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03-03 盗賊の隠れ家 2

 アレイシアが扉を開け放った瞬間。目に入って来たのは、明らかに盗賊といった格好の三人と、見窄(みすぼ)らしい服装をした四人の男女だった。

 三人の盗賊はアレイシアの姿を見るなり、目を白黒させながら奥の扉の方へと叫ぶ。


「ぉ、お頭っ! 侵入者だ!!」


「……!! しかもこいつ、年端も行かねぇ女だぜ!?」


 その言葉を聞きつけたのか、扉の奥からはドタバタと。明らかに、何人もの人が扉へと押し寄せて来ているのが分かった。


 そして、その扉がわずかに開かれた瞬間———


「氷球!」


 ガンッ!!


「ぎゃぁぁっ!?」


「うぐわぁっ!!」


 アレイシアによって放たれた氷球が、扉の表面を強く直撃する。その攻撃により、ある者は扉で腕を挟み、ある者は体を強く打った。


「……こ、こいつ……!!」


「よ……っ!!」


 近くの壁に立て掛けてあった剣を手に取り、アレイシアの方へと走り出す盗賊三人組。


 一番最初にアレイシアの元へと到達した一人目の男。横薙ぎの一閃を、そのか細い胴を引き裂かんと言わんばかりに放つ。


「遅い……ッ!!」


「お!?」


 しかし、アレイシアからしてみれば、その攻撃はあまりにもゆっくりとしたものだった。

 しゃがむ事によって当然難無くかわしたアレイシアは、更に上方から迫り来る二人目の男の剣を、バックステップで舞う様に移動。こちらもかわす事に成功した。

 攻撃が遅れた三人目の男。アレイシアは体勢を低く取ると、その男の足元まで一瞬で移動。腹部に思いっ切り身体強化付きの蹴りを見舞った。


「ゲファッ!?」


「ちょ、ま……!!」


 口から血を吐き軽々と吹き飛ばされた男は、その後ろに立っていた一人目の男に当たり、そのまま床に崩れ落ちる。二人共、どうやら頭を打って気絶してしまった様だ。


「……さて、と」


「ひ……!!」


 アレイシアは立ち上がり、一人立ちすくむ男の方へと向き直る。それを見た男は、恐怖によるものなのか、息を呑んで足を震わせた。

 一歩一歩、恐怖を煽る様に。ゆっくりと歩を進めて行くアレイシアの様子に、思わず後退る男。……当然本人としては、恐怖を煽るつもりなど毛頭も無いのだが。


 ザッ!


「……ぁ……!!」


「おやすみっ!」


 二人の距離があと二歩程度になったその瞬間。アレイシアは男の背後に瞬間移動し、首筋に手を当てて少量の魔力を流した。闘技大会で相手を気絶させるのに使ったあの手法である。


 アレイシアは、三人が気絶した事を確認すると、その場で呆然と座っている四人の男女の方へと目を向けた。良く見てみれば、その場の四人は全員猫人であった。更にその内二人は、十歳程度の少年少女である。


「貴方達は、どうしてここに?」


「……あ、僕達は……ッ……!!」


「あ、言いたくなければ言わなくても良いのよ?」


 アレイシアはそう言うが、少年の隣に座っていた少女が話を続ける。


「私達の村は盗賊に襲われたの……それで、私とここにいる三人は、今気付いたらここにいて……」


「……他に人はいないの?」


「村にもっと人はいたよ? でも、みんな奥に連れていかれちゃった……」


 それを聞いたアレイシアは、考えたくも無いある予想に辿り着く。ここの盗賊は、多種族が友好的に暮らしているイルクス王国から猫人を連れ出し、獣人を奴隷として扱う傾向のある他国に売り払おうとしているのではないか、という事である。


 もしもそれが本当ならば、当然放っておく訳にはいかない。アレイシアの親友であるフィアンも、言わずもがな、猫人であるからだ。人間"以外"の種族は一般的に、種族間の友好をとても大切にするものなのである。


「……分かった。私、今から奥に行ってなんとか助けて来るわ」


「え、いいの!?」


「いいんですか? で、でも、そんなに迷惑は……」


「いいって。私がやりたくてやってる事だから。利害一致よ」


 静止の声を振り切ったアレイシアは、鞘に収められた刀を抜き放ち、奥の扉の方へと歩き出した。

 アレイシアの小さな手が、取っ手を掴んだその瞬間———


「今だっ! 捕らえろぉぉッ!!」


「うぉおああ!!」


「!?」


 扉の後ろから、突如雪崩の様に押し寄せて来た盗賊。その数、十三人。

 余りの唐突さに対応が遅れてしまったアレイシアは、数秒と経たない内に体を縄で拘束されてしまう。


「く……っ!!」


「ほぉー……これはまた可愛いお客さんだねぇ……」


 そう言い、アレイシアの隣に立つ男。他の盗賊の恐れる様な反応からして、この男が盗賊の長だろう。


「お前ら、こいつは一応地下牢にでも突っ込んどけ。後で売るなり何なりすればいい!」


「オウッ!!」


 アレイシアはそのまま、盗賊の部下に抱え上げられ、四人の猫人と一緒に地下牢へと連れて行かれてしまった。

 アレイシアがその時に見た、猫人四人の絶望的な表情は、これから一生忘れる事が無いだろう。





 ドサッ!


「あぐぁっ……!!」


「痛っ!」


 ガチャン!


「そこでおとなしくしとけ!!」


 五人を乱暴に投げ捨て、地下牢の鍵を閉める盗賊の男。アレイシアが忌まわしげな視線を浴びせるも、何食わぬ顔で去って行ってしまった。


 地下牢の中には、猫人と思われる人が何人もいた。しかし、誰も喋る気力は無いらしく、斜め下を向いて暗い表情をしている。

 人数が多いせいか、それとも土がそのまま床になっているせいか。地下牢の中は、洞窟の入り口以上に湿っぽかった。


「……姉ちゃん、(ほど)いてあげる」


 先程の猫人の少年が、アレイシアを縛り付けている縄を持ってそう言う。その少年の瞳を見てみれば、今にも涙が零れ落ちてしまいそうだという事が分かった。


「お願い……」


「……うん」


 少年はまず、アレイシアの肘の位置から胴に回されている縄を解く。次に、アレイシアの背中で両手首を縛っている縄を解いた。そして最後に、スカートの上からしつこい位に両足に巻かれている縄を、両手が開いたアレイシアも一緒に解いて行く。


 やっと全ての縄を解き終えた二人。アレイシアは、床が土になっている事も気にせずに、大の字になって手足を伸ばした。


「ふぅ……ありがとう」


「……姉ちゃん大丈夫?」


「大丈夫よ。絶対に、ここから出してあげるからね」


「……うん」


 アレイシアは少年を抱き締める。すると少年は、盗賊に襲撃された恐怖と現在の安心感からか、胸に顔を埋めて泣き始めてしまった。アレイシアは少年の頭を撫で、この場の全員を無事に返す事を誓った。

 感想評価や誤字脱字の報告、アドバイスなどはいつでもどうぞ!

 遠慮せずに入れて行って下さいね^^



セリア「総合評価が1,600超えたわよ!」


アリア「読者のみんな、ありがとう!!」


セリア「では、画面の向こうの皆さんへ。感想評価、入れて行ってね!」


アリア「画面の向こうって……(笑) 感想評価、お待ちしておりま〜す♪」

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