第3章 「雲の海の魔導空賊 ― 空を裂く砲火の乱舞」
浮遊島群をつなぐ“修復中”の魔導橋。
タクミたちが応急処置を進めていたその時
ゴオオオオオッ!!!
雲の海を割り裂く巨大な影が迫ってきた。
翼のように魔導エンジンを広げた巨大戦艦。
その周囲には、小型の飛行艇が無数に舞う。
アテネの声が鋭く響く。
「……魔導空賊だわ!」
アテネが顔をしかめる。
アテネ
「この地域の治安を最も脅かしている空賊団……最悪のタイミングね」
タクミが状況を瞬時に把握し、叫ぶ。
「全員戦闘配置! 橋を守れ!」
空賊の旗艦から魔導砲が空を焼いた。
ドゴォォォン!!
衝撃波が浮遊石の結束を揺らし、橋が軋む。
ミラ
「魔力ラインが歪んでます! 維持できません!」
タクミは魔力板を展開し、複数の魔力流を組み替える。
タクミ
「ミラ! 魔力の流れを“下支点式”に切り替えるんだ!」
ミラ
「了解!」
魔導橋の青い魔力が走り、崩落はわずかに止まる。
だが
空賊の小型艇が一斉に急降下!
ヒュン――ドゴォン!!
飛来する砲弾。橋を直撃する軌道。
しかし、そこに一つの影が躍り出る。
鋼鉄戦士カーミラ。
彼女は一言だけ呟く。
カーミラ「……粉砕。」
次の瞬間
ガギィィィィン!!!
彼女の拳が砲弾を空中で叩き割った。
爆発が四散し、破片が雲の海に吸い込まれる。
アテネが驚愕する。
「え……生身で砲弾を!?」
空中には敵の飛行艇が渦を巻いていた。
ヴァンは黒いマントを翻し、垂直に跳躍。
ヴァン「闇が哭く……“影翼展開”」
背後に影の翼が顕現し、彼は空で停止した。
空賊船団が一斉に砲口を向ける。
空賊団長
「撃てェェーーッ!!」
タクミが叫ぶ。
「ヴァン! 橋の上は守る、存分に暴れろ!!」
ヴァンが指先をわずかに動かす。
「……“闇の波動空斬”」
黒い光刃が弧を描き、空を裂いた――。
ズバァァァァァッ!!!
空賊の旗艦の装甲が一瞬で切り裂かれ、
巨大な機体が火花を散らして傾き始める。
空賊団長
「な、なにィィィ!?」
ヴァンは無表情のまま呟く。
「地獄へ墜ちろ。」
旗艦は炎を噴き上げ、雲の海へと沈んでいった。
タクミは空賊の撃退に合わせて魔導結界を再調整する。
「これで橋の魔力流が安定する……ミラ、最終補強頼む!」
ミラ
「はい!」
ミラの魔力が橋に流れ込み、光のラインが強く輝く。
アテネが息をつく。
「ふぅ……これでひとまず安心ね」
タクミは空に目を向け、呟いた。
「……誰が空の交通を混乱させようとしている?」
ヴァンが着地し、静かに言う。
「背後に……“この世界の神の影”を感じる。」
その言葉に、全員が息を呑んだ。




