第5章 「塔を蝕む“魔素シロアリ”の群れ」
塔内部を調査するタクミたちの目に、奇妙な現象が映る。
梁や魔力石の表面に小さな穴が無数に空き、微かな光の粒が動き回っていた。
タクミ
「……これは……!」
ミラは杖で空間の魔力流を触れ、眉をひそめる。
「魔素シロアリ。大量発生しています。これが原因で塔内部の魔力石が崩壊寸前です」
アレックス
「虫!? いや、でも普通の虫じゃない……魔法の虫か!」
ヴァンはマントを翻し、目を赤く光らせる。
「フフ……闇よ、我が眼に映るは魔の寄生者。魔力の血肉を喰らい、塔を蝕む」
ブレイン
「なんだよそれ! まるで家の梁を食い荒らすシロアリみたいじゃないか!」
リリィ
「普通の攻撃じゃ効かないわ……。神聖魔法で浄化できるかも」
エリオ
「魔法石が食べられてるから、直接的な破壊は逆効果。魔力流で制御するしかないな」
カーミラは無言で手甲を握る。
「害虫……駆除」
タクミは素早く塔の構造図を広げ、声を張る。
「皆、聞いて! 魔素シロアリは魔力を感知して寄ってくる。だから逆流魔法で“魔力バリア”を作るんだ!」
ミラは手をかざし、魔力の流れを操作。
「これで侵入経路を封鎖。虫は寄れなくなるはずです」
ヴァンは黒い剣を振り、バリアの外側にいる魔素シロアリを一掃。
「幻想を打ち砕く……我が剣は闇の摂理!」
アレックスは勇者剣を構え、ゴーレム化した一部の虫の群れに斬撃を浴びせる。
「退け、塔の害虫ども!」
ブレインは盾を前に突き出し、シロアリの攻撃を弾きながら笑う。
「おお、まるで“虫退治バトル”だな! 家の柱も守れって感じだ!」
リリィは光の聖柱を立て、浄化の魔法で塔の空間全体を清める。
「魔力石を守る! タワーの命は私たちにかかっている!」
エリオは魔法陣を描き、バリアと同期させる。
「これで塔全体が魔素シロアリの天敵になる!侵入許さないぞ」
カーミラは戦闘の最前線に立ち、敵を一刀両断する。
「虫きらい……」
数分後、塔の内部は静寂を取り戻した。
魔素シロアリの群れは撤退し、魔力石も再び安定を取り戻す。
タクミは深く息をつき、ミラに向かって頷く。
「よし、これで塔の構造は当面安定。次は浮遊石への魔力供給を確保だ」
ミラは魔力の流れを再確認し、短く答える。
「異常なし。だが定期的な監視が必要」
ヴァンは空を見上げ、マントを翻す。
「フフ……闇と魔の虫を退けし者たちよ。我が影と共に進め」
ブレインは笑いながら肩を叩く。
「虫退治バトル、意外と楽しかったな!」
リリィとエリオも軽く頷き、塔の修復作業を再開する。
こうして、魔素シロアリの脅威を乗り越えたタクミたちは、塔修復の次なる工程へと進む。
ワンポイント解説
■シロアリ被害と告知義務
1. シロアリ被害とは
シロアリは木造建物の柱や梁、床下の木材を食べて構造を弱める害虫です。
被害が進むと、家の耐久性が大幅に低下し、倒壊の危険もある
目に見えない部分で被害が進むことが多く、発見が遅れやすい
2. 告知義務(重要事項説明)
日本の宅建業法では、売買や賃貸契約の際に「心理的瑕疵」や建物の重大欠陥を買主や借主に告知する必要があります。
シロアリ被害がある場合、過去に駆除したか、被害があるかどうかは告知義務対象
告知せず契約を締結した場合、契約違反や損害賠償のリスク
3. 現実での対応
被害が軽度の場合:駆除・補修後の告知
被害が深刻の場合:補修費用や構造補強費を考慮した契約条件提示
契約前に専門業者による「シロアリ点検報告書」を添付することが望ましい




