第6章 「水没常習区の“謎の新築物件”」
整然と並ぶ新築住宅の街。
白壁にピカピカの屋根、道路には歩道も整備されている。
だが……道路脇には排水ポンプが常備され、街灯の下で金属が冷たく光っていた。
アレックス
「おお、めっちゃ綺麗じゃん! タクミ、この新築は良さそう?」
タクミ
「見た目だけならな……でも、ここは毎年浸水する地域だ。
表面だけ新築にしても、土地の性質は変わらない。」
アテネ
「タクミ殿、ここはハザードマップでは赤い区域ですね。過去の浸水履歴もある……」
タクミ
「そう、過去5年間で3回も床下浸水してるんだ。
それに、排水ポンプがずっと設置されてるのも、その証拠。」
ヴァン(赤い瞳を光らせ)
「フフ……“美しき幻想”に惑わされるな、アレックス。
地は暴虐に満ち、いかなる新築もやがて“大いなる奔流”に飲まれる運命……」
アレックス
「ちょっと、いつもの中二セリフ、今の街並みに合わせなくてもいいでしょ!」
カーミラ(道路脇のポンプを見つめて)
「……無駄。」
アレックス
「無駄って言うな! でも、確かにポンプ置きっぱなしなのは怖い……」
ミラ(タブレットを開き)
「浸水履歴とハザードマップを確認しました。
この地域、地形的に排水が滞りやすく、雨量が多いとすぐ道路冠水します。
修繕費も毎年発生する可能性があります。」
僧侶リリィ
「水の被害を受けやすい土地なのね……。浄化や祈りでも防げそうにないわ。」
魔法使いエリオ
「結界魔法を張っても、水害には限界がある……。現実的には土地の特性が問題だ。」
戦士ブレイン(腕組みしながら)
「ふむ、見た目は新しいが、戦場と同じだな。守りが脆ければ、どんな城も流される。
この土地もまた、自然という名の敵に弱いというわけだ。」
タクミ
「そうだよ、見た目だけじゃ分からないんだ。
ハザードマップと被害履歴を見れば、投資物件としてはほぼアウトだってわかる。」
アレックス
「うわー……新築なのに泣けるね」
ヴァン
「クク……幻想はいつか砕け散る。真実を見るのだ、アレックスよ。」
カーミラ
「……帰る。」
タクミ
「ここも“買う理由ゼロ”。投資としては借金が地獄級だね。」
ワンポイント解説
■水没常習区の確認ポイント
1. ハザードマップを見る
洪水浸水想定区域、河川氾濫リスク、内水氾濫の色分けを確認
過去の浸水履歴も自治体HPで確認可能
2. 道路・排水設備の状況
ポンプ設置の有無や排水口の位置をチェック
近隣の水害対策状況も重要
3. 過去の被害状況
床下浸水や道路冠水の記録
被害後の修繕内容と費用
【投資評価】
修繕費がかさむ
保険料も高額
売却時に買い手がつきにくい
価格が“異常に安い”ため、
短期で“激安仕入れ→貸す”だけなら一応可能。
だが総合的には……
投資初心者には絶対に避けたい“地獄難度物件”。




