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12/12全話完結【ランキング32位達成】累計3万3千PV『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第五部 地底都市再生プロジェクト編

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第6章 「真実の光 ― 地底の夜明け」

投票前夜。


地底の空気は重く、祈祷場の地霊火がいつもより暗く揺れていた。


タクミは、ひとり地底湖のほとりに立っていた。

水面に映る自分の顔は、疲れと迷いに満ちている。


そのとき。


……聞こえるか、人の子よ。

低く、深い声が地の底から響いた。


足元の岩盤がわずかに震える。

現れたのは、古のモグラ族の民“初代掘王モグラン”の地霊だった。


「真実は、泥の中でも光を放つ。掘り続けよ、タクミ。」


その言葉と同時に、ミラが駆け込んできた。

「タクミ! これを見て!」


その瞬間、背後から足音が響く。

ミラ、ライラ、そしてトビーが息を切らして駆けてきた。


「タクミ! これを見て!」

ミラが差し出したのは、古代結晶に記録された魔法映像だった。

光を走らせると――そこに映ったのは、反対派の長老ムネモグと、帝国商会の使者ドナルド・ラッシュが密談している映像。


「地底資源の開発権は帝国に譲渡する。代わりに、我々の“聖域保護”を保証してもらおう」

「契約成立だ、ムネモグ長老。」


その一言に、場の空気が凍りついた。

タクミの胸に、怒りと希望が同時に込み上げる。

「……これだ! これが真実だ!」


翌朝。


住民投票当日。地底中央広場は、まるで戦場のような熱気に包まれていた。

モグラ族たちが集まり、グラモグとムネモグ、両陣営の演説を聞くために息を詰めている。


先に立ったのはムネモグ。

「我らの伝統を守るため、外の者を拒まねばならぬ! 帝国の陰謀に乗せられるな!」

そう叫んだ瞬間。トビーが映像魔法を起動した。


光のスクリーンが宙に浮かび、映像が再生される。

そこには反対派ムネモグとドナルド・ラッシュの密談が、はっきりと映し出された。


「なっ……! や、やめろ! それは捏造だ!」

ムネモグが叫んだが、群衆のどよめきがそれをかき消した。


「……帝国とつながっていたのは、あなたのほうだったのか!」


「信じてたのに!」


「裏切り者はどっちだ!」


怒号が飛び交い、ムネモグは言葉を失った。

その場に崩れ落ち、杖を落とした音が洞窟に響いた。


静まり返る広場の中央で、グラモグが前に進み出る。

深く一礼し、低く響く声で言った。


「モグラ族よ。真実は、掘れば必ず光を放つ。嘘つきは、必ず地の底で自ら崩れる。それがこの地底の掟だ。」


その言葉に、地霊火が一斉に輝きを増した。

タクミたちの胸に、熱いものが込み上げる。


投票が終わり、結果が発表された。



賛成派 72% 反対派 28%。


大逆転の勝利だった。


歓声が地底を揺らし、モグラ族たちは抱き合い、涙を流した。

グラモグはタクミの肩に手を置き、静かに言った。


「タクミ、お前の“掘り抜く心”が民を動かした。お前たち人の子こそ、共に未来を掘る同志だ。」


タクミは涙をこらえながらうなずいた。

「……グラモグさん、俺たちは、地底と地上、どちらの未来も掘り続けます。」


こうして、地底と地上の新たな共生の時代が始まった。

地底湖は、これまでにないほどまぶしく輝いていた。



ワンポイント解説


■真実は、泥の中でも光を放つ。


SNSなどでのデマ拡散や情報操作が問題となる現代。本章では「掘る=真実を探す」ことの大切さを象徴的に描きました。グラモグの言葉「嘘つきは、必ず地の底で自ら崩れる。」は、“誠実さこそ最強の武器”というメッセージでもあります。

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