表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/12全話完結【ランキング32位達成】累計3万3千PV『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第八部 波乱の武道大会編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/238

第15章 「勇者アレックス ― 真名解放(ネーム・オブ・ライト)」

闘技場は、もはや戦場ではなかった。


地割れが走り、地下から闇竜ネクロスの咆哮が地響きとなって押し寄せ、

憎悪に飲まれたシュウバは咆哮とともにアレックスに迫る。


その中央で――


アレックスの体だけが、異様な静寂に包まれていた。


僧侶リリィが声を震わせる。


「アレックスさま……あの光…… これは……これはもう、“人間の魔力”じゃありません……!!」


魔法使いエリオが息を呑む。


「まさか……勇者の真名……!

 世界と契約された、唯一無二の名が解放される時の兆候……!!」


光は大地から、空から、アレックスの背中へと吸い寄せられる。


風は渦を巻き、

砂塵は舞い上がり、

闘技場の天井の結界がきしむほどの圧が放たれる。


ルシフェルが眉をひそめる。


「ほう……来るか、勇者の“真名”。 だが遅い。ネクロスの復活したのだ。」


その言葉に呼応するように――

地下から黒煙が噴き上がる。


◇◆◇


地下より浮上する――“闇竜ネクロス”


地面が爆発した。


巨体が闇を撒き散らしながら闘技場に姿を現す。


影ではない。

咆哮ではない。


“絶望そのもの”が形を持った存在。


漆黒の鱗は光を吸い取り、

背から伸びる二対の闇翼は空間そのものを歪めている。

目は赤黒く滲み、視線だけで人の魂を削る。


観客は逃げ惑い一部はその場で膝をついて震え出した。


「グォオオオオオオオオオォォォォ――――ッ!!」


その声はただの咆哮ではなかった。


黒紅の魔力が波となって周囲を叩き潰し、

観客席の石柱が一斉に砕け散る。


さらにネクロスは、

胸の奥深くに眠る“古代竜語”の呪響を放つ。


「ヴルアアアアアア・ドグ=ロアアアァアアッ!!

 グルォォォォ……ギャラアアアアアア!!」


空気が震え、

耳が張り裂けそうな衝撃音が広がる。


耳をつんざく、古代語すら超える咆哮。


その瞬間、シュウバの動きもさらに加速しアレックスへ“同時に”迫る。


だが。


そのサンドイッチの死角で

アレックスの背中が、光の羽に包まれた。


リリィ:「出ます……!!

 アレックス様の“真名”……!!」


戦士ブレインが目を見開く。


「なん……だよ……あれ……! 背中から……翼が……!」


エリオは震える声で叫んだ。


「違う! あれは翼じゃない……“天空人セラフ”の証だ!!

 伝説の天空と地上を繋いだ勇者だけが発現する光の形質……!」」


アレックスの髪が光の風に揺れ、

瞳は黄金に燃え上がる。


背に展開したのは

羽根ではなく、光子の結晶が広がって形成する“天翼”。


地上のものではなく、

魔族のものでもなく、

神域の存在に近い。


アレックスがゆっくりと目を開いた。


「……思い出した」


シュウバが襲いかかる刃を振り上げる。


アレックスは振り向きもしない。


だが、刃が届く直前

シュウバの腕は「風圧」で弾かれた。


アレックス:「俺の真名を。この世界に与えられたもう一つの名を……!」


勇者の体が浮き上がる。


光が空を裂く。


「我が名は――アレクト・セラフ・アークライト!!

 天地と契約せし“天空勇者”……ここに覚醒する!!」


闘技場の天井に、光の紋章が咲き誇った。


風が爆発し、砂が飛び散り、観客席に衝撃波が走る。


僧侶リリィが涙をこぼす。


「……アレックス様……!

 ついに……真名が……!」


魔法使いエリオ「これが……真の勇者……!」


戦士ブレイン「とんでもねぇ……こんな力……見たことねぇ……!」


そして


光の翼を背に、空中で停止したアレックスが、

シュウバとネクロスを同時に見下ろす。


黄金の瞳が燃え上がる。


「ルシフェル……

 闇竜ネクロス……

 そしてシュウバ……」


「お前たちは、ここで必ず止める!!

 この世界のために俺自身のために!!」


ネクロスが咆哮し、

シュウバが再び跳びかかり、

ルシフェルが禁術第三段階の詠唱を開始する。


そして


天と地、光と闇、勇者と竜

すべてがぶつかる“史上最大規模の戦い”が始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