第6章 「第三試合 ルシフェル VS 柔術家・沖田剛」
グランド・バトルフェスティバル 公式ルール
1. 試合形式
トーナメント方式で個人戦のみで行われ、勝者は決勝へ進出。
試合時間は10分間を標準とし、制限時間内に相手をKOするか降参するか、判定により勝敗を決定する。
2. 禁止事項
武器の使用は禁止
剣、斧、ナイフ、弓矢など、手以外の武器を持ち込む行為は反則負けとなる。
※格闘技・魔術・忍術は使用可だが、器具・武器の変形物は禁止。
魔力の過剰使用による環境破壊
闘技場や観客席に損害を与える可能性のある魔法・忍術は禁止される場合がある。
審判への攻撃
試合中の審判・スタッフへの攻撃は即失格。
3. 許可される行為
徒手格闘・骨法術・打撃・蹴り技などの肉体技
打撃力、スピード、柔軟性、戦術の全てが勝利の鍵。
忍術・魔術
ただし、環境破壊や武器使用に該当しない範囲に限る。
分身術、煙遁、火遁などは許可されるが、観客・施設に危害を与える場合は制限される。
4. 勝敗の判定
KO勝利:相手が戦闘不能となった場合。
反則負け:武器使用や禁止行為を行った場合。
判定勝利:制限時間終了時に、審判団の評価によって勝者を決定。
評価基準は技術力・戦術・攻撃・防御・闘気の総合点。
5. 特記事項
選手は怪我のリスクを自覚し、自己責任で戦うこと。
戦士の個性や異能は尊重されるが、危険行為は反則として厳しく取り締まる。
大会運営側は必要に応じて試合中止権を行使できる。
ミストリア闘技場の熱気は最高潮に達していた。
だが
シフェルが戦いの場へ砂地へ足を踏み入れた“その瞬間”だけは、
なぜか風が止み、空気が張りつめた。
「……え、なんか寒くねぇ?」
「さっきまで明るかっただろ?」
「アイツの周りだけ、影が濃くなってる……?」
「ひっ、なんだ、あの黒い靄……。生きてるみたい……」
ザワザワ――ザワザワ……
観客の中に、説明のつかない恐怖が広がっていく。
それでもルシフェルは微笑んだまま。
まるで今から“楽しいこと”が始まるとでも言うように。
「若造。にやけてると、締め落とすぞ?」
観客「うおおーー!沖田が言ったーー!!」
「柔術の王者だぞ!負けるな!」
ルシフェルは目を細めて、柔らかく答えた。
「締め落とす……?
ではあなたは、落ちる“場所”を選んでください。」
カァーン!!
試合開始のゴングが鳴った。
次の瞬間、空が濁った灰色に変わった。
「雲!?急に!?」
「黒魔術じゃねぇのか!?」
「やべぇ空気になってきた!!」
風が止み、
“重い気配”だけが会場を覆う。
「いくぜ若造ォッ!!」
柔術特有の無駄のない踏み込みで距離をゼロに詰める。
観客「沖田が先手だ!!」
「やっぱ組みが強ぇ!!」
「掴んだら終わるぞ!!」
しかし
ルシフェルの足元に“黒い風”が渦を巻く
シフェル
「……黒き風《深淵咆哮風アビス・ハウリング》」
ただの一言。
だが黒い風が、彼の足元で蠢いた。
観客「何だ!?影が……風になってる!?」
「黒い風ってなんだよ!!」
「気持ち悪っ……」
「ぐっ……なんだ!?足が……!」
黒い影が縄のように伸び、沖田の足を捕える。
観客
「うわああああ!!」
「影が伸びた!?」
「闇の魔術だ!!王都追放の黒魔道士って噂は本当だったんだ!!」
ルシフェルは微笑み、指を一つ弾いた。
「黒き影は風に乗る。
呪いもまた……風に運ばれる。」
「うおおおおおッ!!」
観客「沖田が影を抜けたーー!!」
「さすが山の王者!!」
「負けるな!!」
会場が揺れるほどの歓声。
だが
ルシフェルは首を横に振って、穏やかに呟いた。
「そう。あなたは強い。
だから……深く落ちてもらう。」
シフェル、右手を空に掲げる
黒い風が天へと螺旋を描く。
空の雲が裂け、光を吸い込むように暗転していく。
観客
「な、なにが起こってる!?」
「空が巻き込まれてるぞ!!」
「まるで大穴が開いたみたいだ!!」
ルシフェル
《黒葬風穴》
「沈め。」
空から落ちてきた“黒い風の渦”が
沖田の真上に“穴”のように開き、
影の爪が無数に伸び、沖田を飲み込んだ!
「がっ……ああああああ!!」
地面に叩きつけられ、
影が一瞬“墓標”のように盛り上がり、そして消える。
「ひぃぃぃぃ!!」
「えっ……今、人間が……落ちた……?」
「アレ魔術か!?災害じゃなくて!?」
「黒い穴……空間が歪んでた……」
「アイツ……絶対ヤバい……!!」
沖田は痙攣し、そのまま完全に沈黙した。
ルシフェルは微笑を浮かべたまま、軽く礼をしてリングを降りる。
その歩みの後ろには、
影がゆらりと揺れ、彼に付き従うようだった。
【第三試合 ルシフェル VS 柔術家・沖田剛】
試合時間:2分18秒
勝者:ルシフェル=クロウ(黒魔術による“空間落とし”沖田、行方不明)
必殺技:
《黒葬風穴アビス・ホール》
(空間に黒い風穴を開き、影の渦で相手を飲み込む)




