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12/12全話完結【ランキング32位達成】累計3万3千PV『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第八部 波乱の武道大会編

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第11章 「ベスト4進出――揺らぐ闘技場(アリーナ)」

闘技大会〈ミストリア武闘祭〉三日目。

ついに、ベスト4の顔ぶれが出揃った。


◆ 鋼の女戦士 カーミラ

◆ 勇者 アレックス

◆ 格闘魔術士 ルシフェル

◆ 謎の格闘家 カムイ


しかし

熱狂の裏には、確かに“ざわめき”があった。


前日のベスト8戦。

魔物化したシュウバが反則のアサルトナイフを使用し、

勇者アレックスを襲撃した事件は、観客席に深い爪痕を残していた。

また死体安置にあるシュウバの死体が消えていた。


「あれ……本当に大丈夫なのか?」

「勇者アレックス……肩の傷、まだ血がにじんでたぞ」

「審判団の警備、もっと強化しろよ!」


闘技場の外周には、普段の倍近い警備兵が立ち並び、

空気はどこか緊張を帯びていた。


それぞれ選手たちの闘気


◆ カーミラ

控室で赤い唇を軽くなぞりながら、闘技場の熱気を感じ取っていた。


「ふふ……ここから先は“本物”同士の舞台ね」


銀の瞳は獲物を探す猫のように妖しく光っている。


◆ 勇者アレックス

肩に包帯を巻いたまま、静かに座っている。

表情に迷いはない。


「どんな相手でも、俺は戦う。

 それが……俺の選んだ道だ」


仲間たちは心配で胸を痛めつつも、その覚悟に何も言えなかった。


◆ ルシフェル

魔術陣の光を拳に浮かべながら、独り言のように呟く。


「さて……この三人相手に、俺はどこまでやれる……?」


楽し気な笑み。

闘争そのものを愛する者の表情だった。


◆ カムイ

唯一、正体が不明の戦士。

黒装束のまま壁にもたれ、目だけを静かに開いている。


彼は誰に興味を示すでもなく、ただ

“なにかを待っている”ように見えた。


審判団が壇上に立ち、巻物を広げる。


観客席が一気に静まった。


「準決勝の組み合わせは――!」


ゴクリ、と全員が喉を鳴らす。


「第一試合、

 鋼の女戦士カーミラ VS 謎の格闘家カムイ!」


観客「おおおおお!?!?

 美と怪物の激突か!!」


「そして――第二試合、

 勇者アレックス VS 格闘魔術士ルシフェル!」


観客「アレックス VS ルシフェル!?

 どっちが勝っても決勝戦が地獄!!」


闘技場は震えるほどの熱狂に包まれ、

戦士たちはそれぞれの闘志を燃やす。


しかしその裏で―

闘技場の地下、光り始める魔法陣に気づく者はいなかった。


大会は盛り上がる。

同時に

“封印の紋章”は、確実に目覚めへと進んでいた。



◇◇◇



ミラは魔導端末に映る数字の羅列をじっと見つめていた。

ルシフェルの収支帳。いや、“裏の帳簿”と言っていい。


「やっぱり……おかしいですわね。」


彼女は眼鏡を押し上げる。

その声には確信と、わずかな恐怖が混ざっていた。


通常の格闘魔術士にしては、ルシフェルの振込額は多すぎる。

それも、どれも同じ経由地を通っていた。


ミラは指先で一つの項目をタップした。


『供出金――黒き竜の祭壇(Shrine of Necros)』


タクミが目を見開く。


「……黒き竜? この街の伝承にある“闇竜ネクロス”のことか?」


ミラは静かに頷く。


「闘技場建設の資金……その一部が、祭壇に流れていました。

 つまり……誰かが“封印”を解く準備をしている。」


ライラが青ざめる。


「ルシフェルが……その中心に?」


ミラは画面を閉じ、冷たい月光を背に言った。


「彼の笑顔、ずっと引っかかっていましたの。

 あれは、戦士ではなく“計画者”の顔ですわ。」


黒龍の伝承

≪黒き胎動の門・眠りし竜王を揺り覚ますな≫


黒紅の紋章が脈動し、

不気味な唸りが地の底から響く。


その先で、封印は確実に“開きかけていた”。


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