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12/12全話完結【ランキング32位達成】累計3万3千PV『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第十一部 空の世界で投資物件編

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第6章 「雲海の上層島の空層銀行」

タクミは浮遊石が輝く空中道路を渡り、上層島に降り立った。


眼下には雲海が無限に広がり、その間に浮かぶ中層島群が揺らめく。

だが彼の視線は、上層にそびえ立つ巨大建築に吸い寄せられた。


「……ここが、空層銀行か。」

タクミは息を呑む。


建物は単なる石造りではない。

空に反発する魔導石を柱に組み込み、巨大なアーチ状の屋根が宙に浮かんでいる。

屋上には浮遊魔力陣が配置され、銀行全体がひとつの魔法回路のように輝く。

まるで空の都市そのものが銀行に取り込まれたかのようだった。


ミラがタクミの横で魔導計測器スカイスキャナーを展開する。

「タクミ様、この建物……魔力消費量が半端じゃないわ。これだけの魔導回路、地上人には貸せないのも納得です」


彼女の指先が浮遊石をスキャンすると、青い光が銀行内部を縦横に走った。

「利息も普通じゃありません。魔導権利を担保にする場合、元本の倍以上が返済条件になるでしょう」


銀行の扉が開き、係員たちが出迎える。

空気の振動でさえ魔力の流れを読むかのように静まり返った。


支店長のような男性が姿を現す。

「ようこそ、空層銀行へ。地上の者には原則融資は認めません。だが……例外もございます」

彼の声にタクミは耳を傾ける。


「例外……ですか?」

「はい。公共性の高いプロジェクト、あるいは天空権利の安定化に寄与する案件であれば、我々は貸付を検討します」

支店長の眼は鋭く、しかし計算高い温かみを帯びていた。


タクミはほくそ笑む。

「公共性……なら、ちょうど良い案件があります」


ミラも小さく頷き、計測器の光がさらに強まった。

「タクミ様、これで上層島の空中不動産を担保にできる可能性が高まります。空層銀行の融資は、利権の魔法で契約書を封印できますので、安全性も高い」


タクミは空を見上げ、深く息を吸った。

「よし……ここからが本番だ。上層島の魔導権利を握れば、空の不動産市場の主導権を手に入れられる」


しかし、背後の雲の間で黒い影が蠢く。


「フハハハ……!あの時の敗北、忘れたわけではないぞ、タクミィィィ!!」

スカイ=ハリケーンが叫ぶ。空の波動が銀行の魔力陣に衝撃を与え、建物全体が微かに揺れる。


彼の憎しみ復讐心が、空の民の平穏をすでに侵食していた。


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