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02-02 亜空間修行

遅くなってすみませんでした。


2011/1/11追記:

感嘆符(!?)の後にスペースを入れました。

若干の訂正をしました。

 アレイシア達が到着したのは道の両脇に店が立ち並ぶ市場だった。食材や洋服、武器など、様々な物が売っている。食材も売っているのは全ての寮にキッチンが付いているからであった。とは言っても、アレイシアもフィアンも料理が全くダメなので結局レストランで食べる事になるだろう。女二人の買い物の割には洋服屋に行く様子は無く、ずっと本屋や魔導具店を回り、最終的に海鮮専門店のレストランで食事をとる事になった。

 

「このレストランには来た事があります。この魚介と山菜のスープが美味しいですよ」

 

「なら私はその一つ下のスープで」

 

「……私も同じスープがいいですから決まりですね」

 

 その後、特に何事も無く食事を取り終えた二人は寮へと帰って行った。

 

 

 

 

 学園内寮のある部屋にて、

 

「あのー……何をやっているんですか?」

 

「魔法魔術の研究」

 

「寝なくても良いんですか? いくら夜派だと言っても学園が始まる頃には結局直さないといけませんよ?」

 

「少しずつ直して行くから多分大丈夫」

 

 アレイシアは魔法魔術の研究をしていた。屋敷にいた頃は毎日やっていたので、どうしてもやりたいと思ってしまうのである。そしてフィアンに心配されるのは仕方ない事だと言えた

 

「はぁ……分かりました。私はもう寝ますね」

 

「おやすみ」

 

 アレイシアは学園に来てからずっと気になっている事がある。それは十二歳になれば使える様になるという能力の事であった。矛盾を操るとは言ってもどの様な感覚を掴めば良いのか全く分からないため、修行のしようが無いのである。

 

 

 

 

 気付けば何時の間にか、アレイシアはあの四角くて白い空間に居た。何時の間に自分は寝たのかと考えるが全く見当がつかない。

 

「こんばんは。今回は重要なお知らせがあったので催眠魔法で強制的に寝てもらいました」

 

「よし、今日こそ名前を……」

 

「私の名前は絶対教えないわよ?」

 

 この空間に来れば毎回会う黒髪の美人さんだが、名前だけは絶対アレイシアに教えないのである。これには重要な理由があるという事をアレイシアは知らない。

 

「……で、重要な知らせとは何だ?」

 

「えーと……順番に説明して行くと、魔界にあるいくつかの国は既に神界と平和条約を結んでいるのよ。要するに互いに攻め入るな、争うなという事。とは言っても当然まだ条約を結んでいない国もあるし、条約を破る国もある。今回は魔界にあるいくつかの国が協力して神界に攻め入ると思われる不穏な動きがあったのよ。だから戦力確保の為になるべく早く貴女の能力を使いこなせる様になってもらいたくて」

 

「まだ私は能力を全く使えないが……」

 

 心配そうに言うアレイシアに黒髪美人さんは近づいて行くとこう言った。

 

「貴女の魔導書に魔法陣を追加しておいたわ。その魔法陣に魔力を流せば私が引き寄せてあげられるのよ。だからそれを使って私の家まで来てくれれば特別能力レッスンを付けてあげるわ」

 

「ありがと、細かい事は後にして起きたらすぐに行ってみる」

 

 そう言うとすぐに何処かに引かれて行く様な不思議な感覚がし、意識はまた闇に落ちて行った。

 

 

 

 

「アレイシアさーん! またですか! 朝ですよー!!」

 

 フィアンの叫び声が寝室内に響き渡る。理由は簡単、アレイシアが何度呼びかけても全く起きないからである。机に突っ伏して寝ているというのも理由の一つだろう。

 

「うー……あと半日……」

 

「起きて下さいぃぃ!」

 

「だから私は昼頃に……」

 

 結局フィアンに殴り起こされたアレイシアは着替えた後、寮一階のレストランへと向かっていった。今回も、アレイシアがオススメを頼まなかった事を除けば特に何事もなく食事を終えた。

