 確かに古代語と言うのは当たっている。何故ならロリコンは、ロリータコンプレックスという英語、もといエングライシアの省略形なのだから————


「む? そうか。何処か納得がいかぬのじゃが……?」


「気のせいでしょ? あと、別に私は王妃になんて成りたく無いから」


 そう言ってその場を離れようとするアレイシアだが、国王に呼び止められる。


「待ってくれ! なら十二歳になったら国立の魔法魔術学園に入らないかね? 儂からのお墨付きという事で最高レベルのクラスに編入させる事も……」


「それには興味ある。前向きに考えておこうかな? 決まったら父様に伝えて手紙を出してもらえばいいか……」


 そう言い残し、アレイシアはその場を離れて行った。

 後ろの兵士達が何故アレイシアを討たなかったかと言えば、国王に止められていたからである。曰く、未来のある子供に変な影響は出せないとの事だった。

 これは、魔法魔術学園に彼女を推薦しようとした事からも理解出来るだろう。





 さて、歳の頃八歳といえば何がある日だったか。それは、母親による魔法魔術使用禁止令の解除だ。

 パーティーの翌日、東次(アレイシア)は、ファンタジーの醍醐味と言える魔法魔術を扱える様になるという事からか、六年間待った甲斐があると非常に喜び、部屋の角で埃をかぶっていた本『魔法魔術詠唱術式全集~初級から上級まで 第三版』をすぐに引っ張り出して来た。

 幸い、六年間でこの本の第四版は出版されなかったため、本を新しく買いなおす手間は省けた。魔法魔術は全て母が教えると言う事になっているため、アレイシアは中庭で待っている母の元へと本を持って駆けて行った。


「母様!」


「アレイシアちゃん! やっと来たわね。準備は出来てるわよ」


 そう言うナディアの横にアレイシアは立った。そこには直径十テルム程度の大きな魔法陣が描かれている。魔法陣とは最も有名な術式の一つであり、結界など、魔法を固定すべき場所には比較的良く使われている。

 例えば、敵襲や災害に備えて建物に張る強化の結界もあれば、炎に対する防御に特化した火事知らずの結界などもある。

 今アレイシアが立っている魔法陣は、魔力を感じやすくなる結界を張るためのものであり、これから魔法を習おうとする全ての者に共通する『体内、自然に存在する魔力を感じ取る』という過程を成功しやすくするものだった。

 これからアレイシアは、結界によって鋭くなった感覚でナディアが放つ魔力を感じ取り、体内や自然から似た『モノ』を探し出すという最も一般的な方法を行う。


「じゃ、大丈夫ね。魔法陣に魔力を流すわ」


「分かった。遂にッ……!」


 そこまで言いかけた所で、突然視界が真っ白に染まる。何があったと考えるも、気付けば身体中が痛みだし、痺れたような感覚に襲われそのまま意識を手放した。






 何時の間にか、辺り一面真っ白な四角い空間に立っていたアレイシア。そして、目の前にはあの黒髪の美人さんが立っている。ちなみに今回は、青と薄緑のドレスを着ていた。


「こんにちは、今日もいい天気ですね」


「……まずは質問に答えろ。何故私はまたここに居る?」


「それは魔力に対する耐性が不十分だったからよ。ただでさえ常人よりも遥かに鋭い魔力に対する感覚、感覚鋭敏化の魔法が合わされば、少しの魔力でも身体中に激痛が走るでしょうね」


「……なるほど、それで私は気絶してこの夢を見せられていると」


 アレイシアはうんざりしたように言うが、それ程アレイシアの感覚が優れているという事に他ならないのだ。

 普通の人間や吸血鬼でさえ、殆どがこの方法で魔力の感覚を掴むのだから。


「大丈夫、もうすぐ目は覚めるから。あと、この事を伝えるためにも呼んだんだけど、矛盾を操る能力は十二歳頃に使えるようになる予定だからね。あと感覚鋭敏化の魔法陣を使わずに先程の方法を試してみるといいわ」


「能力の方は分かった。魔法陣を使わないやり方も試してみる。それと、貴女の名前は何て……」


 そこまで言いかけた所でまた意識が遠のきはじめ、最後に「私の名前は絶対に教えないんだからねっ!」と聞こえた気がした。




「起きて! アレイシア!!」


 アレイシアの耳に、何処か悲痛そうな声量で自身の名を呼ぶ声が届く。呼んでいるのはどうやらナディアの様だ。霞んでしまっていて、声はあまり良く聞こえない。


「あぅ……母様?」


「よかった……いきなり倒れるから心配しちゃったわ……何でかしらね?」


 かなり心配そう、かつ不思議そうに聞くナディアにアレイシアは答える。


「うん……きっと感覚がもともと鋭過ぎたんだと思う。何か魔力が痛かったし……だから、一応魔力を出してみて」


 アレイシアにそう言われ、ナディアは鋭過ぎたとか自分で言わないでよ、と呟きつつも、ナディアの利き手である左手から魔力を出す。

 そして、アレイシアはその魔力を逸早く感じ取った。


「……へぇ、これが魔力」


「え、分かったの!?」


 驚くナディアを無視し、アレイシアは感覚を掴んだばかりの魔力を操り、知識としてだけ持っていた詠唱を始める。


「願いよ届け。我、魔法が行使されん事を望む。火よ!!」




 そう言った瞬間、アレイシアの目の前に巨大な(ほのお)が現れた。その炎球は、中庭の裏、森がある方向へと二百テルム(五十メートル)に渡って焦土に変える。


 その状況を見ていた屋敷の人達の多くは、そのあまりの威力に恐怖を覚えたという——


「……へ?」


 魔法を放った張本人のアレイシアでさえこの反応だ。

 彼女はこの時、始めての魔法の行使で、その便利さと恐ろしさを実感したのであった。



 感想評価や誤字脱字の報告、アドバイスなどを心よりお待ちしております^^


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