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12/12全話完結【ランキング32位達成】累計3万3千PV『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第七部 天空都市へ遺跡編

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第4章 「古代遺跡を中心とした街づくり」

遺跡探索の激戦から数日後。


傾いた家々の修繕を終えたタクミたちは、村の中央にそびえる“古代遺跡”を見上げていた。

その姿は、まるで神々が地上に落とした塔のようだった。


崩れた外壁の中からは青白い光が漏れ、

風が吹くたび、どこからともなく古代文字の声が響く。


ミラがノートを手に立ち、静かに言った。

「この古代遺跡、街の中心として生かせるかもしれません。観光と研究を両立させれば、人も商人も集まります」


タクミは腕を組んで頷いた。

「ただの遺跡にしておくのは惜しいな。ここを“新しい街”に再生しよう」


ライラが目を丸くする。

「街、ですか? そんな簡単に……」


だが、トビーはにやりと笑った。

「タクミの“無茶”は大抵、後で成功する。やってみようぜ」


ミラの瞳が輝き、紙の上にペンを走らせた。

「では、古代遺跡を中心とした都市計画――始動します」


◆ 中央遺跡区 《聖光の核》

街の中心となる古代遺跡は、

そのまま神聖な保護区域として整備されることになった。


崩れた壁は修復され、広場の中央には「古代文字の石板」が祀られる。

夜には魔導灯が灯り、青い光が遺跡全体を照らす。

人々はここを“聖域”と呼び、祈りを捧げるようになった。


ライラが言った。

「この光……悪い気を浄化しているみたい。ここにいると、心が穏やかになる」


タクミは静かに頷いた。

「それでいい。ここは“街の心臓”だ」


◆ 商業地域 《記憶の回廊》

遺跡の外周には、商人たちが集まり始めた。

タクミは彼らに声をかけ、テナントを募集する。


「お土産屋、宿屋、武器屋、道具屋。全部ここに集めよう。

この街を訪れた人が、まず立ち寄りたくなる場所にするんだ」



《古代遺跡前商業区 テナント募集!》

〜新しい街で、あなたの夢を形にしませんか?〜


募集店舗:

宿屋:旅人の心を癒す温かい空間を提供できる方

武器屋:冒険者を支える装備や修理技術に自信のある方

道具屋:ポーション・魔道具・探索用アイテムを扱いたい方

お土産屋:遺跡をテーマにしたクラフト・菓子・記念品など販売希望者


【募集条件】

・初期出店費用:金貨10枚(補助制度あり)

・契約期間:3年(更新可)

・立地:古代遺跡南口広場周辺

・福利:宿泊施設割引、共同警備体制完備


出店希望者は、地底村開発本部《タクミ商会》まで!


張り紙を見た村人や職人たちが次々と集まってきた。


「宿屋を開きたい!旅人に温泉と地元料理を出したいんです!」

「俺は武器の修理職人だ。古代金属を鍛え直せる腕がある!」

「お土産屋をやるなら、遺跡の欠片でアクセサリーを作るわ!」


タクミは笑顔で手を差し伸べた。

「みんなの夢が、この街の力になる。――遺跡の光を、人の笑顔で満たそう。」


ライラが感慨深げに言う。

「タクミさん……戦うだけじゃなく、“街を育てる勇者”ですね。」


そうして立ち並んだのは、古代風の石造り店舗群。

お土産屋では遺跡の欠片を模したアクセサリーが並び、

宿屋では遺跡の光を利用した“浮遊ランプ”が客室を照らす。

武器屋《鉄星堂》の炉では、遺跡金属オリカイトが赤く輝き、

道具屋《アークル商会》では魔導ポーションが棚一面に並んだ。


トビーが肩をすくめる。

「……随分と賑やかになったもんだ。遺跡の街が商売の街になるとはな」

ミラは満足そうに微笑んだ。

「経済の循環こそ、街の命です」


◆ 住宅地域 《浮石の里》


冒険者や学者、移住者のために住宅区も整備された。

傾いていた家々は魔導工によって水平に戻され、

屋根には浮遊石ランプが灯る。

夜になると、家々がふわりと浮かび上がり、

まるで空中庭園のような幻想的な光景を描いた。


村の老人が感慨深げに言う。

「昔は崩れた村だったのに……今じゃ、人が笑って暮らしておる」


タクミは微笑みながら答える。

「ここが、誰かの“帰る場所”になればそれでいい」


◆ 工業地域 《魔導炉区》

街の外れには、遺跡から発掘された素材を加工する工房群が築かれた。

鍛冶師たちは魔導炉を使い、古代金属を再現。

錬金術師たちは遺跡の欠片から魔力結晶を生成した。


安全のため、タクミの設計によって「魔力遮断結界」が張られ、

事故のない“クリーン生産区域”として機能した。

ここで生まれた品々は、商業地域へと直送されていく。


トビーが笑う。

「街の経済が回り始めたな。次は、空の都市との交易だ」


◆ 未来構想 《天空との回廊》

タクミは、遺跡広場の中心で地図を広げる。

その視線は、遠く空の彼方

まだ見ぬ天空都市レテンシアを見据えていた。


「いつか、この街とレテンシアを繋ぐ“空の橋”を作る。神に近い国と、地上の街が手を取り合う未来を」


ライラが微笑む。

「夢のような話ね」


ミラが静かに記した。

「いえ、これは計画書に残しておきます“未来都市構想 第一号”として」


風が吹き抜ける。

遺跡の石板が淡く光り、まるで街そのものが応えているようだった。


こうして、古代の遺跡のある街は再び息を吹き返した。

神々が眠る地に、タクミたちの新しい街が生まれたのだ。


ワンポイント解説


■都市計画とは?

都市計画とは、街や都市を効率よく、安全で快適に、かつ美しく整えるための設計や方針のことです。


目的

人々が安全に暮らせる街をつくる

生活や産業活動がスムーズに行えるようにする

災害や環境問題に強い街をつくる

観光や商業など経済活動を活性化させる


主な要素

地区区分ゾーニング

商業地域:店や市場、宿屋などが集まるエリア

住宅地域:住むための家やアパートがあるエリア

工業地域:工房や工場など生産活動のエリア


インフラ整備

道路、上下水道、電気・魔力網(異世界の場合)など

災害時の避難経路や安全設備

景観・環境保護

公園や広場、歴史的建造物の保存

自然との共生や緑地の確保


都市機能の調整

商業・住居・工業のバランスを考えた配置

人口や交通量に応じた計画


遺跡や古代建造物を活かして街の中心にする

魔力や浮遊石などの特殊要素をインフラとして利用

冒険者や観光客の動線も考慮したゾーニング


都市計画とは、「人々が安全で快適に暮らせ、街として成り立つように街を設計すること」です。


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