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02-18 剣術科の場合

 その後、研究科の授業を終えたアレイシアは、一人で剣術科の行われる実践魔法用闘技場へと向かった。今はひとまず、魔法魔術の各系統よりも剣術科に行っておきたかったのだ。

 到着した時間は少し早かったようだが、すでに先生はその一角で武器の手入れをしていた。何とも『らしい』光景である。先生以外にも、生徒で既に武器を持っている人もちらほらと見える。ここでは武器を貸して貰えると話には聞いているが、アレイシアは出来れば早めに剣が欲しかった。

 剣は店で買うべきか、あるいは注文するべきか、自分で作るべきかと考えている内に、先生は武器を置いて皆の前に立っていた。

「はい、注目! これから、剣術科の授業を始める!!」

「…………」

「こらっ!! そこは『よろしくお願いします』と言う所だろ! もう一度! これから、剣術科の授業を始める!!」

「……よ、よろしくお願いします!!」

 生徒は皆、先生のあまりの気迫に引き気味になりながらも、言われた通りの挨拶を返す。アレイシアも若干、この先生に対しては苦手な印象を抱いてしまった。

「よろしい! では、剣の基本的な種類から説明して行くぞ! いいな?」

「…………」

「こらっ!! 問いかけられたら『はい!』と答えるんだ!」

「はいっ!!」

 ……この授業は大変なものになりそうだと、アレイシアは不安な気持ちで一杯になった。それは他の生徒も同じらしく、中にはあからさまに嫌な顔をしている者もいる。

 しかし、先生はそれを気にする様子も無く――あるいは気付いてすらいないのか――話を続けて行く。

「俺の事はベルク先生と呼べ。じゃあ、まずはこれを見ろ!」

「は、はい、ベルク先生!」

 先生は、授業前に手入れをしていたいくつかの剣を拾い上げる。よく見れば、それぞれ長さや幅が違っていた。

「これらが今オススメの剣だ。一般的な剣、短剣などがある。近くに来て見てみるといい」

 その言葉を受け、ベルク先生に近寄って行く生徒達。先生はどうやら、剣の事になると落ち着き払って真剣になる様だ。アレイシアも、促されて剣に視線を向ける。

「まずはこれが普通の剣で、これが小回りのきく短剣。こっちにあるのが突きに向いた細剣だな。これは大剣、重いから扱いにくいが物好きはいる……この中から一つ選んで扱い方を学んで行く。既に剣を持ってる奴は、学園支給のこれらの剣から選んで使わなくてもいい」

 そこでアレイシアは、すぐに普通の剣にしようと決めた。他の人からしてみれば、適当に使えそうなの、という理由で決めた様にしか映らないだろう。しかし普通の剣を選んだのにも、アレイシアには確かな理由があった。

「どれにするか決めたら、闘技場地下の武器庫に取りに行け。そこに階段がある」

 ベルク先生がそう言い終わると同時に、半数以上の生徒が狭い武器庫の階段へとなだれ込む。その様子を見ていたアレイシアは、急いで取りに行かなくて良かった、と安堵するのであった。

 地下の武器庫での叫び声が、階段の中を反響して地上にまで聞こえてくる。

「おいっ! その剣は俺が取ろうと……」

「学園のだから全部同じだろ!?」

「そこの大剣使いの方、危ないわよっ!!」

「静かにしろお前らぁぁあ!!」

 最後の声は、階段を下りて行くベルク先生のものだ。しばらくして騒ぎが収まってから、アレイシアも遅れて武器庫の中へと入って行った。

「……ベルク先生、普通の剣はどこに?」

「ん? 普通の剣なら右側の棚の真ん中の段だが……無くなったか?」

 しかしここでアレイシアは、ベルク先生の後ろを見つめたまま固まってしまった。何があったのかと、先生は怪訝な表情を彼女に向ける。

「先生、そこにあるのって……!!」

「ん?」

 アレイシアにそう言われ、ベルク先生は後ろを向く。そして彼女が何を示しているのかを把握すると、先生は真面目な表情になって説明し始めた。

「それは確か……百年も前に漂流して来た、ある旅人が持っていたカタナという武器らしい。斬るという事に関しては剣と同じだが、上手く扱うには特別な技術がいるそうだ。俺も使ってみたけど全然斬れなかった……何でだろうな?」

「それはそうよ。刀を扱うのならただ力で押し切るだけではいけない。押しと引きが重要だからね。やり方次第では、人間の力だけで鉄さえも切り裂く。扱う者の技術が問われる武器……ま、私も使った事は無いんだけど」

 そう言い、アレイシアは刀に触れて微笑んだ。黒く光る漆塗りの鞘に、真紅と漆黒の紐が巻かれた持ち手。鞘と柄の間から覗く刃は、百年も前のものだと思えないほどの輝きがあった。

 何故カタナについてこれ程知っているのかと先生が問おうとした所で、アレイシアは刀を取って右に携える。

「……決めた、この刀を使う」

「……ああ、まぁ、使える奴がいないし、これを知ってる奴に渡すなら――――ただ、絶対に使いこなして見せろよ?」

「勿論よ」

 こうしてアレイシアは、いつかは使いたいと思っていた念願の武器を手に入れる事ができた。更には、自分で武器を手に入れる手間が省けたということもあり、とても満足した様子だった。






 地下の武器庫から出ると、先生は突然、かご一杯に入った簡素な鎧を生徒一人一人に配り始める。この時点で『嫌な予感』を感じてしまった人もいるようだったが、やはりと言うべきか、クラス全員を同時に戦わせ、大体の実力や武器が合っているかを見るのだという。ちなみに、まだ戦えない者に関しては、事前に観客席へと回らせたようだった。

「準備はいいかぁぁ!!」

 先生の叫び声が闘技場の反対へと到達し、跳ね返ってくる。全員の様子を確認すると、先生は全力で合図をした。

「では全員! 試合開始ぃぃ!!」

 それと同時に、アレイシアを含め、生徒は前へと駆け出して行った。


 テストが終わって安泰!

 最近はまた、書きたい文章の理想が高くなって来ている気がしています……書きためているものはいつ投下できるのか(

 感想評価、お待ちしております!

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