02-01 学園到着につき就寝
事情があっていろいろと大変な事に……
インターネットに接続できない環境になってしまい、今投稿出来たのも凄く運のいい偶然です。少し更新できないかもですが、その間にストックをためておく予定です。
2011/1/9追記:
感嘆符(!?)の後にスペースを入れました。
段落字下げを行いました。
若干の訂正をしました。
一月十日の早朝、アレイシアは魔法魔術学園に到着した。学園に到着する直前、寝たふりをしてみたら突然御者の人が短剣で刺してきた事を除けば何事も無く学園へと到着する事が出来た。勿論短剣は避け、手首を抑えるだけで対処出来た。御者さんは適当に縄で縛りつけて学園入り口の警備員に預けてきたので大丈夫だろう。これは後から知った事だが、国王はこの御者の事を全く知らないそうだった。国王から送られて来たと自称したこの御者は恐らく、襲撃者の方の関係者かと思われる。
それはともかく、やっと学園に到着出来たのだからまずは入学手続を済ませなければならない。入り口の門付近のこの場所からやたらと長い煉瓦の道を通り抜けると、中央に高さ十五テルム程の噴水がある広場に突き当たる。そこからまた右に続く道をずっと真っ直ぐ進めば職員室や事務室などの設備を含む教職員塔がある。それは塔であり、決して棟では無かった。塔の入り口の右にある窓に人が居るのが見えたため、アレイシアはそこに話しかける。
「入学手続はどこですか?」
「ん? お嬢さん、ここの入り口を入ってまっすぐ行った所に部屋がある。そこにまずは行くといい」
「ありがとう。あと嬢さん言うな」
その男の指示を聞いてアレイシアはすぐに歩き出し、入り口の扉をくぐって行った。ちなみに今まで外を歩いてきたが、まだ早朝なので日差しは弱く避ける程ではなかった。
アレイシアが着いた塔の一階の奥の部屋には何やら人が多く集まって列を作っていた。部屋の端には机が並べられ、教師らしき人が順番に書類を見ていた。実際は人ではないと思われる者も多く居る。尖った耳を持つ者や、尻尾が生えている者などである。この列に並び順番に入学書類を見てもらうのだと思い、アレイシアは列に入って行った。
何時の間にか列が進み、次はアレイシアになっていた。するとすぐに一番右端で話をしていた犬人と思われる人が離れて行き、アレイシアが呼ばれた。
「えー、次の方」
「はい」
右端に座っている人に呼ばれ、アレイシアはその場へと歩いて行った。
「まずは入学書類を見せて下さい」
「……これか?」
アレイシアは書類をその人に渡した。書類中の中には国王の推薦状や、アレイシア自身の情報が書かれた紙が入っている。男は書類に目を通し、時々「ほぉー」やら「うーむ」などと声をもらし、最後にアレイシアへと薄い金属板の様な物と紙を渡した。
「その板は学園証と呼ばれる物だからくれぐれも無くさないように気をつけて。紙の方にはこれからの動きが書かれているからよく読んでおくように。あと寮の部屋もその学園証に書かれているからね。……あ、そうだ。僕は教師をしていて名前はフィズ・エイレル。またいつか学園で会うかもしれないからよろしく」
「ありがとう」
アレイシアはその言葉を受けてすぐに机から離れて行った。
教職員塔を出てしばらくした所に学園全体図が設置されていたため、それを参考に位置を把握して寮へと歩いて行くことにした。学園全体図によれば、寮は教職員塔からまっすぐで着く様だった。この学園の全体図を見てまず驚いたのはこの学園の広さである。学園の入り口は東側、中央に噴水の広場があり、一番奥にあたる西側には多くの生徒が学習する校舎がある。北側には教職員塔、南側には寮がある。更に校舎の両脇には四つの実践魔法用闘技場、ギルドの学園支部、買い物などが出来る市場があり、学園の外に出なくてもありとあらゆる事が出来るようになっている。これは学園から一番近くの町でも馬車で三刻以上かかってしまうからこその設備である。
