表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/12全話完結【ランキング32位達成】累計3万3千PV『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第六部 異世界ビジネスホテル編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/238

第6章 「従業員の団結の力の重要性(世間の声編)」

地底湖ホテル《ルミナグロウ》。


カフェラウンジでは宿泊客たちが笑顔で談笑していた。

SNSや口コミで広がった情報を見て、訪れた客たちが思い思いに宿泊体験を語る。


「本当に、ただ泊まるだけじゃなくて“ここにいる時間そのもの”が楽しいの」

20代女性の声。スマホで光の小道の写真を何枚も撮っている。


「子どもが宝探しに夢中になってて、親も一緒に童心に返れたわ」

30代父親。

彼の表情には、仕事や日常で失われた安らぎを取り戻した喜びがにじむ。


「旅に求めるもの? 便利さじゃなくて、心に残る瞬間だよ」

20代カップルの女性。

彼氏はうなずきながら、湖畔のランプに映る二人の影を見つめていた。



◇◇◇


一方、トランプ・ラッシュの《ラッシュイン・ゼロ》。


AIの管理下で、客は無言で部屋に案内をされる。

部屋は最新機能が満載で、ベッドは自動で整えられ、照明も秒単位で最適化されている。


だが、SNSや口コミには不満が並ぶ。


「便利だけど、なんだか冷たい……ただ寝るだけならいいけど、心は疲れた」


「部屋は狭いし、清掃が追いついてない。安かろう悪かろう」


「AIに全て任せるのは楽だけど、旅のワクワク感がない」


従業員も疲弊しており、客対応は効率最優先。

“心の通わないサービス”が、お客様の心理的満足を下げていた。


カフェテラスで、タクミはノートを開き、仲間の意見を聞く。


「ライラ、この光の小道は、みんなが求める“非日常感”に直結してる?」


「はい。SNSでも『日常を忘れられる』『童心に返れる』って声が多いです。体験そのものが旅の価値になっています」


「ミラ、宝探しやワークショップは?」


「子どもだけじゃなく、大人も楽しんでます。『家族で笑える時間』が旅に求められるものだとわかります」


タクミは静かにうなずいた。

「旅に求められるのは、快適さや便利さだけじゃない。現地の人との交流、自然との調和、そして“心に残る体験”だ」




夜。地底湖畔のランプに照らされ、客たちはそれぞれに感動を噛みしめる。


「思ったよりも疲れが取れたわ。地底の静けさが心に染みる」

「空気も匂いも違う。都会じゃ味わえない安心感」

「ただ泊まるだけじゃなくて、ここでしかできないことを体験できる。それが価値」


同時刻、《ラッシュイン・ゼロ》。


トランプはモニターの画面を見つめる。

「利益は出ている。稼働率も高い。しかし……評判は下がっている」


ヴァルキュリアが淡々と報告する。

「清掃不足、客の心理的満足度低下、クレーム増加。効率化は成功していますが、心の満足度は損なわれています」


トランプは拳を握った。

「効率で全てを制御できるはずだ……。なぜだ!どうして客は満足していない?」


心の中に、初めて“数字では測れない旅の価値”の存在がちらついた。


タクミは仲間たちと湖畔に立ち、深呼吸する。


「人は、思い出を買いに来るんだ。体験を、感動を、笑顔を。効率や価格だけでは、心は満たされない」


ライラが笑顔で頷く。

「だからこそ、私たちの力でリピーターを増やせるんですね」


「うん。そうだね 従業員の力で、地底湖の魅力を最大化するんだ」


湖面に映る光が、仲間の皆の団結の決意を優しく照らした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