 

 寮の部屋へと戻ってきたアレイシアはすぐに、ベルトに様々な装備を付けて魔導書を手に持って開いた。黒髪の美人さんの言った通り、確かに魔法陣が追加されている。それを確認したアレイシアは床に魔法陣用の大きい紙を広げて魔法陣を写していった。魔法を行使する上での効率化のために、魔法陣を写すのに使う紙は絶縁紙と呼ばれる魔力を全く通さない紙を使用し、それに魔力伝導率の高い液体を使用したインクで魔法陣を描いて行く。

 

 写し始めておよそ一刻後、アレイシアの部屋にフィアンが入ってきた。

 

「また……何を?」

 

「今日ちょっと出かけてくる。夕方までには戻れる……かな?」

 

 そう言ったアレイシアは床に敷かれた紙を持ち上げる。そこには魔導書から写し終わった魔法陣が描かれている。アレイシアは床に紙を敷き直すとその上に立って魔力を込め始めた。

 

「それって転移魔法陣ですか?」

 

「いや、これは違う。場所を他者に伝えるためのものだ。それで向こうから私を引っ張ってもらう事が出来る」

 

 アレイシアは強く魔力を込めるがなかなか反応が無いため、二段階目の魔力を解放した。これでも既に一般的な魔法使いの十人分に相当する魔力を込めている。フィアンはその強い魔力に当てられたのか、少し気分が悪そうにしている。

 

「ちょっ…! 凄い魔力ですよ!! 明らかに入学前の生徒が出せる魔力ではありませんよね!!?」

 

「まだ反応がないな……もう少し出すかな」

 

「え!!?」

 

 アレイシアはそう言うと三段階目の魔力を解放した。丁度その瞬間、アレイシアを白い光が包み込み、フィアンが気付く頃にはその場からアレイシアは消えていた。

 

 

 

 

 眩い光が収まると、アレイシアは何時の間にか石の床の上に立っていた。目の前にはあの黒髪の美人さんが立っている。

 

「私の家にようこそ。早速始めるわよ!」

 

「……ここがお前の家か?これはどう見たって……」

 

「そう、神殿よ。奥に部屋があって、そこに私達は住んでいるわ」

 

 アレイシアが到着したのは白い石で組まれた巨大な神殿の中央と思われる、広く天井が高い場所である。

 

「で、私はまず何をしたらいいんだ?」

 

「とりあえず時間の流れが遅い空間に入ってもらうわ。亜空間、時差五万七千六百倍、発動、転移」

 

 黒髪美人さんはそう言うと、胸元の近くに持ち上げた指の先に超高密度の神力を集中させる。あまりにも多い神力の影響でそれ程時間が掛からずに空間に穴が空き、その中に一つの亜空間が形成された。それを確認するとすぐに亜空間内へと転移する。周りは何色ともつかない色で覆われ、床があるのかも分からない、奇妙な場所である。

 

「ここはあの世界の狭間に空間を作ったのとはまた違って、既に存在している空間に空間を重ねて存在させているのよ。別次元でありながらも同じ三次元に存在しているから多分安全……かな? 更に一刻を十年まで引き延ばしているからたっぷり修行出来るのよ」

 

「何というダイオ……いや、何でも無い。時間差がアレとは比べ物にならないな。五万七千六百倍か」

 

 本来の五万七千六百倍もの時間を取れるという事は修行の時間もそれだけ取れるという事であり、時間の経過や修行で得られる魔力や神力なども成長させられるという事であった。これはアレイシアが不老だからこその方法である。

 

「そうよ。これから毎日神界に来てもらって一日につき一刻を十日、ここの時間で合計百年は修行するわよ」

 

「百年とか……まぁ、分かった。よろしくお願いします!」

 

「よし!! ならまずは……」

 

 そう言う黒髪美人さんと共に、アレイシアは十年にも渡る修行をする事となる。

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