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12/12全話完結【ランキング32位達成】累計3万3千PV『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第七部 天空都市へ遺跡編

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第1章 「地底湖の別れと天空都市への道のり」

夜の帳が湖面を染める。


地底湖ホテル《ルミナグロウ》をミカとヴァルキュリアに経営を任せ、タクミ一行(タクミ、ライラ、トビー、ミラ)は次の目的地「天空都市レテンシア」を目指す準備をしていた。


地底湖畔で火を囲み、仲間たちは進路について話し合う。


ライラが不安そうに言った。

「天空都市だって? 空に浮かぶ都市……そんな場所、どうやって行くの?」


トビーも首をかしげる。

「魔導船や飛行魔法は通用するのだろうか……空の流れや魔力の乱れが未知すぎる」


ミラがノートに書き留めながら、言葉を重ねる。

「でも、情報が少なすぎます。浮遊結界、魔法障壁、都市の規模……何も分からない状態で飛べるはずもないですね」


タクミは湖面を見つめ、思案する。

「……そうだ。確実な情報を持つ者に会いに行こう。モグラ族の長老、グラモグだ」


湖畔の洞窟を進むと、湿った土の香りと共に、深い洞窟の奥で長老グラモグが姿を現した。背中には歳月の重みを感じさせる隆起があり、その瞳は知識の深淵を映していた。


「グラモグ長老……天空都市レテンシアについて教えてください」

タクミは頭を下げる。


グラモグはゆっくりと頷き、低く響く声で言った。

「天空都市か……神にもっとも近い国と呼ばれる場所だ。人間も天使人も、鳥人も、イーリス族も住む空の都市……だが、容易に足を踏み入れられる場所ではない」


挿絵(By みてみん)


ライラが目を見開く。

「容易に……? それって、どういうこと?」


グラモグは指を空にかざす。

「浮遊結界が都市を包み、魔導船や飛行魔法で近づく者を阻む。無理に突っ込めば、落下し、二度と戻れぬ」


トビーが驚きと興奮を混ぜた声で言った。

「結界……そんなもの、これまでの冒険では見たこともない! その魔力は地底湖の結界より強いのか?」


グラモグは微笑むように頷く。

「強い、いや、比べ物にならぬ……人知を超えた魔力と空気の流れが入り混じり、空間が生き物のように揺らぐのだ」


ミラが手帳を叩く。

「じゃあ、どうやって行くんですか?」


グラモグは深い溜息をつき、言葉を選ぶ。

「古代の魔導技術で作られた浮遊島へ通じる塔……それが唯一の道だ。塔の場所は誰も正確に知らぬ。長い年月、冒険者も迷い、戻らぬ者も多い」


タクミは拳を握り、決意を込めて言った。

「……分かった。危険を承知で、塔を探す。地底湖で得た経験を生かして、絶対にレテンシアへたどり着く」


ライラが剣を握り、力強く頷く。

「ふん……なら私も付いて行く。空の都市だろうと、何だろうと、ぶった切って進む!」


トビーは指を天に掲げ、魔法陣を描きながら微笑む。

「危険だが、面白そうだな……空の結界、神々に最も近い国……魔法的刺激が足りない日々が続いていたから、最高の挑戦になる」


ミラもノートを閉じ、真剣な表情で言った。

「未知の試行錯誤……ですが、記録も忘れません。塔の謎、結界の性質、何でも書き残す。次世代への知識にもなるはずです」


グラモグは洞窟の奥を指差す。

「塔は山脈の中に眠る。気を付けろ、道は険しく、魔物も潜む。疫病の神アポロンの眷属や、破壊神アトラスの影響も届くかもしれぬ」


タクミは湖面に映る光を見つめ、静かに言った。

「よし……まずは塔を探す。そして、天空都市レテンシアへの道を切り開くんだ」


湖畔に響く水滴の音が、冒険の幕開けを告げる。地底湖の静寂は、次なる空への挑戦を祝福するかのように揺れた。

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