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12/12全話完結【ランキング32位達成】累計3万3千PV『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第八部 波乱の武道大会編

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第1章 「武道大会エントリー開始!戦士たちの集結」

遺跡都市ミストリア。


古代文明の息吹が眠るその街に、いま新たな熱狂の波が押し寄せていた。


街の中央広場には、大会の告知ポスターが風にはためく。


大会の名は「第一回 グランド・バトルフェスティバル」。

優勝賞品は「特注ミスリル装備」と「タクミの運営する宿・一年無料パス」。

チラシにはタクミ自らの直筆で、こう書かれていた。

『勇者アレックス様のご参加を心よりお待ちしております。』


金文字の題字が陽光を反射し、人々の目を釘づけにしている。


「ついに明日、始まるのね……」

宿〈星降る亭〉の秘書兼女将代理・ミラは、窓辺で一枚の契約書を優雅に閉じた。

いつもの知的な笑みが浮かぶ。

「タクミ様。大会関連のチケット、すべて完売いたしましたわ。もちろん。返金不可ですのよ。」


「大会中止になったら暴動が起きるな。」

厨房でスープをかき混ぜていたタクミが一瞬不安になる。


「売り切れですわ♡」

ミラは指先で帳簿をパタンと閉じ、にっこりと微笑んだ。


「前売り分だけで宿泊予約が満室。大会観戦席も、闘技場グッズも。経済波及効果は……ふふ、計算するのも楽しゅうございますわね。」


「さすがミラさん、商才の鬼……いや天才だな。」


「どちらにせよ、誉め言葉として受け取っておきますわ。」

街の通りは、既に祭りのような賑わいを見せていた。


屋台では串焼き肉の香りが立ち込め、酒場からは歌と笑い声が響く。

各地から腕自慢の戦士たちが続々と集まり、登録所には長い列ができている。


筋骨隆々の巨漢が書類を叩きつけ、「俺を出せ!」と怒鳴れば、

仮面の男が無言で列に並び、ただ影のように息を潜める。

人々は噂し今年の大会は、ただの格闘ではない。“伝説”が生まれる、と。


登録所のテントの前に、一際目立つ女戦士が立っていた。

金髪を三つ編みにまとめ、鋼の手甲をはめた長身の美女。

名はカーミラ。


挿絵(By みてみん)


世界武道大会の覇者であり、「男に負けたら即引退」と公言する豪胆な戦士だ。

「弱い者は退場。私は勝ちに来た、それだけよ。」


その瞳は氷のように冷たく、受付の者たちは思わず背筋を伸ばした。


一方、少し離れた影の中。

黒いマントを羽織った男――ヴァン・ノクトが、闘技場の石壁に背を預けていた。

片目に古傷。鋭い眼光。


その身に宿る“死神の右腕”の異名は、彼の過去を雄弁に語っていた。

「……この空気、血の匂いがするな。」

ヴァンの呟きに応じるように、風が砂を巻き上げる。


さらに別の場所では、黒衣の青年が薄笑いを浮かべていた。

「この地に再び封印の気配……。」

黒魔導士ルシフェル=クロウ。

王都から追放された禁断の魔術師。

その瞳の奥には、純粋な好奇心と破壊衝動が交錯していた。


そして、群衆の最後尾に静かに立つ一人の影。

仮面で顔を覆い、黒い布をまとった戦士――シュウバ。

名も、国も、過去も語らぬまま、登録用紙にただ一言、「参加」とだけ書き込んだ。


闘志の坩堝。

野望と誇りの交錯。


やがて、大会前日。


闘技場〈コロッセア・ミストリア〉には、空を覆うほどの人々が押し寄せていた。

熱気と歓声が地を震わせ、金色の旗が翻る。

タクミは観客席からその光景を見渡し、胸の奥で小さく拳を握った。

「……これだ。これが、俺たちの街の力だ。」


観客たちの歓声の中で、次々と試合が始まっていく。

戦士たちのオーラがぶつかり合い、砂塵が舞うたびに、誰もが息を呑む。


しかしその時。


観客席の一角から、ざわめきが広がった。

「……あれは!」


「まさか、あの人が……!」


白銀の鎧に身を包み、風を背に立つ男がいた。

背には聖剣、腰には旅の風。


彼はまっすぐタクミを見つめ、手にしたチラシを軽く掲げた。

宿〈星降る亭〉のチラシだった。


「タクミ、約束どおり、泊まりに来たよ。今度は仲間も連れてな。」


勇者アレックス

その名を呼ぶ声が、観客席を揺るがす。


タクミは胸を打たれたように立ち上がり、口元に笑みを浮かべた。

 「……ようこそ、勇者アレックス。君を待っていた。」


瞬間、空を渡る風が二人の間を吹き抜け、歓声が天を突いた。

旗が翻り、太陽が闘技場を照らす。


遅れてようやく、主役の登場。


タクミは確信した。

「第一回 グランド・バトルフェスティバル」

この武道大会は成功する。遺跡の街ミストリアに、再び伝説の風が吹くのだ。



グランド・バトルフェスティバル 公式ルール

1. 試合形式

トーナメント方式で個人戦のみで行われ、勝者は決勝へ進出。

試合時間は10分間を標準とし、制限時間内に相手をKOするか降参するか、判定により勝敗を決定する。


2. 禁止事項

武器の使用は禁止

剣、斧、ナイフ、弓矢など、手以外の武器を持ち込む行為は反則負けとなる。

※格闘技・魔術・忍術は使用可だが、器具・武器の変形物は禁止。


魔力の過剰使用による環境破壊

闘技場や観客席に損害を与える可能性のある魔法・忍術は禁止される場合がある。


審判への攻撃

試合中の審判・スタッフへの攻撃は即失格。


3. 許可される行為

徒手格闘・骨法術・打撃・蹴り技などの肉体技

打撃力、スピード、柔軟性、戦術の全てが勝利の鍵。


忍術・魔術

ただし、環境破壊や武器使用に該当しない範囲に限る。

分身術、煙遁、火遁などは許可されるが、観客・施設に危害を与える場合は制限される。


4. 勝敗の判定

KO勝利:相手が戦闘不能となった場合。

反則負け:武器使用や禁止行為を行った場合。

判定勝利:制限時間終了時に、審判団の評価によって勝者を決定。

評価基準は技術力・戦術・攻撃・防御・闘気の総合点。


5. 特記事項

選手は怪我のリスクを自覚し、自己責任で戦うこと。

戦士の個性や異能は尊重されるが、危険行為は反則として厳しく取り締まる。

大会運営側は必要に応じて試合中止権を行使できる。

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