第7章 「コラボイベント開催。 ホテル戦争頂上対決」
異世界デジタル魔法アート集団企業「マジック・コレクティブ」
概要
様々な企業や博物館や展示会などと連携し、魔法と自然の融合を用いた没入型アート体験を作る集団。
魔法的な光や音、地底湖の生物たちの力を借りて、宿泊客の五感を刺激。
メンバーは人間だけでなく、モグラ族・コウモリ族・光を操る精霊など異世界生物も含まれる。
メンバー構成
ライト(リーダー)
人間の魔法師。光と色の魔法で、空間全体をアート化する。
静かに指揮を取り、湖面や洞窟壁に幻想的な映像を映し出す。
フィオラ(音響担当)
コウモリ族の精霊。超音波を操り、洞窟内に自然音や音楽を立体的に流す。
風の音や水のせせらぎを、宿泊客がまるで湖に溶け込むように聞こえる魔法をかける。
ミラージュ(インタラクション担当)
光を操る小型精霊。宿泊客の動きに合わせて光の道を変化させる。
子どもや大人が触れると反応する「宝探しの光の矢印」を作り出す。
ノクト(特殊効果担当)
地底湖の微生物を操り、湖面や空中に光の泡や発光花を咲かせる。
水面の光を魔法で揺らし、空に映る星空のような演出を作る。
リオ(運営兼スタッフ指導担当)
人間とモグラ族のハーフ。宿泊客とアーティストチームの間を取り持ち、イベント運営全般を管理。
______________________
異世界デジタル魔法アート集団企業「マジック・コレクティブ」と地底湖ホテル《ルミナグロウ》と地底湖でのコラボイベントが始まった。
夜の帳が下りる地底湖。湖面は静かに波打ち、洞窟壁は水滴で煌めいている。
地底湖ホテル《ルミナグロウ》の湖畔に、異世界デジタルアート集団「マジック・コレクティブ」の面々が集結した。
ライトが手を掲げると、洞窟全体に淡い光が広がる。
「さあ、始めるぞ。光と音で、湖全体を“生きるアート”にする」
フィオラが洞窟の天井を飛び回ると、コウモリ族特有の超音波が洞窟内に広がり、風の音や水のせせらぎが立体的に宿泊客の周囲に響き渡る。
「わあ……まるで湖そのものの中にいるみたい!」
20代女性が歓声をあげ、スマホで光の迷路や反射する湖面を撮影する。
ミラージュは小さな手のひらを光で覆う精霊。宿泊客が歩くたびに、宝探し用の光の矢印が現れ、動きに合わせて光が変化する。子どもたちは歓声を上げながら矢印を追いかけ、大人も思わず童心に返る。
ノクトが湖面に指を置くと、湖の微生物が光を帯び、泡や発光花を咲かせる。水面の揺れに合わせて光は踊り、湖面はまるで夜空に映る星の海のように輝いた。
リオは湖畔を巡回し、スタッフと宿泊客をつなぐ。
「この光の迷路、宝探しは子どもだけじゃなく大人も楽しめます。安全確認もしていますから、安心してください」
タクミは湖畔で仲間たちを見回し、深呼吸する。
「数字じゃない、心で楽しめる体験だ……。これが旅に求められる本物の価値だ」
一方、帝都ホテル《ラッシュイン・ゼロ》。トランプはモニターの画面を睨みつける。
「ふん……光と音で客を釣るつもりか。効率で叩き潰せ!」
AIヴァルキュリアが画面に警告を表示する。
「地底湖ホテルの宿泊率は過去最高。SNSでの好評が急上昇しています」
「構わん! ポイントも広告も最大値だ!」
「なにをやってる!さっさと部屋を清掃しろ!」
「動け!効率を守れ!」
現場スタッフの叫び声が館内に響く。
「もう無理です!休ませてください!」
若手スタッフが声を上げるが、トランプは冷たい目で言い放つ。
「効率が全てだ!数字を落とすな!」
しかし、従業員は次々に辞め始め、残ったスタッフも限界を迎えた。
トランプ ラッシュは従業員に指示を飛ばすが、従業員は疲弊しきっており、逃げ出す従業員。
そして残った従業員は、ついに労働組合のストライキへと突入する。
そして《ラッシュイン・ゼロ》に泊まれなくなった宿泊客が地底湖ホテル《ルミナグロウ》へと一気に駆け込んできた。
