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【ランキング32位達成】『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第一部 投資家への道

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第5章 「命をかけたリノベーション工事 」

タクミは朝日を浴びながら、スラムの端に立っていた。

目の前には傾いた屋根、崩れた壁、割れた窓。

風が吹くたびにギシギシと音を立てる“ボロ屋”が、彼の最初の物件だった。


「……ここから俺の夢が始めるんだな。」


鍵を差し込み、重たい扉を開けると、カビと埃の匂いが鼻を突いた。

だがタクミの頭の中では、すでに完成後の姿が描かれていた。


木の梁を磨き、簡易ベッドを並べ、二階に浴場を。

ギルド通りに面した一階には「宿泊受付兼レストラン」。


「低コスト・高回転型の宿泊施設だ。ターゲットは“冒険者層”。」


現代日本で得た知識と、“不動産査定スキル”が頭の中で稼働する。


人を雇わなければ、タクミは《冒険者ギルド》のカウンターに立った。

周囲は筋肉と魔力に満ちたゴツい連中ばかりだが、今日は剣ではなくスコップとトンカチの戦いである。


「大工・石工・魔法職人を探してます。短期のリノベ工事、報酬は日当銀貨五枚。」


掲示板に貼り出した瞬間、数人が手を挙げた。

鍛冶師のガロン、魔法建築士のリリス、そして料理人志望の青年リオ。


「宿屋だと? 面白そうじゃねぇか。俺のハンマーで骨組みを叩き直してやる!」


「防音結界くらいなら張れるわ。魔法使い用の部屋も作れるかもね。」


「料理は任せてください! 冒険者が“帰ってきたくなる味”を作ります!」


タクミは笑みを浮かべ、手を差し出した。

「よし、チーム《リフォーム・フォース》結成だ!」


リノベーション開始!

壁を壊す音が響き、埃が舞う。

魔法の炎が古い木材を焼き払い、石工が新しい壁を積み上げていく。


タクミは一つ一つの工程を見守りながら、メモを取った。

「材料費は予算の七割以内……内装は中古材を再利用。浮いた分で設備に回そう。」


リリスが指を鳴らすと、部屋全体に淡い光の膜が広がった。

「これが“防音結界”。隣の部屋で魔法をぶっ放しても大丈夫よ。」


「いいね! 魔法使い向けの個室に導入だ。」


ガロンが天井を見上げながら言う。

「屋根裏に“転移門”を設置すりゃ、勇者パーティの拠点にもなるぜ。」


「転移門付き宿屋……差別化になる!」


 異世界の素材と現代的経営感覚が融合し、廃屋は少しずつ“宿屋”へと変わっていった。


【 開業準備とホテル営業許可】

数週間後、建物が形になった。

だが、タクミにはまだ大きな壁があった、営業許可だ。


「宿泊業を営むには、市庁舎で“旅館営業免許”を取らなきゃいけませんよ。」

ギルドの受付嬢が教えてくれた。


タクミは書類の山と格闘する。

防火設備・衛生検査・従業員登録。

現実の行政手続きとまるで同じだ。


「料理人リオ、衛生証明は?」

「ちゃんと取得済みです!」

「フロント担当は俺とリリス。ベルボーイはガロンでいいな?」

「ちっ、ハンマー置いて荷物持ちかよ!」


笑い声が響く。

書類に印が押され、役人が言った。


異世界旅館ゴールドリーフ・イン、本日より営業を許可する。」


その瞬間、タクミは拳を握った。

そして夢が、形になった。


ワンポイント解説


■リノベーションとは?

リノベーションとは、古くなった建物を再生し、新しい価値を生み出すこと。

単なる修繕リフォームとは違い、「より使いやすく・より魅力的に」することで、

資産価値を**再構築(Re + innovation)するのが目的です。


たとえば、タクミの“ボロ屋”も同じ。

ただ壁を直すだけでは「原状回復」。

だが、魔法使い用の防音結界や、勇者向け転移門付きスイートを加えたことで、

建物はまったく新しい需要を持つ宿屋へと変貌した。


これは現実の不動産投資でも同じで、

リノベーションによって以下のような効果が生まれます


① 賃料アップ効果:設備やデザインを刷新し、家賃を上げられる。

② 空室リスクの低下:他物件との差別化で入居率が上がる。

③ 資産価値の上昇:再販時にも高値で売れる可能性がある。

④ 減価償却による節税効果:古い建物ほど税制上のメリットも。


つまり、“古さ”はマイナスではなく、再生のチャンスなのだ。

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