歩き始めて四半刻、やっと寮のロビーに到着したため学園証を見て見る事にした。フィズ先生によれば、学園証には寮の部屋についても書いてあるそうだったからだ。
学園証を見てみると、右側にある名前などの項目の下から二番目に「寮番D204」と書かれている。これが恐らく寮の部屋番号だろう。これが意味する場所はD塔の二階の四号室に当たると推測出来るため、寮全体図を頼りにD塔に向かって行った。
D塔の二階へと魔力式エレベータで上ったアレイシアは、廊下の一番奥の四号室の前に立っていた。学園証を扉の右に備え付けられたホテルのカードキーの様な場所に差し込み、ゆっくりと扉を押して行く。すると何故か部屋の中から声が聞こえた。
「誰ですかー?」
「……この部屋は二人部屋だったのか?」
部屋の中から出て来たのは、水色のドレスを着た猫耳尻尾付きで茶髪のいかにもお嬢様といった感じの少女だった。身長は猫耳を合わせてもアレイシアより少し低い程度で、髪は肩の少し下辺りまである。
「もしかしてこの部屋で一緒に住む人ですか?」
「そういう事になるな……私はアレイシア・ラトロミアだ。一応よろしく」
「あ、私はフィアン・エンレイスといいます。よろしくお願いします」
お辞儀したフィアンに部屋の中に促され、リビングルームに置かれている机を囲んでフィアンと座ったアレイシアは話を続ける。
「で、フィアンは今何年生なんだ?」
「まだ一昨日来たばかりです。多分一年生になると思いますよ」
「要するに同級生かな……これからどうすれば?」
「書類受取の先生からもらった紙によれば一週間後にクラス選定検査があるみたいなので、それまでは自由ですね」
その説明にアレイシアは分かった、と一言いうとすぐに部屋のソファに移動して寝てしまった。
「あのー……どうしたんですか?」
「眠いから寝る。学園見て回りたいけど夕方からでいいな」
「えぇーっ!? まだ朝ですよ?」
「私は吸血鬼だ。それに学園につくまで魔法で無理やり目を覚ましながら丸一日一睡もしていないから。夕方に起こして。おやすみ」
「吸血鬼だったんですか……私で良ければ献血しますよ?」
フィアンの優しい言葉は結局アレイシアの耳に届かなかったが、フィアンは結構本気でアレイシアになら血を吸われてもいいと思っていた。
「アレイシアさん、朝で……じゃなくて夕方ですよ!」
「ぅ……あと半刻……」
「起きて下さーい!」
フィアンに夕方に起こしてもらったアレイシアは、持参の鞄の中から着替え用の黒いドレスと魔導書を取り出した。これは勿論外出の準備のためだ。黒いドレスは完全にナディアの趣味なのだが、流石にここ何年も着せられていれば慣れてしまう。アレイシアは着替えようとした所で急にフィアンに話しかけられた。
「これから行く場所は学園内の市場でいいですね。買物もしたいですから」
「そうだな……私も買いたい物があるから少し見てみるかな」
「それと……」
「何だ?」
「同性なのに何で隠れて着替えるんですか?」
「なっ…! それは別にっ……!」
着替えを済ませ、魔導書を手に持ち財布や魔法薬ホルダーを腰のベルトに付けたアレイシアは玄関へと向かう。玄関の扉の前には既にフィアンが立っていた。
「黒くて飾りの少ないドレスにベルトというのも良いファッションですね……参考にしてみましょうか……」
「大体いつも私はこんな感じだ」
「へぇー、そうなんですか」
「そうなんです。とか言ってる暇があったらさっさと行くぞ」
「あぁぁ…待って下さいぃ!」
すぐに玄関を出て行ってしまったアレイシアを追いかけるように、急いでフィアンは走って行った。
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