02-08 新たな友人……?
執筆速度が上がっているw
この調子で書いて行きたいと思います!
次の日の朝、ベッドから起き出したアレイシアは、いつもより明らかに遅い時間に起きてしまったという事に気付いた。恐らく、昨日の騒ぎのせいで疲れてしまっていたのだろう。そのため、隣の部屋で眠っているフィアンを急いで起こしに行く。
「フィアン!朝よ!今すぐ起きなきゃ間に合わないわ!!」
「にゃ……?今は……」
寝ぼけているのか、猫らしい声を発しつつも今の時間を聞いてきた。
「今はもう五刻半、授業が始まるまであと半刻よ!」
「え……!?あ、急がなきゃ!!」
やっとフィアンも気付いたのか、ベッドから飛び起きて着替えの準備を始める。着る物を準備し、丁度今から着替えようとした所でフィアンは思い出したように言う。
「そういえば、昨日風呂に入っていないですね。いつもは毎朝毎晩入るけど」
「入っている暇はあまり……もういいわ、フィアンから入って来なさい!」
そう言われ、フィアンはある事を疑問に思った。それは、一般的な女子ならあまりにも当然の質問である。
「え?一緒に入るのはいけないんですか?今は時間がないからそっちの方が良いでしょう?」
「な……それはダメだって!何がダメかって言われたら、主に私の精神が!!」
「何でですか?」
「ああぁぁっ!!もういい!そんな事喋っている暇があるなら風呂に入るわよ!」
結局アレイシアが折れ、一度一緒に風呂に入ってからクラスに行く事にした。ちなみにお湯は、アレイシアが水魔法と火炎魔法を発動させる事によって一瞬で沸かす事が出来たため、設置された蛇口からわざわざ時間をかけてお湯を出す手間が省けた。変な形でありながらも、二人は改めて魔法魔術のありがたみを実感する事となった。……ただ二人は、その蛇口から出てくるお湯も、水源こそ山の川だが、実は火炎魔法で暖められているという事を知らない。
一年Sクラスに辿り着き、入り口に設置されている両開きの扉をかなりの勢いで開ける。
バンッ!!
「おはようございますっ!」
「ハァ……おはよう……」
「お、今二人が来たな。これで今日の欠席者は無し……か。二十一人中二十一人、今日は異常なし、と」
教室の中では丁度フィズ先生が出席を取っていた所らしく、二人の姿を確認すると、手に持った紙に何かを書き込んでいた。
「では二人共、席について」
「はい」
二人は隣り合った席に座り、両者共に前方にある板へと目を向ける。その板は、地球でいう所の黒板に当たる物であり、ごく微量の魔力を使った特殊な杖を使う事によって簡単に消せる文字を書く物である。
フィズ先生は板の前に立ち、生徒の方へと目を向ける。
「ではこれから、必須科目の数学の授業を始めます」
そして今、この学園に来てからはじめての授業が始まった。どうやら、日直に当たる人はいないらしい。
授業が始まってからすぐに、アレイシアは退屈を覚えていた。何故かといえば、数学の授業レベルが明らかに小学三、四年生並なのである。加減法から一部の積、及び商、更にちょっとした応用的な計算など、アレイシアとしてみれば復習もいい所だった。
そうして退屈を覚えると吸血鬼も人間も同じく、他の事を考えて時間を潰そうと思う物である。
(さっきの風呂……絶対思い出したくないっ……!! あわわわ……)
「……?アレイシアさん、ちょっと顔が赤いですね……大丈夫かな?」
アレイシアの様子が少しおかしい事に気付いたフィズ先生は、心配してアレイシアに声をかける。
「ゃ…あ、はいっ、全然大丈夫です!」
「そうか、じゃあこの問題。アレイシアさん、解いて見て下さい」
アレイシアは成る程、とそう思った。これはつまり、話をしっかり聞いていたかどうかの確認のために問題を出しているのである。
応用問題……直線上の街道に馬車が二台止まっている。それぞれが反対方向に、半刻あたり六千テルム、二刻あたり二万四千テルムで進んだ時、二台の馬車は一刻あたりどれ程の速度で離れていくでしょう?
「一刻あたり二万四千テルムよ」
「!!正解だよ。この問題は難しい筈なんだけどなぁ……一瞬で解くとか……」
……どうやらこの問題、あまり早く解いてはいけない問題だった様だ。
それから何事も無く授業が終わり、寮へと帰る時間になる。すると、アレイシアの後ろの席から誰かが歩いて来た。その人は、赤一色の簡素なドレスの上に、学園指定のローブを着ている。更に、背中の半ばまでの金髪を赤い紐で縛っていた。
「こんにちは、貴女が『黒翼のアレイシア』ね。私はシェリアナ・レイン、これから七年間は同じクラスになると思うわ。あと、実は寮の部屋が貴女の隣なのよ。よろしくね」
「……あ、こちらこそよろしく。って言えばいいのかな?……あと黒翼言うな」
「それと……これを見なさい!」
「えっ!?これは……」
アレイシアの言い分を聞かず、ローブの胸元に付いている内ポケットから二枚のカードを取り出す。そのカードの片方にははっきりと、『アレイシアファンクラブ:会員#001』と書かれていた。もう一枚は学園証であり、種族の項目には『吸血鬼』と書かれている。
得意げに二枚のカードを見せるシェリアナは、アレイシアに肩を寄せて組む様にした。
「へへへ……私は貴女が好きなのよ!がんっばって会員番号一番を取ったんだからね!」
「どーいう意味よ……」
シェリアナが言う所の『好き』は、ファンとしての好意的なものなのか、それとも別のものか。それは分からなかったが、夜の十四刻からアレイシア達の部屋に、シェリアナとそのルームメイトが来るという事になった。
夜の十四刻になる少し前、玄関の扉からノックが聞こえた。それに気付いたアレイシアは、玄関の扉をゆっくりと開ける。
「はい?」
「私、シェリアナよ。あとこっちはクレア」
「はい、よろしくお願いしますね。アレイシアさん」
シェリアナの横に居た赤髪の、フィアンよりも更にお嬢様的な少女の名前はクレアと言うらしい。
「どうぞ入って、ゆっくりしていってね!」
アレイシアはシェリアナ、クレアと共に寮室の中へと入って行った。
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~結構気に入った謎コーナー~
七篠「感想やアクセスが増え、評価も上がり、嬉しさのあまり泣きそうです。そして、この嬉しさを執筆に発散する七篠であります」
アリア「この名前、今回は出なかったわね」
七篠「ごめん、次回からになりました。夏菜様は可愛くていいと言ってくれましたので、何もなければこのまま使う予定です」
アリア「かっ、可愛いって!?ちょっ……それは……」
七篠「それにしても今回は……若干暴走してしまいました。ごめん。主に風呂の所で」
アリア「……いや、あの……」
フィア「…………あ、私も名前が」
七篠「……そうなんですよ。フィアンも(あまり変わらないけど)これでどうかと思いましてね。では次回にまた。感想や評価、待ってます!」
フィア「待ってまーす♪」
アリア「……感想が書きにくいって人はWeb拍手からコメントをどうぞ、って七篠さんが言ってたわ」