第5章 「第二試合 ヴァン・ノクト VS 海賊戦士 ヌオト」
グランド・バトルフェスティバル 公式ルール
1. 試合形式
トーナメント方式で個人戦のみで行われ、勝者は決勝へ進出。
試合時間は10分間を標準とし、制限時間内に相手をKOするか降参するか、判定により勝敗を決定する。
2. 禁止事項
武器の使用は禁止
剣、斧、ナイフ、弓矢など、手以外の武器を持ち込む行為は反則負けとなる。
※格闘技・魔術・忍術は使用可だが、器具・武器の変形物は禁止。
魔力の過剰使用による環境破壊
闘技場や観客席に損害を与える可能性のある魔法・忍術は禁止される場合がある。
審判への攻撃
試合中の審判・スタッフへの攻撃は即失格。
3. 許可される行為
徒手格闘・骨法術・打撃・蹴り技などの肉体技
打撃力、スピード、柔軟性、戦術の全てが勝利の鍵。
忍術・魔術
ただし、環境破壊や武器使用に該当しない範囲に限る。
分身術、煙遁、火遁などは許可されるが、観客・施設に危害を与える場合は制限される。
4. 勝敗の判定
KO勝利:相手が戦闘不能となった場合。
反則負け:武器使用や禁止行為を行った場合。
判定勝利:制限時間終了時に、審判団の評価によって勝者を決定。
評価基準は技術力・戦術・攻撃・防御・闘気の総合点。
5. 特記事項
選手は怪我のリスクを自覚し、自己責任で戦うこと。
戦士の個性や異能は尊重されるが、危険行為は反則として厳しく取り締まる。
大会運営側は必要に応じて試合中止権を行使できる。
闘技場〈コロッセオ・ミストリア〉の中央。
二回戦のリングに足を踏み入れたのは、黒いマントを羽織る男ヴァン・ノクト。
観客のざわめきが止まる。
銀色の髪が夜光のように揺れ、深紅の瞳が闇を宿す。
「闇に還れ」
異名は “闇の吸血剣士”。
その視線だけで、空気が凍りつくようだ還れ
対するは海賊戦士ヌオト。
豪快な笑みと荒々しい拳を携え、勝利を狙う。
「俺の腕にかかれば、全員沈めるぜ!」
ヴァンの瞳が赤く光り、闘技場の影が彼を中心にうねるように揺れた。
風が砂を巻き上げ、冷たい闇の気配がリングに充満する。
ヌオトが突進する。拳を振り抜く。
しかしヴァンの身のこなしは幽霊のように軽く、相手の攻撃は空を切る。
そしてその掌が相手の肩を捕らえた瞬間、微かに「ヒュッ」という低い声が聞こえた
――まるで亡者が囁くかのように。
一撃、二撃――
ヴァンの拳が闇の力を帯びるたび、ヌオトの体は宙を舞う。
まるで吸血鬼の一撃が血と魂を吸い取るかのように、相手の力が削がれていく。
観客席からは悲鳴と歓声が入り混じる。
「うおおお!あの瞳……生気を奪われそうだ!」
「吸血鬼の異名は伊達じゃない!」
ヴァンは冷酷に、淡々と攻撃を連打する。
一歩、二歩と距離を詰める。
ヒューーーーン
目にも止まらぬ速さで、ヌオトの肋を打ち砕き、膝を折り、頭を地面に叩きつける。
最後の一撃。
ヴァンが右腕を振り下ろす。
闇の気配が集まり、血まみれの赤い光が拳を覆う。
ヌオトの体は宙を舞い、リングの砂の上でぐったりと崩れ落ちた。
呻きも、言葉もない。
リング中央に立つヴァン・ノクト。
冷たい風と影が彼の周囲を包み、赤い瞳がリングを見下ろす。
まるで闇そのものが、彼の意思で生きているかのようだった。
観客席は恐怖と畏敬でざわめく。
「……これが闇の吸血剣士……!」
「血の気を吸い取られるような強さ……勇者アレックス、挑むのか?」
タクミは背筋を伸ばし、暗い闇の波動に包まれたヴァンを見つめた。
「……こいつ、中二病の、凄くやばい奴だ……」
【第二試合 ヴァン・ノクト VS 海賊戦士 ヌオト】
必殺技:死神の断罪
試合時間:2分17秒
勝敗:ヴァン・ノクトの圧勝




