第12章 「準決勝第一試合 カーミラ VS カムイ」
グランド・バトルフェスティバル 公式ルール
1. 試合形式
トーナメント方式で個人戦のみで行われ、勝者は決勝へ進出。
試合時間は10分間を標準とし、制限時間内に相手をKOするか降参するか、判定により勝敗を決定する。
2. 禁止事項
武器の使用は禁止
剣、斧、ナイフ、弓矢など、手以外の武器を持ち込む行為は反則負けとなる。
※格闘技・魔術・忍術は使用可だが、器具・武器の変形物は禁止。
魔力の過剰使用による環境破壊
闘技場や観客席に損害を与える可能性のある魔法・忍術は禁止される場合がある。
審判への攻撃
試合中の審判・スタッフへの攻撃は即失格。
3. 許可される行為
徒手格闘・骨法術・打撃・蹴り技などの肉体技
打撃力、スピード、柔軟性、戦術の全てが勝利の鍵。
忍術・魔術
ただし、環境破壊や武器使用に該当しない範囲に限る。
分身術、煙遁、火遁などは許可されるが、観客・施設に危害を与える場合は制限される。
4. 勝敗の判定
KO勝利:相手が戦闘不能となった場合。
反則負け:武器使用や禁止行為を行った場合。
判定勝利:制限時間終了時に、審判団の評価によって勝者を決定。
評価基準は技術力・戦術・攻撃・防御・闘気の総合点。
5. 特記事項
選手は怪我のリスクを自覚し、自己責任で戦うこと。
戦士の個性や異能は尊重されるが、危険行為は反則として厳しく取り締まる。
大会運営側は必要に応じて試合中止権を行使できる。
遺跡都市ミストリア、闘技場〈コロッセオ・ミストリア〉。
三日目、ベスト4戦。観客の熱気はこれまでの試合以上だ。
中央に立つのは金髪三つ編みの鋼の女戦士カーミラ。冷徹な瞳は獲物を探す猫のように光る。
対するは黒装束に身を包んだ謎の格闘家、カムイ。
忍者のように静かに立ち、骨法術を駆使する戦士だ。打撃は掌底や浴びせ蹴りで敵の体の硬い部分を狙う。
観客席がざわめく。
「カーミラーーー!!」
「カムイの動き……忍者みたいだぞ!」
審判団がゴングを鳴らす。
「準決勝、第一試合、開始――!」
対するカムイは、砂の上に影を落とすだけで音もなく立つ。
観客席がざわつく。
「影……薄すぎるぞ……?」
「いや、あれは消してるんだ。“気”を。」
審判の合図とともに
黒影が爆ぜるように消えた。
「速い……っ!」
カーミラが反応するより早く、
背後から 骨法術の掌底 が肩甲骨に突き刺さった。
ドッッ――!
「ぐ……っ!?」
カーミラが一瞬前のめりになり、観客が沸く。
カムイは低い声で言う。
「女……お主、強いな。ゆえに……忍びのすべてで倒す価値がある。」
カムイの指が印を結ぶ。
「火遁・焔走!」
足元から火柱が走り、カーミラの周囲を包囲する。
熱風が吹き荒れ、炎の壁が視界を奪った。
観客「うおおおお!? 闘技場で火を操るなんて反則だろ!?」
審判「忍術の範囲なので……セーフ!!」
炎が爆ぜ、
砂煙が舞う中、カムイは暗躍。
体を一瞬消したかと思うと、同じ黒装束の影が二体、三体……――
「影分身――!!」
観客席が息を呑む。
「え、影が増えた!?忍者の術か!?」「どれが本物だ!?」
「分身ッ!!?」
影には本体が一つだけ。
カーミラは見抜こうとするが
影たちが一斉に襲いかかる。
フェイント混じりの高速打撃。
首へ、腹へ、側頭部へ――
死角から骨法術の連撃が入る。
「見切れまい……!」
カーミラはガードしきれず、頬を切られ、腹に膝蹴りを食らう。
ドンッ!!
「くっ……! 速すぎる……!」
カムイは印を組むスピードを上げる。
「煙遁・霞隠れ!!」
白煙が爆発し、
分身がさらに倍に増える。
まるで百鬼夜行のように、カーミラを包囲した。
「どれが……本物……!」
観客「わからん!」「本物は影を見るんだ!!」
しかし
「金遁――散銭!!」
チャリンッ!!!
大量の金属片が撒かれ、光が乱反射して影が読めなくなる。
カーミラ「くっ……影が……消えた!?」
次の瞬間、
「木遁・葉嵐!!」
闘技場に干からびた葉が巻き上がり、旋風に乗って刃のように襲いかかる。
続けざまに、
「土遁・地潜!!」
ズボッ!!!
足元の砂が崩れ、カーミラの足首が沈む。
「しまっ――」
背後から本体のカムイが跳ぶ。
影がしっかり地面に映っている。本体だ。
「終いだ――!!」
肘打ち、膝蹴り、掌底、連撃、連撃、連撃――!!
骨法術の極地。
音がズレて聞こえるほどの速さ。
カーミラは苦鳴を漏らす。
「がはっ……!!」
観客
「カーミラが……押されてる……!?」
ボロボロになりながらカーミラは立ち上がる。
「……ふふ……久しぶりよ、ここまで本気を出させる相手は。」
目が金色に光った。
「影が本体……そう言ったわね。」
カムイが驚く。
カーミラは拳を構える。
鋼鉄が軋み、闘技場全体に重い音が響く。
「鋼天裂拳――!!」
一直線に踏み込み、
炎も煙も、分身も金属片も――すべてを吹き飛ばす。
ズガァァァァンッ!!
カムイ本体の影を正面から殴り抜く。
黒装束の胸に巨大な衝撃波が走る。
「がはっ……!!?」
カムイは数メートル吹き飛び、地面を転がる。
審判「勝者――カーミラ!!」
観客「カーミラーーーーーッ!!!!」
カーミラは息を整え、砂を払う。
「忍術……見事だったわ。
でもね“影”を読むのも女の本能よ?」
忍者カムイは倒れながら笑った。
「……見事……拙者の敗けだ……」
【準決勝第一試合 カーミラ VS カムイ】
必殺技名:鋼天裂拳
試合時間:6分18秒
勝敗:カーミラ (カムイ降参)




