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12/12全話完結【ランキング32位達成】累計3万3千PV『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第九部 魔のアトランティス編

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第7章 「訳アリ道路なしの再建築不可の一戸建て」

小さな路地を抜けると、そこにぽつんと佇む一軒家が現れた。

白い壁、丸窓、レトロな屋根、見た目だけなら絵本の中のように可愛い。


勇者アレックス

「おお、なんか可愛い家だな!こういうの好き!」


タクミ

「見た目はいいよ。でもここ……再建築不可だ。」


魔法使いエリオ

「再建築……不可?つまりどういう?」


タクミ

「つまり……」


タクミ(指を立てて)

「一度壊れたら終わり!

倒壊したら更地になっても新しい家は建てられない。

“今ある建物を維持する”しかないんだ。」


アレックス

「そんな制限が!?」


僧侶リリィ

「修繕費がかかる古い家なのに、それはつらすぎるわね……」


ヴァン(薄く笑い)

「フ……世界に壊れぬものなど存在しない。

いずれ滅びる定めの家に住まうとは……

まさに“滅亡を抱く者の城”よ。」


アレックス

「いい感じに言うな! でも意味は最悪だよね!?」


カーミラ(家の壁を軽く叩き)

「……老朽化。次の台風で終わり。価値なし。」


アテネ

「ならば次の物件へ行きましょう。」


タクミ

「……いや、まだ終わりじゃない。」


パーティーは家の裏へ回る。

すると問題の本丸が姿を見せた。


アレックス

「……えっとこれ……道、なくない?」


まさにその通り。

家は袋小路の奥にあり、道路に一切接していないのだ。


タクミ

「接道義務、アウト。

だから車が入れない。消防車も来れない。

このせいで“再建築不可”になってるんだ。」


ブレイン(顎に手を当て)

「ふむ……いかなる砦も、補給線が断たれれば落ちるものだ。」


ヴァン(黒マントを翻し)

「孤立した砦……悪くはない。

闇に紛れ、誰にも侵されぬ聖域……タクミ、買え。」


アレックス

「なんで買わせようとしてんだよ!

絶対ヤバい家じゃん!」


カーミラ

「……通れない。却下。」


ヴァンはまた中二病めいた笑みを浮かべた。

「接道の呪いか……道を失った土地は、未来をも失う。闇の理だな」


ミラ(タブレットを操作して)

「評価額も低いですが、投資物件としては……逆に魅力があるかと。」


アレックス

「え、魅力あるの!? こんな家が!?」


タクミ(ニヤリ)

「あるんだよ、これが。

再建築不可はリスクが高い分、

安く買えて、賃貸利回りが高い。

“ハイリスク・ハイリターン”ってやつ。」


リリィ

「でも危険では……?」


タクミ

「だからこそ投資になる。

……よし、買う。」


アレックス

「買うの!? いまの説明聞いて!?」


タクミ

「買う。こういう“攻めの一手”が市場で勝つ秘訣だよ。」


エリオ

「でもタクミ、資金は……?」


タクミ(スマホを耳に当てる)

「……もしもし、梅ばあさん?

ノンバンクの融資、もう一口お願いできますか?」


パーティー

「梅ばあさん!? だれ!?」


タクミ

「裏の金融界で有名な“歩く金庫”だよ。

審査は甘いけど、金利は……月2割、まあ、ちょっと辛い。」


ヴァン

「フハハ……闇より金を引き出すとは……

タクミ、貴様こそ真の“リスクの勇者”だ。」


アレックス

「悪い意味にしか聞こえねぇ!!」


アテネ

「タクミ様……ご無事を祈ります。」


カーミラ

「……自己責任。」


こうしてタクミは、

“接道なし・再建築不可・老朽化”という三重苦の物件を、

梅ばあさんの闇金の融資で購入することになった。


投資とは時に

勇者の冒険より危険で、

魔王戦より深い闇に満ちているらしい。


ワンポイント解説


■再建不可・旗竿地・私道・接道なしとは?

再建不可物件さいけんふか

一度建物を壊すと、同じ場所に新しく家を建てられない土地のこと。

原因は主に「接道義務(幅4m以上の道路に2m以上接する)」を満たしていないため。

現状の建物は使える

でも建て替えは不可能、改築にも制限

売却しにくく、金融機関の融資も通りにくい

投資家は“安く買えるが出口が難しい”というリスクを理解して購入する必要あり。


旗竿地はたざおち

「旗の形」をした土地。

道路に細い通路(竿)、奥に広い敷地(旗)がある形状。


デメリット

竿の部分が細く、駐車困難

日当たり・風通しが悪くなりがち

緊急車両が入りにくい

建築資材の搬入が大変で工事費アップ


メリット

相場より安い

プライバシーが高い

工夫すれば静かな住環境に


私道しどう

個人や複数の住民が所有する道路。

公道ではないため管理責任は住民側。


注意点

通行・掘削に“所有者の許可”が必要

上下水道やガス工事も許可が必要

持ち分がないとトラブルの種に

修繕費を住民で負担する場合あり

投資物件としては、

→ インフラ工事や通行の権利関係が複雑になりやすい。


④ 接道なし(セットバック要 or 接道義務未達)

建築基準法で定める「4m以上の道路に2m以上接していない状態」。

建て替え不能=再建不可になる可能性が高い。

● セットバック道路の場合

道路が4m未満なら、自分の土地を削って後退

→ 道路を広げることで建築が可能になることも。

● 完全に接道がない場合

→ ほとんどの場合「建築不可」、銀行による融資も不可。

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