第2章 「帝国開発庁・地霊安定局の許可交渉」
タクミたちは帝都の巨大な官庁ビル、「地霊安定局」の扉をくぐる。
長い廊下の奥、重々しい扉の前で、役人たちが書類の束を掲げ、挑戦的な目で睨む。
「地底開発の許可は簡単には出せません。書類に不備があれば却下ですぞ」
「精霊の同意が得られている証明は?」
鋭い指摘の連打に、タクミは焦る。
ミラが手かざして魔法陣を描く。
書類の上に魔法陣が浮かび上がり、文面が光りながら可視化される。
「まずは書類の整合性を魔法で証明します!」
トビーの魔法によって、膨大な契約書と測量図が空中に立体表示され、役人たちは思わず目を見張る。
しかし役人は容易には引かない。
「提出物は古すぎる!現地調査が不十分!この契約は効力を持たぬ!」
突如、地面が微かに震え、地下の地霊が怒りの気配を示す。
「地霊の承認なしに盛土や開発を行えば、地盤沈下が起きますぞ」
役人の声は、まるで地底の咆哮と共鳴するかのようだ。
ここでミラが眼鏡を押し上げ、冷静に書類とペンを取り出す。
「条約第42条および地霊保護規則第7節に基づき、必要な精霊同意書は取得済みですわ」
ミラの筆先から魔法印が放たれると、光の文字が空中に浮かび上がり、精霊の意思を可視化する魔法陣と融合する。
役人たちは一瞬言葉を失い、精霊の気配が和らぐ。
役人の一人が最後の抵抗を試みる。
「この計画は理論上は安全でも、実際のリスクは未知数だ!」
タクミは、静かに言う。
「投資には常にリスクがあります。しかし、私たちは科学的測量、精霊の同意、そして安全策を全て準備済みです。数字と証拠を示しましょう」
ミラが再び前に出て、書類を掲げつつ魔法印を連打する。
光が飛び交い、空中に利回り計算・地質図・開発シミュレーションが立体表示される。
役人たちは抵抗の矛先を失い、次々と頷くしかない。
ついに、局長が重々しい声で宣言する。
「……承認する。地霊の意思と書類が完全に整っていることを確認した」
書類の魔法印が光を放ち、空間に安定した光の文字が残る。
ミラは満足げに眼鏡を直し、タクミに微笑む。
「これで、合法かつ安全な地底開発の許可が正式に下りましたわ」
タクミは仲間たちを見渡し、深く息をつく。
「開発は死闘だな、だがチームと正しい知識があれば、どんな困難も乗り越えられる」
洞窟の地鳴りも、役人たちの疑念も、すべてがクリアになった瞬間。
地底都市再生プロジェクトは、正式に始動したのだった。
ワンポイント解説
■役所仕事について
役所や官庁は、法律・規則・手続きに基づいて物事を進めるため、柔軟な対応や臨機応変な判断が難しい傾向があります。
手続き優先:書類の形式や提出期限が重視され、内容の本質より形式不備で却下されることも。
審査の硬直性:安全性・法令遵守・規則順守が最優先で、現場の事情や緊急性は後回しになる場合がある。
開発や投資では、役所の規則に沿った準備と書類の整備、論理的説明が不可欠。柔軟性に頼らず、規則に従うことが成功の鍵。