「これは、大変なことになったぞ。」
「もう予約でいっぱいです。」
「どうしますか?支配人?」
(遠いところからイベント目当てでやって来た、お客様に嫌な思い出を残してもらいたくない。
ピンチはチャンスだ。悪い体験を良い体験に変えるんだ)
タクミは《ラッシュイン・ゼロ》に泊まれなくなった宿泊客をどうするか悩んでいた。
タクミは湖畔に立ち、深呼吸した。
「よし……落ち着け。来たお客様には、全力で楽しんでもらうしかない
地底湖に簡易テントを張って、グランピングとしてテント宿泊をしてもらう。」
リオがタクミの横に来る。
「支配人、人数が一気に増えました。スタッフだけでは対応できません」
「わかってる。スタッフの人数を増やす。利益は二の次だ。まずはお客様の笑顔だ」
タクミは指示を出す。
「モグラ族、コウモリ族、精霊たち! 全員フル稼働だ! 迷路、宝探し、プロジェクションショーの順番を調整して、一人一人が楽しめるように!」
モグラ族のスタッフが慌ただしく準備を始める。
「了解! 通路を広げます! 発光宝探しエリアも増やします!」
「音響を湖全体に拡散します!」フィオラの声が響く。
宿泊客たちは驚きの表情で湖畔を見渡した。
「え、どういうこと? 急にこんなイベントが!」
「すごい……光と音の迷路が広がってる!」
ライトが手を掲げると、洞窟壁や湖面に新たな光の道が広がる。
「お客様、どのルートでも宝探しが楽しめます! 触れると光が変わります!」ミラージュが声を上げる。
ノクトが湖面に手を置くと、微生物が光を帯び、湖面には新しい発光花や光の泡が次々と浮かび上がった。
「湖面全体が生きているみたい……!」宿泊客たちは歓声を上げる。
タクミは笑顔でスタッフに声をかけた。
「皆、無理はしないで! 一人一人の笑顔を守るんだ!」
一方、帝都ホテル《ラッシュイン・ゼロ》。
トランプ・ラッシュはモニターの前で怒りを爆発させる。
「なぜ数字だけで勝てない……! 奴らは利益度外視で客を喜ばせているのか!」
ヴァルキュリアが淡々と答える。
「従業員はすでに限界です。AIでは補えない“心の満足”が、地底湖ホテルに傾いています」
トランプは拳を握り、歯を食いしばる。
「この敗北の責任は、お前にある!」
ヴァルキュリアは冷静に背筋を伸ばし、目を逸らさずに答える。
「はい……すべて私の責任です、トランプ様」
「ふん、言い訳は不要だ。今日限りで辞職しろ!」
「……承知しました」
ヴァルキュリアは静かに立ち上がり、荷物をまとめる。
従業員たちは目を伏せながらも、その毅然とした態度に息を呑んだ。
トランプ・ラッシュは机に突っ伏し、拳で叩きつけた。
「無能どもめ!!」
「奴隷じゃない! 私たちは人間だ!」
清掃スタッフの怒号がホテル館内に響く。
トランプは顔を歪め、拳を握った。
「こんな敗北……許されるはずがない!」
タクミの決断は確実に結果を生んだ。
地底湖ホテル《ルミナグロウ》の湖畔は、光の迷路、宝探し、プロジェクションショー、ハーブティーラウンジがフル稼働。
SN
Sには次々と投稿が上がる。
「湖面がまるで宇宙! 迷路も宝探しも大人も夢中!」
「便利さより、心に残る体験がここにある」
「地底湖でこんなに笑ったのは初めて!」
タクミは湖面に映る光を眺めながら、仲間たちに声をかける。
「見ろ、これが人の力だ。心で作る旅の価値だ」
リオは頷きながら、忙しく動き回るスタッフたちを見渡す。
「お客様の笑顔が、全てです」
湖面の光が揺れ、仲間たちの決意と団結を幻想的に照らす。
地底湖ホテル《ルミナグロウ》と《マジック・コレクティブ》のコラボは大成功を収めた。
一方、《ラッシュイン・ゼロ》は従業員がストライキとなり営業不能にトランプ・ラッシュは帝都へ呼び戻され、彼のホテルは苦汁の敗北を味わった。




